「今、観てほしい」アーティストが集結!『MUSIC MONSTERS -2020 winter-』 2/23(日・祝)@渋谷 総括レポート!

ライブレポート | 2020.03.26 18:00

moon drop

バンド名に反して太陽のように熱く歌い上げ、隙あらば気持ちを一つひとつ言葉にして訴え、バンドを牽引していくフロントマンの浜口飛雄也(Vo/Gt)の姿が強く印象に残っている。TRUST RECORDS所属、ラブソングを歌い続ける三重県伊勢市発の4ピース。メロディアスなパンク×ギターロックを武器に、疾走感のある楽曲からスローナンバー、ミディアムナンバーまで網羅する。浜口はただただひたすら馬鹿正直に自分の想いを叫び、楽器隊も浜口の放つ世界観を一身に支える――愚直に突き進むその姿は、楽曲に溢れんばかりに注がれた想いをより生々しく届けていた。観客を強く鼓舞し、高い熱量で突っ走ったラストの「花束のかわりに」はまさに彼らの真骨頂では。

Photo by KONDOH MIDORI

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-SET LIST-
1. 君に捧ぐ
2. ドラマチック
3. 泡色夢物語
4. オレンジ
5. 西大寺より
6. 花束のかわりに

クジラ夜の街

とんでもない逸材だ。昨年オーディションを勝ち抜き、ROCK IN JAPAN FESTIVALやSUMMER SONICに出演を果たした高校生4人組。オルタナやシューゲイザーをギターロックに昇華したサウンド、ひりついていて衝動的でありながらどこか摩訶不思議でユーモラスなムード、一人ひとりが放つ濃度の高い激烈な爆音と轟音、無邪気さと深淵が入り乱れるロマンチシズムとセンチメンタリズムなど、ただただその新世代のセンスに圧倒されてしまった。いびつな4人による奇跡的なバランスは刹那的で危うくもあり、未知なる世界を切り拓く力に溢れている。特に空想の物語を描いたという「ヨエツアルカイハ1番街の時計塔」の圧倒的な吸引力には、一切の隙がなかった。ギターロック新時代、ここに極まれり。

Photo by 旭里奈

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-SET LIST-
1. 少年少女
2. 風のもくてきち
3. Sugar
4. 平成
5. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
6. 夜間飛行少年

ravenknee

どこまでも突き抜けていくようなスケールの大きい音像に圧倒された。東京を拠点に活動する4人組エレクトロポップバンドがO-nestのトリに抜擢。プログラミングとバンドサウンドを融合させ、クラブミュージックとポストロック/シューゲイザーが持つ高揚感をミックスさせることで、冒頭からトランス空間を作り出す。その力強くも優雅なサウンドスケープ、「OCEAN」のような歌ものとしても確立する強固なメロディが、聴き手目がけて突き刺してくるようだ。「みなさんが1、2年後、ここで観ていたことを自慢してもらえるようなバンドになりたい」と展望を語り、さらに音像の純度を高めていく。様々な惑星へと冒険に出たような、神秘的かつスリリングな空間だった。

Photo by 旭里奈

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Photo by 旭里奈

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-SET LIST-
1. ubugoe
2. OVERDOSE
3. OCEAN
4. Turn Around
5. one of kind
6. Pick you up

シナリオアート

地に足をつけパワフルな活動を繰り広げているバンドのモードを象徴するようなステージだった。のびやかな音像に迷いはなく、3人の心意気がクリアに音へと姿を変えていく。ポップセンスや物腰の柔らかさを感じさせながら、佇まいはロックど真ん中だ。「目の前にいる人たち、自分たちを助けたい。そんなことをずっと歌っている」という言葉のあとに演奏された「ホワイトレインコートマン」は、バンドとともに歴史を歩んでいるだけあり、非常に勇敢でエモーショナルな楽曲へと育っていた。ファンタジックかつひりついたロックナンバー「ナナヒツジ」に続きラスト「シーユーネバーランド」で描いた切実で邪念のない景色は、この日のO-WESTの締めくくりとして申し分ないほどに晴れやかだった。

Photo by KONDOH MIDORI

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-SET LIST-
1. ハローグッバイ
2. ジンギスカンフー
3. スペイシー
4. ホワイトレインコートマン
5. アダハダエイリアン
6. サヨナラムーンタウン
7. ナナヒツジ
8. シーユーネバーランド

kobore

精力的なライブ活動を続ける東京・府中発4ピースバンド。大トリとして申し分のない存在感を放っていた。2曲目「ダイヤモンド」でフロントマン・佐藤 赳(Vo/Gt)のギターストラップが取れるというアクシデントに見舞われるもメンバー全員動じることなく、佐藤はハンドマイクパフォーマンスにシフト。「ギターなしで歌うのも気持ちいいもんだな!」と言ってのける。ピンチをチャンスに変えてしまうポジティブな逞しさ、フロアとまっすぐ向き合う真摯さ、それのどれもが自然体だ。だからこそリスナーも彼らに惹かれ、ついていきたいと鼓舞されるし、迷いなく音像のなかに飛び込んでいけるのだろう。バンドとフロアが音楽を通して信頼関係を強めていく様子は、日本のロックシーンの未来を明るく照らしていた。

Photo by 大城幸平

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-SET LIST-
1. ティーンエイジグラフィティー
2. ダイヤモンド
3. スーパーソニック
4. 夜を抜け出して
5. ボーイズアンドガールズ
6. テレキャスター
7. 幸せ
8. 君にとって
9. 爆音の鳴る場所で
10. ヨルノカタスミ

ほぼフル尺で観られたのは30組中10組のステージのみとなったが、ライブハウスシーンを支えるバンドたちはつわもの揃いであることを再確認した。それはライブ制作を担う人々の確かな観察眼あってこそのラインナップだからに他ならない。実際、MUSIC MONSTERSに足を運ぶ観客たちも、街に出掛けるのと同じような感覚でライブハウスに赴く、音楽とともに日常をともにしているであろう人々が多いのも特徴的だ。非常に高い音楽的純度に突き動かされ続けた1日。今後のロックシーンへの期待がさらに高まった。

  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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