AliA デビュー3周年当日に開催した「AliAliVe2021 -FANFARE- リベンジ公演」をレポート!

ライブレポート | 2021.08.02 17:00

AliAliVe2021 -FANFARE- リベンジ公演
2021年7月23日(金・祝)新宿BLAZE

2018年に結成された男女混合6人組ハイブリッドロックバンド、AliA。2020年に予定していた全国ツアー、アジアツアーは新型コロナウイルス感染症の影響で中止を余儀なくされた彼らだったが、2021年春に全国9都市を回る全国ツアー「AliAliVe2021-FANFARE-」を敢行。全国各所で現在の姿を新曲たちとともに堂々と見せつけた。

だが同ツアーのフィナーレを飾るEX THEATER ROPPONGI公演が、開催数日前に緊急事態宣言の発出を受けて無観客配信ライブへと変更。中止は免れたものの、この1年間様々な思いを胸に音楽と向き合ってきた6人にとって無観客という環境にやるせなさは否めなかった。

その無念を晴らすべく決定したのが7月23日に新宿BLAZEで開催された「AliAliVe2021-FANFARE-リベンジ公演」だ。2ヶ月半越しのツアーファイナルであり、結成3周年ライブ。3年間のAliAとしての人生が純度高く伝わってくる2時間だった。

開演予定時間の数分前、メンバーによる軽妙な影アナが場内に響き渡った。『アナと雪の女王』の替え歌(ハモりもばっちり)で注意事項を音声コント風味に届けるとColdplayの「Viva La Vida」がフルコーラス流れる。曲中で少しずつ場内が暗くなり、それにつれてステージセンターに設置されたバンドロゴ入りのお立ち台にスポットライトが当たり始めた。

BGMがSEに切り替わると青いライトがゆっくりと旋回。たちまちステージが明るく照らされると、白を基調とした新衣装に身を纏ったメンバーが笑顔で登場した。6人がドラム前で手を重ねて円陣を組むと、8月4日リリースの配信シングル「ノスタルジア」でライブがスタート。3周年という節目の幕開けに最新曲を選ぶところに、バンドの気合いが窺える。

AYAME[Vo]

テクニカルな演奏がスリリングな「シルエット」を演奏し終えると、拍手をする客席に視線を向けたAYAME(Vo)は「すごい! この景色久し振りに観た、ヤバい!」と興奮気味に笑顔を浮かべる。EREN(Gt)やSEIYA(Ba)も無事に観客とともにこの日を迎えられたことへの喜びを口にし、AYAMEは当日が快晴なことに嬉々とした表情を浮かべ、あらためて感謝を告げた。

EREN[Gt]

SEIYA[Ba]

彼女の「今日という当たり前ではない日をみんなで一緒に大切にして、最高の日を作っていきましょう!」という呼びかけから、観客がタオルを回す「ユートピア」へ。TKT(Key)は右手で的確にプレイしながら左手で観客へ訴えかけるようにタオルを回し、RINA(Vn)は間奏で優雅かつ緊迫感のあるバイオリンソロを響かせる。AliAの楽曲は怒涛の展開で魅せるドラマチックな楽曲が多い。異なる個性を持つ6人が、楽曲のストーリーを丁寧かつダイナミックに届けてゆくサウンドスケープは、フロアの観客一人ひとりをその物語の主人公に導いてしまうほどリアリティ感満載だ。

TKT[Key]

RINA[Vn]

AYAMEはフロントマンとしてバンドおよび会場全体をたくましく牽引し、他のメンバーはナチュラルかつのびのびとした演奏を通して観客に向き合う。そのコントラストやバランスもバンドとしての結束感をより高めていた。

妖しげな雰囲気とポップネスが交錯する「ケセラセラ」、リズム隊の導入から「ステロイド」と刺激的な楽曲を立て続けに披露したあとは、ヘビーロックバラードの「イドラ」で場内の空気を一転。AYAMEは深く楽曲のなかに入り込んで悲痛な心情を歌声へと変換していく。クライマックスとなるラストのサビでは楽器隊5人がコーラスでハーモニーを作る。物々しいクワイヤのような雰囲気のステージは、楽曲に宿る強い願いを訴えかけるようだ。アウトロのTKTのピアノソロの、高雅な指づかいに釘付けになった。

6曲を演奏し終えたところで、BOB(Dr)はカホン、ERENはアコースティックギターを構えてアコースティックパートへ。AYAMEの思い入れの深い楽曲という「インストップデート」と、大好きな曲という「letter」の2曲を届ける。特に後者は彼女の「思ったことを素直に言えないタイプだから、歌だったら伝えられるかな?と思って作ってみた」というMCを裏付けるような、透明感のあるまっすぐな歌声が響き渡る。それを楽器隊がそっと優しく支える様子も非常に穏やかであたたかい。6人の関係性がAliAのサウンドスケープの基礎となっていることが再確認した一幕だった。

BOB[Dr]

夜の森のなかを歩く効果音から楽器隊による壮大なインストへなだれ込むと、スピード感のあるロックナンバー「impulse」、ハードでありながらユーモラスでキャッチーな「Discord」を畳み掛ける。ERENとSEIYAがBOBの元に集まったり、AYAMEがTKTと向き合って歌ったり、TKTがショルキーを持ってセンターのお立ち台でプレイするなど、見目鮮やかなパフォーマンス。6人というメンバー編成を存分に生かしたステージングだ。

ロックバラード「翼が生えたなら」では願いを込めるような歌唱がひたむきに響き、変拍子が危うさや悲哀を繊細に浮かび上がらせる「equal」ではメンバー全員のストーリーテリングスキルの高さが光る。音楽でもって音楽を飛び越えていくような気概が、一音一音に漲っていた。

AYAMEはTKTのピアノに乗せて、バンドの怒涛の3年間を振り返る。幼馴染でもなくほぼ初対面の状態でバンドを結成し、膨大な本数の全国ツアーや海外ツアーを行ったこと、コロナ禍で「わたしはバンドをやっていていいのかな?」と悩んだことを吐露する。だが相次ぐバンドの解散や脱退の報を受けて、彼女は「やっぱりAliAは6人でAliAだから、ひとりも欠けてほしくない。ここで諦めちゃいけない」と決意を新たにしたという。「バンドを辞めたいと思った時も、このメンバーでしか奏でられない音があることを忘れられなかったです」と語る彼女の目には涙が浮かび、それを横で聞くRINAも小さく涙を拭っていた。

「わたしはAliA結成時から、“この6人ならどこまでも行ける気がする”と言い続けてきました。このAliAチームで東京ドームまで行きたい。この6人ならそれを叶えられると思ったから……。どうにもならない状況下でも生きてやりましょう」――AYAMEのその言葉のあと、本編ラストを締めくくったのはバンドの代表曲「かくれんぼ」。彼女の思いに応えるようにメンバーは鬼気迫る演奏を繰り広げ、フロアは固く結んだ拳を掲げ高らかなクラップを鳴らす。その一体感は、AliAの第2章の幕を開けた瞬間のようにも感じられた。

アンコールでは今年の年末に1stフルアルバムをリリースすること、現在それを制作中であること、8月の「ノスタルジア」を皮切りに配信シングルをマンスリーリリースしていくこと、来年Zeppツアーを行うことを発表。すると同作に収録予定の新曲「鬼ごっこ(仮)」を初公開した。

「この先世の中がどうなるかわからないけれど、AliAはずっと楽しいことをみんなに届け続けていきたい」と語ったAYAMEは「挑戦だと思うけど、やってやろう!という4年目のバンド人生にしていきたい」と堂々と宣言。6人は最後にバンド結成当時の楽曲「SLIDE SUNSET」を演奏する。明日に期待したくなる同曲は、足並みをそろえて新章に進みだす彼らの背中を鮮やかに照らしていた。

SEIYAの「厳しい時代ではありますが、俺たちはこの6人で、未来を全力で作っていきます。これからもみなさんと一緒に最高の未来を生きていきたいと思います!」という発言のあとメンバー全員で感謝の言葉のあとに礼をすると、フロアからはやわらかい拍手の音が鳴り響く。コロナ禍によりバンド内に立ち込めた暗雲を乗り越えた6人は、この先いったいどんな気持ちを音楽にしていくのだろうか。彼らの言う「最高の未来」の行方を追い続けたい。

SET LIST

01. ノスタルジア[新曲]
02. シルエット
03. ユートピア
04. ケセラセラ
05. ステロイド
06. イドラ
07. インストップデート
08. letter
09. impulse
10. Discord
11. 翼が生えたなら
12. equal
13. かくれんぼ

ENCORE
01. 鬼ごっこ(仮)[新曲]
02. SLIDE SUNSET

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公演情報

DISK GARAGE公演

2022年、Zeppツアー決定!

詳細はオフィシャルサイトをご確認ください

RELEASE

「ノスタルジア」

新曲

「ノスタルジア」

2021年8月4日(水)配信リリース!

『タイトル未定』

2021年末、アルバムリリースが決定!
  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 撮影

    青木カズロー

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