有安杏果、1年3ヶ月ぶりのライブで、「音楽は人の心を豊かにする、心の栄養剤になると信じてます!」

ライブレポート | 2020.11.21 12:00

有安杏果 サクライブ 2020
2020年11月12日(木)LINE CUBE SHIBUYA[渋谷公会堂]
〈Band Member〉Gt:福原将宜 Key:宮崎裕介 Dr:波田野哲也 Ba:川崎哲平

有安杏果が11月12日(木)にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて有観客のワンマンライブ『サクライブ 2020』を開催した。直前まで何度も入念なリハーサルを繰り返しながらも、残念ながら延期・中止なってしまった全国8カ所に及ぶ春のライブツアー「サクライブ Tour 2020」を1公演のみに集約したステージ。彼女にとっては、昨年夏の全国ライブハウスツアー「Pop Step Zepp Tour 2019」以来、実に1年3ヶ月ぶりで、2020年に入ってから初めてのワンマンライブとなっており、演者も観客も生のライブ演奏、音楽そのものを純粋に楽しみたいという気持ちが溢れていたように思う。

開演時間になると、場内BGMに合わせて自然とクラップが始まった。やがて、暗転し、福原将宜(Gt)、宮崎裕介(Key)、波田野哲也(Dr)、川崎哲平(Ba)が登壇。一瞬の静寂の後、バンドメンバーがイントロを演奏し始め、有安杏果が登場すると、割れんばかりの大きく温かい拍手が沸き起こった。

福原将宜(Gt)

宮崎裕介(Key)

波田野哲也(Dr)

川崎哲平(Ba)

声を上げられないオーディエンスの気持ちがこもった拍手に対し、彼女は実に感慨深そうに深々とお辞儀をし、アコギを抱えてミドルテンポのフォークソング「サクラトーン」を唄い始めた。春ツアーでも歌う予定だったとは思うが、<何かのせいにするのは/もうやめた>というフレーズが、ライブが見たくても見れない、声を出したくても出せないコロナ禍でライブならではのニュアンスで心に響いてきた。アコギをエレキに持ち替えて、ロックナンバー「Runaway」へ。有安はステージの最前で激しくかき鳴らし、ギターソロも披露して観客を盛り上げた。

最初のMCでは、「すごい……夢みたいだね。まだ信じられない自分がいます」と本音を吐露。そして、「皆さん、本当にお待たせしました。サクライブ2020へようこそ」と挨拶すると、再び大きな拍手が沸き起こり、なかなか鳴り止むことはなかった。彼女もバンドメンバーもスタッフも観客も、この日が来ることを心から待ち望んでいたことが伝わってくる拍手だった。

「可愛い女の子の気持ちがぎゅっと詰まってる曲たちです。まずは出会いのシーンから行きます。恋の始まる時を描きました」と紹介した新曲「Do you know」からは彼女のダンスパフォーマンスがたっぷりと堪能できるパートとなっていた。アーバンなファンクに乗せて軽やかに華麗に踊りながらフェイクもこなし、間奏のピアノ〜ギターによるソロに合わせて、ジャズからロックへとダンスの表現も変化。速いパッセージのジャズナンバー「愛されたくて」ではスキャットも飛び出し、「LAST SCENE」では妖艶で官能的なフリを交えながら、エレキギターのソロの間は激しく踊り、やがてビートと完全にシンクロ。3曲続けて踊ったのは久しぶりということもあり、歌い終えた彼女が「歌いながら踊るのはきついわ。あと5年経ったら無理だわ」と語ると、場内からはマスク越しの笑い声が上がった。

ダンスから歌へ。「子役をやったり、オーディションをいっぱい受けてるときに何度か歌わせていただいていた」というMISIA「Everything」のカバー(これは11月公演ならではかも!)では見事なハイトーンを鳴らし、ベースがウッドベースの弓弾きからエレキベースへと1曲の中で変化する「虹む涙」ではローもしっかりと響かせつつ、ファルセットも繰り出した。彼女のヴォーカリストとしてのスケールの大きさや多彩さが伝わってくる構成となっていた。

夏が終わる切なさを描いたバラード「ナツオモイ」をじっくりと聴かせたあと、「Drive Drive」では客席に座ったままでの熱いクラップとタオルを回しも実現。そして、コロナの感染拡大が収まらない現状に触れ、「なかなか自分ができることはないけど、みんなが少しでも楽になったり、元気になったりしてくれたらいいなと思いながら曲を作ったりしています。今日のライブを皆さんが振り返ってみたときに、特別な時間になっていたらいいなと思っています」と観客に向かって語りかけ、4年前の熊本地震の際に作った「小さな勇気」を自身のアコギの弾き語りから歌い始めた。彼女の歌声には、この歌を絶対に届けるんだという祈りにも似た強い願いが込められており、その思いに観客は<ラララ>と合唱できない代わりに、大きなクラップで応えた。

DREAMS COME TRUE「何度でも」をエレキギターに焦点を当てたバンドサウンドでカバーした後、1月のツアータイトルと、来春の「サクライブ」ツアーの開催を発表。「今年行けなかった全国8箇所に行きます!」という嬉しいニュースとともに、初の弾き語りツアーであることも明かし、「自分の歌と楽器だけでどこまでできるのか。本当に人生初なので、挑戦にもなるんですけど、みんなに楽しんでもらえるように考えてます」と意気込みを語った。

そして、ハンドマイクでステージを駆け回りながら歌い、間奏ではダンスも見せたピアノロック「Catch up」、バスドラの4つうちに合わせてクラップが盛大に鳴り響いた「TRAVEL FANTASISTA」、再びエレキギターを手にしたロックナンバー「Another Story」で場内のテンションを引き上げると、有安は満面の笑顔で「ありがとうございました〜!」と手を振りながら、ステージを下りた。

アンコールでは恒例の「逆再生メドレー」も実現。スピード感たっぷりのアップテンポのロックチューン「Another Story」がピアノとヴォーカルから始まるバラードへと変化したのを皮切りに、アーバンR&Bやレゲエ、セカンドライン、ボッサ、ヘヴィーでハードなメタルロック(シャウトあり)、スカ……と、先ほど披露されたセトリを逆の順番で様々なジャンルとテンポにアレンジ。これほど変えられるのかと驚く楽曲もあり、いつも音楽の豊かさを感じる幸せな時間となっている(演者は大変だろうが)。

そして、「ようやく今、ライブができてるんだなと感じております」と実感を込めて話し、「次のライブを観にきてくださる方はまた会おうね。遊びに来てください。待ってます」と再会を約束。最後に「改めて、みんなの大切な時間を預けてくれて、本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝え、「私たちがやってる音楽は人の心を豊かにする、心の栄養剤になると信じてます。明日からの日常に戻った時に今日のことを思い出してくれたらいいなと思います」と優しく語りかけ、彼女がアコースティックギターで初めて練習した曲でもある「ペダル」をリアレンジで演奏。<自分にしか出来ない世界を描こう!>と高らかに歌い上げたが、アコギの弾き語りという意味では彼女の原点とも言える楽曲である。来春の弾き語りツアーへの期待を抱かせる演奏となっていた。

なお、有安はまず、2021年1月に東名阪ツアー「有安杏果 Live Tour 2021 "雫ノ音"」を開催する。そして。来年4月に全国ツアー「サクライブ 弾き語りツアー2021」を行う。桜が咲く季節に開催してきた「サクライブ」ツアーは2021年で3回目を迎えるが、バンドメンバーを携えない弾き語りでの開催は彼女にとって初の試みとなる。

SET LIST

01. サクラトーン
02. Runaway
03. Do you know
04. 愛されたくて
05. LAST SCENE
06. Everything(-MISIA cover-)
07. 虹む涙
08. ナツオモイ
09. Drive Drive
10. 小さな勇気
11. 何度でも(-DREAMS COME TRUE cover-)
12. Catch up
13. TRAVEL FANTASISTA
14. Another story

ENCORE
01. 逆再生メドレー
02. ペダル

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