SAYONARA Zepp Tokyo! OBLIVION DUST流の感謝のステージを濃密レポート!

ライブレポート | 2021.12.28 18:00

OBLIVION DUST Live “SAYONARA Zepp Tokyo”
2021年12月21日(火) Zepp Tokyo・東京

OBLIVION DUSTが12月21日に『SAYONARA Zepp Tokyo』と銘打って、Zepp Tokyoでライヴを開催した。多くのミュージシャン、音楽ファンに愛され、2022年の1月1日に惜しまれつつもその歴史にピリオドを打つZepp Tokyo。OBLIVION DUSTは今年の9月に東名阪ツアーで同会場に立っているが、急遽、決定した今回のライヴはバンドと会場の関係の深さを物語る。コロナ禍の憂鬱を忘れさせてくれる最強で最高のアクト。エナジーに満ちたこの日の模様をお伝えしよう。

ライヴは「Microchipped」で幕を開けた。いきなり攻めのナンバー。フロアーからは無数の手が挙がり、KEN LLOYD(Vo)がステージ狭しとアグレッシブに動きまわり、K.A.Z (Gt&Programming)がギターのネックを高く掲げ、RIKIJI(Ba)がモニターに足をかけ、ベースをかき鳴らす。続いてARIMATSU(Dr)とRIKIJIの強靭でタイトなリズムにシーケンスが絡み、K.A.Zのフックのあるギターリフが活きるライヴの定番曲「Satellite」を披露し、ミニアルバム『DIRT』収録曲の「In Motion」へと。轟音と広がりのあるメロディがひたすら心地いい。曲が終わるたびに盛大な拍手がわき起こる。

「Zepp、こんにちは。OBLIVION DUSTです。まさか、またここで“こんにちは”と言うとは思いませんでしたけど、ラッキーなことにやらせていただいています」。

MCではKENが前回のZeppでK.A.Zが感動的なスピーチをしたことに触れ、(1999年Zepp Tokyo誕生の年にオブリはZilch、Kyoと同じステージに立っている)「今日は何を準備してくれてるんでしょうかね」とK.A.Zの方を見るものの、つれないリアクション。その答えは後にわかることになる。

MCを挟んでのセットリストにはレアなナンバーが盛りこまれた。KENが空気を切り裂くようにシャウトした「Crystal Clear」はダークなトーン。緻密且つダイナミックなバンドアンサンブルが秀逸だ。一転、まばゆい光がステージと客席を照らした「Again」は激しさと切なさが交錯するエモーショナルなナンバー。ステージがオレンジ色に染まった「Alien」ではKENがノスタルジックな情景を喚起させるようなヴォーカルを響かせた。OBLIVION DUST前期のナンバーたちがアップデートされて届けられ、K.A.Zのテクニカルで美しいギターフレーズとRIKIJIのメロディックなベースに耳を奪われる「When You Say...」へと。KEN LLOYD、K.A.Z、RIKIJI、全員がシャープな攻撃性と繊細さを兼ね備えたミュージシャンであることがOBLIVION DUSTにしかない世界を創りあげる。やんちゃでありながら、ロマンティストと言い換えてもいいかもしれない。その振り幅とサプライズに驚かされたのが、次に投下されたZilch(hideが世界を視野に組んだバンド)のカバー「Electric Cucumber」だった。真っ赤に染まったステージで間合いが超スリリングでクレイジーなナンバーが轟音で放たれ、KENのヒリヒリしたヴォーカルに釘づけになる。コロナ禍でなかったら、フロアーは揉みくちゃだっただろう。この曲について触れることはなかったが、Zilchと共演した思い出のZeppだからこそのセレクションだったのではないだろうか。

「あまりやらない曲をたくさんやってしまいました。前回の9月のZeppと同じステージだと思うんですが、なぜか今日のステージはツルツルなんですよ。1曲目で3回ぐらいコケそうになりまして。9月から毎日、K.A.Zがこの日のためにステージを磨いていたんじゃないかなと。それぐらいの気持ちを込めて残り頑張りたいと思うのでよろしくお願いします」

ステージ背後のブルーのライトが飛行場の滑走路のランプのように見えた「Gateway」ではハンドクラップの中、甘酸っぱいメロディと轟音が気持ちよく溶け合い、KEN、K.A.Z、RIKIJI、YUJI(Gt)がアグレッシブなパフォーマンスを繰り広げた「Goodbye」、KENの歌とK.A.Zのギターで始まった「Lullabye」へと移行し、会場が満たされた空気に包まれていく。「Never Ending」では場内にいた人は心の中で歌い、配信を見ていた人は一緒に歌っていたのでは?と想像させられた。EDMアプローチの「Haze」では天井に据えられたミラーボールの光が降り注ぎ、Zeppは至福の空間に。OBLIVION DUSTが鳴らすロックはいつだって胸をザワつかせる。フリーズした心を溶かす力を持っている。

「これがZepp Tokyoでの最後のMCとなってしまいます。本当にZeppにはお世話になってきました。たぶん、僕が日本にいる間、ずっとお世話になっているぐらい。もちろんK.A.ZもRIKIJIもArlyもYUJIも僕たち以外の他のアーティストもたくさんお世話になっていて、お客さんも“いい小屋だな”って思っているってことで。そういう意味で日本の音楽シーンの中ですごく貴重な場所だったんじゃないかなと思っております。Zeppに次の曲を捧げたいと思います」

投下されたのは歪みまくりの凶悪サーフロック「Death Surf」。K.A.Zのサーフギターが粋なスパイスとなり、RIKIJIがマシンガンのようにベースを客席に向ける。後半戦はOBLIVION DUSTの熱量と心意気に圧倒されるステージング。KENのヴォーカルは年齢を忘れたのかと思うほどエネルギッシュだ。ビートのセンスが最高な「Fade」、「Under My Skin」と間髪入れずにアドレナリン噴出のナンバーが放たれ、「Nightcrawler」、ラストナンバーは暴れ倒した「Sink The God」で終了。いつものごとく、アンコールはなし。この潔さもOBLIVION DUST。

なお、OBLIVION DUSTは2022年の1月22日(土)に東京・Spotify O-EASTで『OBLIVION DUST - 25th anniversary year “No Quarter” Live 2022』と銘打ってライヴを開催する予定。25周年イヤーの幕が切って落とされる。

SET LIST

01. Microchipped
02. Satellite(Unreleased)
03. In Motion
04. Crystal Clear
05. Again
06. Alien
07. When You Say...
08. Electric Cucumber(The original is by Zilch)
09. Gateway
10. Goodbye
11. Lullabye
12. Never Ending
13. Haze
14. Death Surf
15. Fade(Unreleased)
16. Under My Skin
17. Nightcrawler
18. Sink The God

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