Nothing’s Carved In Stone、10カ月ぶりのワンマン。観客の前で演奏する悦楽が全編に渡ってスパークした

ライブレポート | 2020.11.26 12:00

Nothing's Carved In Stone "Live on November 15th 2020"
2020年11月15日(日) KT Zepp Yokohama

開演前BGMにRED HOT CHILI PEPPERS、THE MARS VOLTA、FOO FIGHTERS、THE CHEMICAL BROTHERS、NINE INCH NAILSなどが次々と流れ、どの曲もNothing's Carved In Stone(以下ナッシングス)の音楽性とリンクする選曲に気分は高揚した。会場でこうしてバンドのルーツ・ミュージックに触れられるのも、現場ならではの醍醐味である。

ナッシングスのワンマン・ライヴ「Live on November 15th 2020」が今年3月にオープンしたばかりのKT Zepp Yokohamaにて開催。イベント名にバンドの代表曲である「November 15th」が刻まれている通り、毎年11月15日に行われている恒例行事だが、今回は有観客+生配信という形式にて決行。新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインに沿い、収容人数50%以下の集客制限のもと、1階フロアには椅子が設置されていた。

18時5分、オープニングSEと共に村松拓(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)がゆっくりとステージに登場。記念すべき1stアルバム『PARALLEL LIVES』の冒頭曲「Isolation」で幕を開けると、まずは音の良さに驚いた。2階後方で観ていたが、メンバー4人の演奏に体を射抜かれるようなインパクトを覚えた。観客の中には右手を挙げてノッている人たちも多く見かけられ、早くも興奮状態に陥っているようだ。青のレーザー光線が飛び交う中で「In Future」に繫ぐと、村松はハンドマイクに切り替え、「行こうぜ!」と力強くフロアに呼びかけ、Zepp Yokohamaを覆い尽くすスケール感のある曲調に酔いしれる。次の「Spirit Inspiration」では躍動感漲るサウンドを叩き付け、拳を突き上げて体を左右に動かす観客がみるみると増えていく。

村松拓(Vo/Gt)

ポジティヴな光りを放つ「Beginning」を経て、「いつも通りにやるから」と村松は短いMCを入れ、今年3月に配信リリースされた「NEW HORIZON」を有観客で初披露した。印象的なコーラス・ワークを配したミドルテンポの曲調だが、サビで一気に突き抜ける晴れやかな展開はライヴでも抜群の映えっぷり。その後も地を這う肉厚グルーヴで迫る「Who Is」、観客がモンキーダンスで踊る「Rendaman」と続き、会場の熱気も右肩上がりに上昇。

生形真一(Gt)

日向秀和(Ba)

大喜多崇規(Dr)

中盤に「Red Light」に移ると、曲調とリンクした赤い照明も効果的で会場全体の雰囲気をグッと盛り上げていた。それから村松がアコギに持ち替えると、「シナプスの砂浜」へ。歌メロを前面に押し出す一方、リズミックなドラムを含めて個々のフレーズでも惹き付けられた。曲が終わると、自然発生的に盛大な拍手が場内に轟き、そんな温かい観客のリアクションを受け、「泣きそうになった」と村松が零す場面もあった。

再び「行けるところまで行こうぜ、横浜!」と熱く叫び、さらにバンド全体のギアを上げていく。開放感溢れるエネルギーに満ちた「Out of Control」に入ると、瞬時にダンスフロアのごとき熱狂を作り上げ、多くの観客がナッシングスの音色に狂喜乱舞している様が伝わってくる。その活気を増幅させるように「Like a Shooting Star」、「Around the Clock」と畳み掛け、「マジで一つになりたい」と挟んだ後に「きらめきの花」をプレイ。観客は左右に大きく手を振り、会場を見事一つに束ねた後、本編ラストは「November 15th」でビシッと締め括り、大勢の観客とこの曲を共有できる喜びを改めて噛みしめた。

アンコールに応えると、幻想的なイントロが耳を引く「BLUE SHADOW」へ。青白い照明も映え、村松の表現力豊かな歌声に加えて、そこにピタリと寄り添う生形のコーラスも素晴しく、雄大なグッド・メロディに思わず聴き惚れてしまった。そして、今年6月に配信リリースした「Dream in the Dark」も有観客においては初めてプレイされ、キャッチーな楽曲の魅力を存分に発揮。さらにWアンコールとして「Perfect Sound」も追加され、メンバー4人が心底楽しそうに演奏する姿が何より印象的だった。その波動は観客にも伝わり、会場は最高潮の盛り上がりを記録する。

ライヴ中に「(有観客のワンマンライヴは)10カ月ぶりですよ」と村松は発言していたけれど、久しぶりに観客の前で演奏する悦楽が全編に渡ってスパークしたようなライヴであった。デビュー時から休むことなく、曲作りとツアーを両輪に精力的に駆け抜けてきた彼ら。まだ先行きは読めないところもあるが、来年もナッシングスは活発に動いてくれるに違いない。今日のライヴを観ながら、個々のプレイヤビリティの高さ、バリエーション豊かな楽曲の数々はもちろん、メンバー一丸となったカタマリ感は今が最高なのではないかとつくづく感じた。早くまたナッシングスの鉄壁のパフォーマンスを全身で浴びたいものだ。

SET LIST

01. Isolation
02. In Future
03. Spirit Inspiration
04. Beginning
05. NEW HORIZON
06. Who Is
07. Overflowing
08. Rendaman
09. Pendulum
10. Red Light
11. シナプスの砂浜
12.. Milestone
13. Out of Control
14. Like a Shooting Star
15. Around the Clock
16. きらめきの花
17. November 15th
EN1. BLUE SHADOW
EN2. Dream in the Dark
W.EN. Perfect Sound

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