SPARTA LOCALS、画面越しでも伝わってくる、変態で唯一無二の世界

ライブレポート | 2020.08.14 15:30

SPARTA LOCALS Streaming Live『CHAOS』
2020年8月1日(土) TIAT SKY HALL

SPARTA LOCALS Streaming Live『CHAOS』が8月1日(土)夜8時から無料配信で行われた。HPには、安部コウセイ(Vo.Gt)による「カオスな日々の中で淡々と麻痺してゆく感覚。心が目覚め震える、特別な時間にしたいです。」という文章が綴られている。
会場となった羽田空港国際線ターミナル内のTIAT SKY HALLに独特の不穏な空気が流れる中、舞台には安部光広(B)、伊東真一(Gt)、安部コウセイ、中山昭仁(Dr)が左から右へと斜めに横一直線に並ぶ。SPARTA LOCALS好きの勘の良い人なら何故この並びかに気付くだろうが、それは、また後での話で。

独特の口調でコウセイが始まりを告げるかの様に「We are SPARTA LOCALS!!」と声に出し、伊東のギターが一気に唸りをあげる。ギター、ベース、ドラム全てが気持ちよく決まって音がかき鳴らされ、生では無く、パソコンの画面越しで観てるにも関わらず、思わず大きく息を吸い込んでしまったくらいに凄みがダイレクトに届けられる。

1曲目は今回のイベント名同様「CHAOS」。「脳 カオティック NOW,アクション,NOW」という歌詞が突き刺さってくる。
脳が混沌としてくるような刺激を与えられるし、今すぐ何かしら行動を起こしたくなるような衝動も与えられる。
「I need more real beat」、「I need more satisfaction」という歌詞も本当にそのまんまで、もっとリアルなビートが必要だし、もっと満足が必要な世知辛い御時世、その全てを彼らは始まって一瞬で与えてくれた。1分ちょっとの短い楽曲だが、破壊力は凄まじく、あっという間に掴まれてしまう。

2曲目「GET UP!」でも伊東の鋭いギターカッティングに光広の気持ち良い低音のベースが絡み、そこにコウセイの甲高い声までが絡んできて、中山のドカドカと最高にデカいドラムが乗っかってくる。これぞSPARTA LOCALSという鉄壁のサウンド。続く「I LOVE YOU」でも感じたが、伊東のギターは鋭いだけではなく、怪しげでもあり、その爪弾きは変態とも想える唯一無二の音を紡ぎ出す。よく考えたら、SPARTA LOCALSの音楽自体が普通の状態と違う異常な状態…、つまり変態で唯一無二。それは音源だけの世界ではなく、生のライブだけの世界でもなく、パソコンや携帯電話の画面越しの配信ライブでも確実に伝わってくる。
 「オレのここにモニターがあって、みなさんが『うぁ~!!』となってるのが丸見えですよ!」とコウセイは不敵な笑みを浮かべる。先日、小山田壮平との弾き語り配信ライブで無観客な事に戸惑いをみせていたコウセイとは、まるで別人のような佇まい。そして、「ロックとハニー」を歌い出すが、この日一番のねっとり甘い歌声にうっとりしてのけぞってしまう。彼らの魅力のひとつであるロマンチックさ。「ハニー 永遠はロックンロールと君だけさ」…、こんなロマンチックな歌詞があるだろうか。

去年リリースされた再結成後初となるアルバム「underground」から「アンダーグラウンド」を8曲目として歌い終わったところで、その場でコウセイがしゃがんで先程同様、視聴者のコメントが書き込まれたモニターを覗き込む。「今んとこ一番かっこいい!」、「再結成して、こんな曲を作るなんて凄い!」、「早くライブ行きたい!」といったコメントを読み上げた後、突然、「ハッハッハァ~!!」と高笑いをする。「コロナめ! クソ!」と言ったかと思えば、「コウセイ観てる!」という多分お母さんらしいコメントを読んだりと、この日のコウセイは自由に解き放たれていたし、その姿を観れただけで、こちらは嬉しくて仕方なかった。

「この曲をお前らに捧ぐ」と言って歌われたのは、「希望」。伊東によるミドルテンポのギターがざっくり鳴らされ、光広と中山による「希望にのる」というコーラスが繰り返され、コウセイが「希望のビートにのっかった ゆらめく光で 血がわく ひざが笑う 鳥肌 広がる 何かが始まる気がすんぜ」と初っ端から歌う。この歌い出しだけでゾクッとする…。「ロックとハニー」もそうだが、彼らのミドルテンポ、スローテンポの楽曲はむちゃくちゃ良い。根拠の無い希望を明るく歌われても何も響かないが、悲しさや虚しさを嫌というほど経験してきた彼らに希望を歌われると、こんな希望なら信じてみようと想えるのだ。最後に「希望!」とひとことコウセイが叫んだのも、とてもとても良かった。

「希望」の後、バンドとしてのライブが7ヶ月ぶりであると話すが、「そんな事を言ってても仕方ない!」とコウセイが吐き捨て、光広も「スパルタはタンタンタンとやっていくからね!」と言い、伊東の狂気の様なギターカッティングが再びかき鳴らされる。改めて想うが、1曲ごとの緩急の付け方が本当に振り落とされそうなくらいに冴え渡っている。絶品としか言い様がない光広のベースラインが堪らない「ピース」にも顕著に表れているが、彼らはリズム・ビート・メロディー全てが最高だ。
「俺は今日は、この曲をやりたかった!」と叫んで歌われたのは、「ばかやろう」。コウセイは、ギターを持たず、ハンドマイク1本のみで歌う様も絵になる。マイクコードを気にする事なく、舞台所狭しと軽やかに動き回り、「お前らが入る隙間とかねぇから!」と歌い叫び、カメラに向かって指をさす。「切り捨て御免 情けは無用だと 太りまくってるリッチが笑う だったらずっとハラペコでいいのさ それで死ぬんなら本望だよ」、「何が正義とか悪とかどーでもいいんだ 俺がビッシビシくんなら それがすべてだ」…、これらの歌詞はカウンターカルチャーの精神そのものだ。
何にも屈しず、己を貫き通す。この御時世、特に、勇気をもらったとか、元気をもらったとか、そんな安っぽい言葉に吐き気がするのだが、「希望」や「ばかやろう」からは安っぽくない誠実で真摯な勇気と元気を感じ取る事が出来る。

だが、そんな感傷に浸る一寸の隙も無いまま、切れ味鋭すぎる「jumpin」へ突入するのもSPARTA LOCALSらしくてニヤッとしてしまう。もはや唸り声にしか聴こえない野生味溢れる歌声。

コウセイ自身も歌い終わり、「目ん玉ボーンと飛び出そうになった!」と言っていたが、その言葉そのまんま返したいくらいのえげつない勢い…。
14曲60分弱で駆け抜け、光広が「さっきおってほしかったもんね、この辺に。お客さんの存在は大事ですよ、これは綺麗事じゃなく」と語る。パソコンの画面越しで、この迫力なら、生を観たら一体どうなるんだろうか…。

コロナ終息は、いつになるかわからないが、この日にSPARTA LOCALSの配信ライブを観た全ての人は、既にSPARTA LOCALSに飢えているだろう。だからこそ、15曲目ラストナンバー「トーキョウバレリーナ」の拓けた彩り鮮やかなサウンドで、「やくそくをしよう やくそくさ どこにおっても かけつけよう」と歌われた言葉には、心底沁みてしまう。そうそう、最初に記した4人の立ち位置については、この楽曲のMVを是非とも観て欲しい。何とも粋な立ち位置である。

「ハロー未来、ぼくらの格好悪いビートは続いてる? 速さはおとすなよ 守りにはいる事なんか 今 頭にないぜ」。こんな向こう見ずな彼らに、これからも僕らは必死に食らいついていきたい。そして、世間のマイノリティにも響くように歌われる彼らの素晴らしい歌は、いつかきっと世間のマジョリティーにも響く。そう言い切れるくらいSPARTA LOCALSは今キレッキレである。

SPARTA LOCALS - 『トーキョウバレリーナ』

SET LIST

01. CHAOS
02. GET UP!
03. I LOVE YOU
04. UFOバンザイ
05. ロックとハニー
06. 黄金WAVE
07. 名なしの犬公
08. アンダーグラウンド
09. 希望
10. Leaky drive
11. THE CLUB
12. ピース
13. ばかやろう
14. jumpin
15. トーキョウバレリーナ

  • 取材・文

    鈴木淳史

  • 西槇太一

    撮影

    西槇太一

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