HYDE “ANTI FINAL”で魅せた愛と狂気。芸術的なカオスで応えたオーディエンス。「また帰ってくるからな!首洗って待ってろよ!」

ライブレポート | 2019.12.13 20:16

HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL
2019年12月8日(日) 幕張メッセ国際展示場4~6ホール

「僕はそんなに強くない」、「みんなの援護なしでは走れない」ーー。

これが百戦錬磨のライヴをこなし、アルバム『ANTI』を作り上げ、つい最近までSTARSETの2019年秋のUSツアー<STARSET DIVISIONS 2019>のサポートアクトとして35公演を走り抜いて、日本に戻ってきた男のホンネなのかと耳を疑った。と同時に、どんなに彼がみんなの存在を糧にファイトしてきたのかを想像するだけで胸が締め付けられた。

だからHYDEは「俺たち、これで間違ってないよね」と確認するかのように12月8日、<HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL>の最終公演でも、会場となった千葉・幕張メッセ国際展示場4〜6ホールのような巨大会場をものともせず、ステージとフロアとの垣根を取り払い、オーディエンスと距離を縮め、何度も何度も全身全霊でぶつかり合った。もちろんHYDEの体力は奪われるが、それでもみんなの手に、顔に、髪に触れ、ファンと一緒になって汗だくになりながら雄叫びをあげるときのHYDEの表情は、たまらなく生き生きとしていた。ソロになってからのHYDEは昔の彼からは考えられないほど、ときには涙もろい部分や弱さなど、パーソナルな自分をさらけ出して、どんどん“人”としてファンとフラットに向き合うようになっていった。そんなみんなとともに、ライヴのなかでアップデートしながら作り上げたアルバム『ANTI』。そのシネマティックでカオティックなライヴショー、その最終形がここに完成。

スクリーンに映し出された時計が“16時66分”を刻み、数字の“666”が並んだ瞬間、ステージ上にNEO TOKYOをコンセプトにした巨大セットが浮かび上がる。ZEPPツアーとは比べ物にならない迫力だ。「This in Neo Tokyo.Welcome to the sleepless city of the far east」というアナウンスが流れる街中にはヘリコプターの音が響き、そのヘリが荒廃し、悪がはびこるNEO TOKYOの路地裏をサーチライトで照らす様は、映画『ブレードランナー』を彷彿させ、人々をいっきにステージへと引き込んでいく。

舞台上に止まっていたパトカーの上に座り、ショーの始まりを告げる「WHO’S GONNA SAVE US」を顔半分を黒いマスクで覆ったHYDEが歌い出す。NEO TOKYOの路地裏で“HYDE”というダークモンスターが産声をあげ、生まれていく様を声、身振り手振りを使ってアクト。歌の最後、怒りに満ちたようなシャウトでアルバム『ANTI』の世界観がついに幕開けしたことを告げるとセットから白煙が吹き出し、パトカーの赤色灯が光り、HYDEはさらに凶暴化。派手なヘッドバンギングから「AFTER LIGHT」を歌い出すと、“Destroy,rebuild.Now,now.”とオーディエンスがシンガロングを響かせ、ブレイク部分ではその声がさらにボリュームを上げ“Woow Wow〜”と盛大な大合唱を巻き起こす。それを見て“ハーハハッ”と不気味な笑い声をあげたHYDEが「FAKE DIVINE」ではブラックライトを浴びて瞳の瞳孔を発光させながら(←かなり怖い!)、さらに狂気を帯びていく様子をスイートな声とパワフルな声を使い分けながら見事に表現していった。そして、怒りがマックスに到達したクライマックスでパトカーのフロントガラスを勢いよく足で蹴り上げ、最後に極悪なグロウルを一発轟かせた。なんてカッコいいんだ。

「調子はどう?幕張ちゃん。今日は楽しみでしょうがないよ。俺たち、作ってきたよな?『ANTI』を。じゃあ観せてもらおうか!」と客席を挑発した直後、HYDEは「INSIDE OF ME」でステージから降り最前列まで突撃。湧き上がるオーディエンスがHYDEのかけ声で“Inside of me”のコーラスを大声で歌い、コール&レスポンスが幕張じゅうに広がっていく。気持ちいい。テンションが上がってきたところに盛り上がり必至の「DEVIL SIDE」投下で、フロアはさらに大興奮。HYDEは自分を映すムービーカメラをホールドし、舌で舐める仕草でオーディエンスをさらなる熱狂へと導き、このあとマスクを外して「TWO FACE」をアクト。マスクの下のはみ出し口紅も(インタビューでは普通に塗ると母親に似過ぎるからとジョークで返答)いまではHYDEソロを象徴するアイコンとなった。

曲終わりでNEO TOKYOには雨が降り出した。場内に雨音と銃声が響き渡ると、なにかが起こりそうな不穏な空気が立ち込める。そこに、軍帽をかぶり、ANTIフラッグがついたスタンドマイクを背負ったHYDEが現われ、「SET IN STONE」を歌い出す。間奏で激しくシャウトしたHYDEは、マイクを銃に見立ててフロアに狙いを定めていく。しかし最後はその銃口を自分の口のなかへと突っ込み、自ら引き金を引いて後ろに倒れるという衝撃的な結末で、舞台は暗転する。ズシンと胸にくる光景。こんなにも凶暴性がありながらも、そこになぜか深い哀愁さえ感じてしまう人間的な深み。HYDEとオーディエンスが『ANTI』のライヴを共有して作り上げたものは、けしてフロアのノリだけではないことを伝えていったシーンだ。

静まり返った場内にはピアノが奏でる旋律が静かに広がっていく。そのピアノソロがイントロとなり、バラード「ZIPANG」が始まると荒廃したNEO TOKYOの街の時間軸がこの瞬間ピタッと止まる。声にたっぷりと息を含ませ、人々の耳元めがけて柔らかい声で日本的なメロディーと歌詞を歌い上げていくHYDE。“僕が消えてく”でライトが強くなり、強い光で全員が光に包まれ見えなくなるという奥ゆかしい演出から、クライマックスでは願うように“The sun’s gonna rise”をエモーショナルにシャウトしたあと、長いブレス音で曲はエンディングを迎える。

ギターのカッティングが鳴り響き、「OUT」で時間軸がNEO TOKYOへ戻ると、HYDEは再びモンスター化。ANTIフラッグがついたスタンドマイクでムービーカメラを殴り、客席を鼓舞するとオーディエンスは拳を高くあげてジャンプを繰り返していった。

「『ANTI』が出て半年経ったんですけど。こんなに愛されると思わなかった」と伝えたHYDEは「今日は最終日。いっちばーん凄い形、作ってあげないとかわいそうじゃない?幕張ちゃん」とフロアに呼びかけると、すぐさまスピード感溢れるストレートなロックチューン「MAD QUALIA」を投下。HYDEのヘッドバンギングが始まると、ハンドクラップが高らかに鳴り響き、「待ってました」とばかりにショーは白熱。パトカーの上に寝転がって歌うHYDEにまずはオーディエンスが“Need to let go!”と力強いレスポンスを返し、火をつける。それを合図にHYDEは再びステージから降りフロアの最前列へと駆け込み、ファンの手を支えに立ち上がり「3.2.1ではっちゃけようぜ!」と叫ぶ。するとオーディエンスのボルテージも一気に高まり、人の波が一体となって、踊れ騒げと、本能のままに、熱気と一体感に満ちた盛り上がりをみせた。このツアーで、この曲がオーディエンスのなかに潜む狂気を目覚めさせる曲に育ったところをまざまざと見せつける。続く「SICK」でさらにそこに拍車をかけようと、ヘビーなサウンドはどんどん加速。HYDEは拡声器を持ち出し、炎がバンバン上がるステージで全身全霊を込めたスクリーモを響かせ、曲のクライマックスでサポートメンバーと息をあわせたジャンプを披露。

公演情報

DISK GARAGE公演

MUCC Presents Trigger In The Box supported by MAVERICK DC GROUP

2019年12月28日(土)国立代々木競技場第一体育館

rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN 19/20

2019年12月29日(日)出演

L’Arc~en~Ciel ARENA TOUR MMXX

2020年1月9日(木)10日(金)12日(日)13日(月) 大阪城ホール
2020年1月18日(土)19日(日) Aichi Sky Expo[愛知県国際展示場]
2020年2月8日(土)9日(日) さいたまスーパーアリーナ
2020年2月28日(金)29日(土) 横浜アリーナ ※FC会員限定
2020年3月4日(水)5日(木) 国立代々木競技場第一体育館

他ライヴ詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。

RELEASE

「ANTI」

NEW ALBUM

「ANTI」

(UNIVERSAL MUSIC)
2019年6月19日(水) Release!
  • 東條祥恵

    取材・文

    東條祥恵

    • ツイッター
  • 撮影

    岡田貴之

  • 撮影

    田中和子

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