有安杏果 全国ライブハウスツアー、東京公演の2つのメニューを観て感じた「アーティストとしての資質の高さと幅広さ」

ライブレポート | 2019.08.20 18:00

Pop Step Zepp Tour 2019
2019年7月22日(月)23日(火) 8月13日(火)14日(水)
Zepp Tokyo

有安杏果のライブハウスツアー「Pop Step Zepp Tour 2019」の全日程が終了した。2019年3月に東京と大阪の2カ所のみで開催された「サクライブ2019 〜Another story〜」でソロのアーティストとしての新たな一歩を踏み出した彼女。ツアータイトルにもあるように、ホップ・ステップの2歩目にあたる本ツアーでは、全国ライブハウスツアーへと規模を拡大させると同時に、アーティストとしての可能性の大きさを存分に感じさせてくれる公演となっていた。

まず、セットリスト。各地2デイズ公演が多かったため、両日ともに足を運ぶ観客のことを考えて、2パターンが準備されていた(※本記事においては以降、A / Bパターンと表記)。それぞれ、オープニングは全く違う楽曲を用意し、新曲を含めて5曲ほどが異なる構成となっていた。全体としてはポップな楽曲が基調となっているが、前者は歌声をじっくりと聴かせるバラードが多く、後者は自然と体が揺れてしまうようなグルーヴ感の強いサウンドが多かった印象。アンコールではそれぞれ曲順が違う上に、本編とはアレンジも変えた、約20分に及ぶ「逆再生メドレー」もあった。

一例を挙げると、Aパターンでは4ビートのジャズだった「遠吠え」がタンゴに変わっており、速いパセージのビバップ「愛されたくて」がロックンロールに、ピアノバラード「虹む涙」はラバーズに、アップテンポのポップナンバー「TRAVEL FANTASISTA」は観客と一緒にタオルをぐるぐる回すスカに、ポップロック「ヒカリの声」はバラードから入り、全員でシンガロンするミュージカル調のスイングジャズへと展開。Bパターンでは、エレピの弾き語りだった「小さな勇気」がセカンドラインとなり、7月の東京公演で「夏といえばこの曲が一番最初に思い浮かびました」と言ってカバーしたフジファブリック「若者のすべて」がサンバに、ピアノバラード「色えんぴつ」がR&Bナンバーヘとなっていた。ビートを含めたアレンジや歌い方を変えることで、それぞれの楽曲に対して、新たな捉え方もできるようになるという発見があったし、1曲単位でもこれだけのポテンシャルが潜んでることを教えてもくれた。また、既存曲だけではなく、初披露の新曲たちも2つのアレンジが施されていたことに驚きを感じた。

Gt.福原将宜

B.山口寛雄

Key.宮崎裕介

Dr.玉田豊夢

本ツアーに向けて、有安はなんと計4曲の新曲を製作した。Aパターンで披露された「Runaway」はグランドピアノが弾むポップロックナンバー。有安はエレキギターをかき鳴らしながら熱唱した。

バラード曲の「ナツオモイ」はアコギを弾きながら胸を締め付けるような切なさで歌い上げ、Bパターンではオントレンドなアーバンソウル〜ファンクナンバー「LAST SCENE」と、間奏で突如ジャズピアノから始まるソロ回しが展開する都会のナイトミュージック的なシティポップ「Do you know」が聞けた。

「恋をテーマに、出会いと別れのシーンを書いた」と語った前者では大人の表情も垣間見せ、後者では待望のダンスを解禁。くるくると周り、鮮やかなステップを踏み、軽やかにジャンプする。7月のMCでは息を切らしながら「久しぶりに歌いながら踊ってみたら……こんな感じです」と苦笑いしていたが、幼い頃からもっとも慣れ親しんできたであろうダンスは伸びやかで自由な表現力があり、どこまででも飛んでいきそうな弾力性も感じた。本編最後の「Catch up」の後半にも少しだけ舞ってみせていたが、彼女のダンスパフォーマンスをもっと見たいと感じた人は多かったのではないかと思う。

公演情報

DISK GARAGE公演

有安杏果 サクライブ 2020

2020年3月5日(木) Zepp Nagoya
2020年3月11日(水) Zepp Namba Osaka
2020年3月13日(金) 高松festhalle
2020年3月14日(土) BLUE LIVE HIROSHIMA
2020年3月16日(月) Zepp Fukuoka
2020年3月19日(木) Zepp Sapporo
2020年3月21日(土) 仙台PIT
2020年3月27日(金) LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)

★Band Member
Gt:福原将宜 / Key:宮崎裕介 / Dr:波田野哲也 / Ba:川崎哲平

チケット一般発売日:2020年1月25日(土)

RELEASE

「有安杏果 サクライブ 2019 ~Another story~」

ライブアルバム

「有安杏果 サクライブ 2019 ~Another story~」

(Apricot Inc.)
配信中!

>>>詳細はこちら

BOOK

◆有安杏果写真集 『ヒカリの声』

日常の断片から〝ヒカリ”を見出すように写真を撮り、音楽ともリンクしていく有安の作品群を紹介。
予定価格:本体2,000円 +税

 

◆有安杏果 ライフスタイル本 『Happy Holidays』

歌手、写真家としての表現活動をスタートした有安杏果。
SNSに投稿された彼女の23歳の1年間を書籍化。
日常を過ごす、ありのままの彼女に出会える1冊。
予定価格:本体1,800 +税

  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

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