RAZOR、結成3周年記念ライブ・Dr.哲也の最後のライブとなる<RAZOR 3rd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR Ⅲ-third->ライブレポート

2020.01.18 13:00

RAZORが11月30日、東京・マイナビBLITZ赤坂でワンマンライブ<RAZOR 3rd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR Ⅲ-third->を開催した。RAZORのバンド結成3周年を記念した今回のワンマンは、10月18日にDr.哲也がバンド脱退を発表したため、この5人で行なうラストライブという特別な意味合いをもったものとなった。
メンバー脱退というのは、正直バンドにとってもファンにとっても明るい話題ではない。ライブ中には顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いているメンバーや、お客さんもいた。それでも、今後4人でRAZORを継続することを決めたメンバーと脱退する哲也がこのステージで見せたものは、これからお互いが立ち向かうことになる困難や試練。それを戦い抜いてみせるという清々しいまでの覚悟だった。こうして、RAZORが新たなる夜明けとなる戦いへと向かう狼煙をあげた一夜をレポートしていく。

開演前、会場内は予想通り、集まったファンで激混み状態だった。バックステージではスタッフがサプライズでドラムをデザインしたケーキを哲也にプレゼントしたり、ロビーには哲也のヒストリーをフィルムにして貼ったスタンドフラワーが飾られていたり、場内入るとステージには2mを超える高さの(←2階席と同じぐらい)イントレが組まれ、その上にドラム台がセットされていたり。スタッフ、ファン、メンバー総出となって脱退メンバーの門出をこんな風に祝福しているところは、哲也の人柄がなせるワザだろう。

Vo.猟牙

開演時間が過ぎ、場内は暗転。ドラム台の下で“RAZOR”の文字が電飾で赤く発光し始めると、メンバーが次々とオンステージ。ライブ『ANOTHER』で幕を開けた。ステージとフロア、両者ともものすごい集中力で挑んでいるのが痛いほど伝わってくる。それを真っ先に感じとったVo.猟牙が真っ赤なロングジャケットの裾を手ではらった後、指揮官のような冷静な口調で「始めようか」とフロアを扇動。それを合図にバンドは『消えない痛み』から、この3年間で鍛え上げた重轟音にハイブリッドなサウンドをのせた楽曲を次々とフロアに叩きつけていく。それらを強烈なハイトーンにグロウル、高音シャウトからラップなど様々なスキルを使ったヴォーカルで乗りこなしていく猟牙の歌も、序盤からパワー全開。

Gt.剣

観客たちは、1曲のなかでヘドバンやシンガロング、ハイジャンプを幾度となく繰り返し、『LIQUID VAIN』ではステージを囲うように設置された照明から十字架が一斉に浮かび上がる演出でフロアをさらに興奮させ、BLITZの温度は刻一刻と高まっていった。だがBa.IZAが色気たっぷりに体を揺らす『ADEPT』からは場内の空気は変貌していく。『イノセンス』からは暴れるだけではないRAZORをたっぷりと見せていくブロックへと突入。ピアノとシンセのループ音に足音が重なっていくドラマティックなショートSEをはさみ、始まったのは『Choice』だった。Gt.衍龍が鳴らす分散コードに猟牙がセリフをのせて始まるこの曲では、哲也がそこに曲の世界観とは真逆の軽やかなマーチングドラムを合わせたり、“忘れないよこの場所”と歌う猟牙のヴォーカルが感動を呼び込む『LOCUS』では、Gt.剣の感傷的なアルペジオとパラレルで衍龍の威嚇的なカッティングが鳴り続けるなど、聴かせ系の曲も型にはまらないRAZORならではサウンドメイクで場内にヒリヒリするような緊迫感を与えていった。

Gt.衍龍

その空気を『Disclousure』で一気に払拭し、会場一面のジャンプを呼び起こしていく展開は圧巻。これが再びスイッチオンの合図となり、猟牙が「11月30日、哲也、IZA、衍龍、剣、猟牙、この5人とここにいるみんなで音像に身を預け、一生忘れないヤバイ夜をここBLITZに刻みましょうよ」とフロアを煽り、IZAと哲也のリズム隊が、高低差を乗り越えて視線をからませ、笑顔で見つめあった後に始まった『DAYBREAK』からの終盤戦は本当にヤバかった。イントロのパワフルなドラミングに合わせてフロア一帯にヘドヴァンの海が広がった『千年ノ色彩』、猟牙の「なーに可愛い声出してんだよ」というダメ出しでコール&レスポンスのボリュームが最大限に上がったところから突入した『Labyrinth』ではフロアにサークルモッシュが勃発。楽しそうに「イェー、イェー」と合いの手を入れる観客を「お前らバカになれんのか?」と煽ったあと、猟牙が突然台車にのっかってステージパフォーマンスをやりだし、全員を笑顔にした『ハイビスカス』。ここまでアゲアゲ感満載で楽しく大騒ぎしたあと「美醜」からは高速ヘヴィチューンがうねりをあげ、ライブはラストスパート。左右真っ二つに分かれた観客が、爆音とともにフロアで激しく入り乱れる『埋葬』では、猟牙が勢いよくオーディエンスの群のなかへダイブ。ステージとフロアが激しいパフォーマンスで一つになったあとは、『BRILLIANT』を誰もが陶然と聞きいるなか、最後に猟牙が全身を振り絞るような魂のロングトーンで観客全員の胸を震わせて、本編はしっとりと終わりを迎えた。

Ba.IZA

アンコールは哲也のドラムソロで勢いよく幕開け。あれほどの爆音でパワードラムを叩きながら、しゃべると「あはっ(超照れながら)えっと、あの、ドーンってやったら名前呼んで…うわーヤバイ(大照れ)呼んでやってください」と恥ずかしがり屋を発動する彼を励ますように、観客たちは大声でコールを返す。そのあと、メンバー全員がステージに揃ったところで始まった『ADAMZ』が、この日のクライマックスを描き出す。曲中、まずは観客がフロア一丸となったシンガロングをステージに届ける。すると、それを引き継ぐように次は猟牙が1人、アカペラで同じパートをエモーショナルに歌い出し、最後はくるりと観客に背中を向け、ドラムの哲也を見つめ、みんなの想いを代弁するように絶唱しだしたのだ。これを、ドラム台からいつもの包容力たっぷりのてっちスマイルで受け止める哲也。このやりとりには観客もメンバーも感動で、号泣するしかなかった。しかし、そんな涙なんかふき飛ばせといわんばかりに彼らは新曲『完全無欠』をすぐさま鳴らし、猟牙は人差し指をほっぺたにくりくりっとする愛らし仕草で、みんなのSMILEを呼び起こしていった。

Dr.哲也

恒例のメンバー挨拶のコーナーではそれぞれが哲也のことに触れ、IZAは「正直いまだに実感がない。こんなヤバいドラマーと組んだの初めてで、一緒にやれて幸せだった。俺ら、てっちの人生応援するからいつものようにまた飲みに行こう」と伝え、哲也とずっとバンド人生をともにしてきた衍龍は「哲也には感謝を伝えたいと思います。ずっとこんなヤツと一緒にバンドやってくれてありがとうございました」といって泣きながら頭を下げた。

剣はペットのウーパールーパーの話でしんみりしてしまった場内をなごましながら「人間そんないっきに割り切れるもんではないけど」と前置きしながら「てっち、ありがと!」と笑顔で感謝の気持ちを届けた。猟牙はこのツアー中、哲也を引き止めたくて大喧嘩をしたことを告白。「これだけバンドやってても、俺、あんな取っ組み合いの喧嘩したことないですよ。いままで。それだけ大事だったってことです。哲也が抜けて、これからRAZORはでっかい試練です。みんなを悲しませちゃってゴメン。でも俺ら、この苦難を乗り越えて、“RAZORかっけー!”って言わせるから。約束する」とさっきから涙が止まらないファンに向かって力強く宣言。

そうして『嫌、嫌、嫌。』から泣きながらヘドヴァンで盛り上がり、最後までRAZORらしい暴れっぷりを突き通してこの日のライブを締めくくった。最後は5人で手をつなぎ、会場にいた全員と一緒にジャンプ。「これからは4人のRAZORを俺もファンとして観に行きます。俺はいろいろ欠落してるけど、RAZORの最高のドラマーだったと思います。3年間ありがとうございました」と哲也が万感の思いで最後の言葉を告げると、とうとうこの日の公演は終了してしまった。そのあと、終演のアナウンスが流れても、アンコールを求める声は長い間鳴り止まなかった。

こうして、新しいそれぞれの人生への第一歩を踏み出していった彼ら。4周年はどんなRAZORに出会えるのか。彼らがこの試練を乗り越えていく様を見届けていきたいと思う。

SET LIST

01. ANOTHER
02. 消えない痛み
03. NEW ANSWER
04. 困惑
05. LIQUID VAIN
06. ADEPT
07. イノセンス
08. Choice
09. LOCUS
10. Disclosure
11. DAYBREAK
12. 千年ノ色彩
13. Labyrinth
14. ハイビスカス
15. 美醜
16. 埋葬
17. BRILLIANT

En
01. ADAMZ
02. 完全無欠
03. 嫌、嫌、嫌。
04. RED ZONE
05. PRIMARY

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