Live CRUSH! - SUPER BEAVER × Nothing's Carved In Stone -
2022年3月1日(火)豊洲PIT
コンサートプロモーター・DISK GARAGE企画による新規イベント「Live CRUSH!」が豊洲PITで開催。本イベントはコロナ禍で様々な規制が敷かれるライヴ・シーンにおいて、それぞれが抱えるモヤモヤした感情を打ち砕き(=CRUSH!)、心から音楽を楽しんで欲しいという願いを込めて立ち上げられた。記念すべき第一回目はライヴ猛者の2バンドが顔を揃える。SUPER BEAVER、Nothing’s Carved In Stoneの強豪ツーマンとなり、この日はガイドラインを遵守してスタンディング形式で行われた。
先頭を切ったのはナッシングスだ。SEと共に村松拓(Vo/G)、生形真一(G)、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)のメンバー4人が現れ、昨年12月に出た11thアルバム『ANSWER』から「Deeper,Deeper」で幕を開ける。耳をつんざく生形のヘヴィなギターを合図に、いきなり重厚なバンド・サウンドを浴びせる。体の芯から激しく揺さぶられる演奏に、ライヴハウスに来た実感が沸き上がってくる。「In Future」に入ると、さらに重心を低くしたヘヴィ・グルーヴを解き放ち、村松はそれに負けじとパワフルな歌声で観客を掌握していった。
「“Live CRUSH!”へようこそ!久しぶりのツーマン、嬉しいです」と語り、ビーバーとは7年ぶりの対バンであることを告白。その後にバンドの結成日を冠した代表曲「November 15th」を早くも披露。ゆっくりしたテンポから一気に突き抜けるサビは素晴らしく、威風堂々とした疾走感に惹きつけられた。自然とハンドクラップが巻き起こった「Pride」を経て、「Beautiful Life」では爽快な歌メロでフロア全体を強烈に照らしていた。
「(SUPER BEAVERは)7年前も俺らの中ではキテいて、一緒にやりたいと思ってた。『ANSWER』ツアー、5日前に豊洲PITで終えたばかりだけど、今日は景色が違う。試されている気がする」と村松。加えて、楽屋にイベントの企画担当者から「ビーバーとナッシングスの対バンは夢だった」と置き手紙があったことにも触れ、その思いを抱えて後半戦に突入した。
日向のスラップ・ベースを含む肉弾サウンドで攻め込む「Like a Shooting Star」を皮切りに、「Spirit Inspiration」、「Out of Control」と続き、会場の熱気は右肩上がりに上昇。ラストは「Walk」で締め括り、ポジティヴなメッセージを掲げた日本語詞も相まって、感動的なエンディングであった。
そして、「楽しむ準備はできてますか? 東京!」と渋谷龍太(Vo)が呼びかけると、SUPER BEAVERの登場だ。柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原”33才”広明(Dr)が演奏を始めると、「アイラヴユー」からハートフルな声色で観客を一つに束ねていく。「ナッシングス、かっこ良かったですか? 悔しいので本気で行きます!」と告げると、「正攻法」へ。渋谷は身振り手振りを交えてステージを練り歩き、そこに人間臭くも荒々しい演奏が重なり、フロアは手を上げてジャンプする人たちが増えていく。
「俺らとナッシングスだけじゃない、みんなと一緒にこの時間を作らないと意味がない! 正々堂々、1対1の勝負」と煽り、次は「突破口」をプレイ。「今をやめない」と連呼する歌詞に背中を押され、「あなたがこの会場を出てからも」とアドリブを入れて、「正々堂々」の歌詞に繋げる流れにもゾクッとした。
「お互いその場所にいる意味を作ろうぜ!」と声をかけ、祝祭感に満ちた「予感」は閉じかけた心の扉をオープンにしてくれるフレッシュな躍動感を叩きつける。「そのモヤモヤした感情もあなたの感情、その感情をひっくり返すのもあなた」と、曲中に挿入した言葉にハッとさせられた人も多かったのではないか。
「大好きな先輩とツーマン、それを見てくれるあなたがいる。それじゃあ、久々の曲」と紹介した後、両手を差し伸べるように「your song」を丁寧に届け、多くの観客が聴き入っていた。「“Live CRUSH!”一回目を一緒に作れて嬉しい。2、3回目とこのバンドたちを超えるのは難しそう。それを俺たちが作ったんだぜって、言おうぜ!」と高らかに告げ、「あなたがいるからライヴハウス!」と付け加えて、「証明」、「青い春」と前のめりの演奏でさらに熱く畳みかけてくるビーバー。
そして、ここにいる観客一人ひとりに伝えるように「名前を呼ぶよ」では、渋谷のエモーショナルな歌声が豊洲PITのスケールに収まらない雄大な響きを帯びていた。その後、「アンコール用意してきたけど、先輩と均等に50分。大好きなあなたを命を賭けて守ります。あなたをジャマする奴すべてに中指を立てる!」と言い切り、最終曲「さよなら絶望」へ。攻撃力抜群のパンク・チューンで駆け抜け、「抗ってやろうぜ」の歌詞と共に会場と一体化した瞬間は、すべてのモヤモヤを雲散霧消させる破壊力を発揮していた。
コロナ禍においても、いや、コロナ禍だからこそ、ライヴは音楽はあなたの心を救い、励まし、大きな力となる。それを見事に証明してくれた2バンドの演奏に多くの人が大満足したことだろう。第一回目にして、“金字塔”と謳いたくなる素晴らしい空間がここにはあった。
SET LIST
Nothing’s Carved In Stone
01.Deeper,Deeper
02.In Future
03.November 15th
04.Pride
05.Beautiful Life
06.Like a Shooting Star
07.Spirit Inspiration
08.Out of Control
09.Walk
SUPER BEAVER
01.アイラヴユー
02.正攻法
03.突破口
04.予感
05.your song
06.証明
07.青い春
08.名前を呼ぶよ
09.さよなら絶望