ASH DA HERO主催 対バンイベント “GACHINKO”! vs The BONEZ!

ライブレポート | 2022.03.29 18:00

ASH DA HERO presents "GACHINKO" ASH DA HERO vs The BONEZ
ゲストアクト:Newspeak
2022年3月22日(火) Spotify O-EAST

3月22日(火)の東京、渋谷。昼前から雪やみぞれ混じりの雨が降り始めたこの日、気温は朝から一桁代。桜の開花宣言後にも関わらず、真冬並みの1日となっていた。
しかし渋谷Spotify O-EASTに限っては、開場直後から熱さが充満。なにしろロック・バンド=ASH DA HEROが仕掛ける対バン・ライブの2回目となる<ASH DA HERO presents “GACHINKO” ASH DA HERO vs The BONEZ>が行なわれるからだ。しかも、1月から続いていたまん延防止等重点措置が、前日の3月21日に終了したばかり。この2年近く、1階に常設されていた椅子は排除され、スタンディングのライブ会場という本来の姿を取り戻しつつある渋谷Spotify O-EASTでもある。

そのステージに最初に登場したのは、ゲスト・アクトのNewspeak。この対バンへ出演が決まる前、ASH DA HEROのASH(Vo)は個人的に彼らのライブを観に行き、スケール感のでかい曲や音に一発でほれ込んだという。またThe BONEZのT$UYO$HI(B)は、Newspeakが2021年に発表した2作目『Turn』に“U2に目をつけられてもおかしくない”といったコメントも寄せている。この対バンに出演するのもNewspeakにとって決まっていた運命と言えるだろう。

Newspeak

幻想的なSEと共に始まったNewspeakのライブは、まさにアイルランドの風を感じさせる。シンガーのRei(Vo,G,Kb)は、透明感と同時に深みもある男の色気をまとった歌声の持ち主。Newspeak結成前はイギリスのリバプールで音楽活動をしていたため、ネイティブな発音の英詩。オーディエンスは歌に気持ちを吸い寄せられ、ドラマティックな曲に魅了されるのみ。またスタンディング会場を何万人のアリーナ・クラスと思わせるぐらい、Newspeakは広がりや奥行きある世界をバンド・サウンドで描き出す。その一方で3曲目「Media」では、ブラック・ミュージックも飲み込んだダンサブルさも放ち、あの伝説的なバンド=ザ・パワー・ステーションを想起させた。さらにギターも鍵盤も操るRei、ベースに加えてシンセ・ベースやパーカッションも担当するYohey、様々なビートをアートの次元へ変えていくSteven、繊細なフレージングを聴かせるサポート・ギターの早川知輝など、全員が卓越した技術を持つバンドでもある。わずか20分だったが、オーディエンスにとって贅沢な時間となった。

大音量で流れるビースティ・ボーイズの「Sabotage」を合図に、ステージに飛び出たのはThe BONEZ。笑顔でハンドクラップするZAX(Ds)に合わせて、オーディエンスもひとつになってハンドクラップ。そのZAXのもとにKoki(サポート・ギター)、T$UYO$HI(B)、JESSE(Vo,G)が集まり、手のひらを重ねて、気合いの入った掛け声をあげた。そのまま一気に攻め立てると思われたが、コード・ストロークしながらJESSEが優しく歌い始める。そしてイントロを歌い上げた直後、厚みあるバンド・サウンドと共に始まる「Until you wake up」。

The BONEZ

前から愛情深き男=JESSEだが、ある出来事をきっかけに自分を見つめ直し、大切なものを改めて噛みしめたことで、歌に込める思いはさらに強く深くなっている。「Bird~peopele with wings~」では、目の前にいるオーディエンスの一人ひとりを見つめ、みんなの気持ちも受け止めながら、自身の歌をより大きく響かせる。様々な希望を託した歌がポジティブに広がっていった。

「1枚のチケットで3組のバンドが観れて、ここからの人生、広がるんじゃないでしょうか。まず目の前に突っ立っているバンド、覚えて帰ってください。We are The BONEZ!!」ロング・シャウトも絡めながら「We are The BONEZ」に突入すると、さっきまでの包容力あるオトナのJESSEから一変。10代のときからミクスチャー・ロックを歩んできた暴れん坊の本領発揮だ。激しいグルーヴに全身をうねらせ、ラップ・スタイルで言葉をたたみ掛ける。The BONEZの放つ刺激だらけの音に、オーディエンスもジャンプを繰り返しながらテンションを高め続ける。ステージの上も客席も、一人残らず誰もがヤンチャ。そんな熱いシーンの連続となった。

こうして始まった「LIFE」。イントロからハンドクラップが起こり、エンディングに向かうにつれ、会場が一つになった。「Thread & Needle」では、心の中で合唱をする会場に向けて「受け取った!」とJESSE。頼りになるみんなのカリスマがステージにいる。そしてラスト「SUNTOWN」では、幸せに満ちた一体感に包まれていった。「今日のその感じ、忘れないで」と笑顔のJESSEと、目の前のみんなに称賛の拍手を送るT$UYO$HIとZAXとKoki。新たな始まりを告げるライブを、The BONEZはオーディエンスと共に作り上げた。

そうしたライブを見せられて、俄然、燃えたぎるASH DA HERO。なにしろ憧れのカリスマとの初の対バンである。
詳しいことは、BARKSに掲載されているASHとJESSEの対談を読んでいただけばわかるだろう。(BARKS:【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第12回ゲスト:JESSE [RIZE / The BONEZ]
その一部をまとめると、若き日のASHは、JESSEに憧れて似たようなファッションや髪型をしていたこともある。地元の名古屋でバンド活動していたころ、RIZEとP.T.P.のツーマン・ライブを観に行き、終演後に楽屋口から出てきたJESSEとも出会っている。そのときに啖呵を切るようにASHは「いつか対バンするんで、絶対忘れないでください」とJESSEに言い放ったことも。その出来事から約12年経った今、ついに夢は実現する。

SE「Super Dinosaur」と共に勢い良くステージに登場したASH DA HERO。
「やって来たぜ、渋谷。ぶちかましていく準備はできてるか。ボーナー(The BONEZのファンの総称)もベイビーズ(ASH DA HEROのファンの総称)も、一緒になってブチ上げていこうぜ!」
そこから始まったのは、ライブのキラー・チューンの1曲「YELLOW FEVER DANCE」。ド派手にハジけるバンド・サウンドがベイビーズもボーナーも激しくうねらせ、早くもライブはクライマックスのような盛り上がり。中盤では客席エリアのみんなを一度座らせて、「初めて観る人もいるだろ。だからこそ全員でひとつになろう。3、2、1!」と曲のキメで一斉にジャンプ。激しさと楽しさと喜びを、これでもかと浴びせかけていくようなライブだ。3曲目「SOCIAL DIS DANCE」では、歌詞を“声を出せないなら飛び跳ねろ”と変えながら歌うブッチ切りの煽りっぷり。

ASH DA HERO

ASHはもちろんだが、Narukaze(G)、Sato(B)、WANI(Ds)、Dhalsim(Dj)も、熱さを極めたライブ・パフォームとプレイを炸裂させ続ける。対バンだからこそ、と言っていいだろう。しかも相手が強敵のThe BONEZというのがでかい。強いヤツを前にしたとき、一瞬でも気を緩めたらやられる。常に攻め続けなければいけない。バンドマンとしての本能が思いっきり刺激され、新たな覚醒にも昇華される。この日のオーディエンスは、ASH DA HEROがライブ・バンドとして経験値とパワーを増強させていく過程の目撃者でもある。

新曲「WARA WARA」も含めて一気に5曲を叩きつけたが、今日のライブに休む瞬間はない。WANIが刻むヒップホップ・ビートに、MC代わりに即興ライムを決めていくASH。このGACHINKOを立ち上げた意味、来てくれたヤツらへの感謝、そしてRIZEを客席から観ていたあのときの思い。そしてラップの後半にはこんなライムも。
「こんな時代だからこそ、ロック・バンドでひと花、咲かせてやろうと思ってます。名前だけ覚えて帰ってくれ、なんて言うつもりはありません。ファンになって帰ってくれ」
なんとThe BONEZのMCに噛みつくような言葉。そのまま曲が「Nonfiction」に入ったとき、突如、乱入したのは愛息と手をつないだJESSEだった。ガンガン来るヤツには手加減しない。それがJESSE流。台本などない、本当のハプニングだ。

ここから予定外のJESSEとASHのラップ・バトルに突入した。互いにマイクを握って相手を指さし、韻を踏みながらラップで思いのたけを言い放つ。もちろん言うことは全てノンフィクション。ASHは「勝手に俺らのステージに遊びに来るその姿勢。マジでムカつく。でも、そんなアンタに憧れて、ずっともがいてここまで来たんだ。だから今夜、アンタを超えに来たんだよ」と言い放つ。JESSEは笑顔で受け止めながらASHをさらに挑発。しかしピリピリした緊張感のバトルではなく、バンドマン同士が本音をぶつけ合う愛情と友情と尊敬に満ち溢れたラップ・バトル。ボーナーもベイビーズも、ライムのたびに興奮で両腕を上げ、勝手に歓声も出してしまう。そしてASHは「12年前の俺に見せてやりたいこのステージ!」と歓喜のライムをエンディングで決めた。

「本当に夢あきらめないでここまで来れたと思うんで、ASH DA HERO。俺を呼んでくれてありがとう」と、ASHやASH DA HEROのメンバーとコブシを合わせるJESSE。「熱いバイブスを注入してくれました。ありがとうございます」とASH。ものすごい感動で湧き上がる拍手が、ASH DA HEROとJESSEを包み込んだ。
「Remember」からのライブ後半。夢を実現させたASH DA HEROから放たれるメッセージの数々は、いつも以上に説得力を感じる。挫折しかけても、あきらめることはしない強い意志がビシビシに伝わってくる。それを浴びていると奥底から力も湧いてくる。
「こんな時代、死にたくなることも、ムカつくこともあるだろう。でも耐えて、耐えて、耐えて。俺達バンドマンは、どんな時代になろうが、このステージでいつだって希望や夢を発信していく。全員の夢になるし、全員の希望になっていくから。必ずまたライブハウスで会おうぜ。いいか!」
ASH DA HEROがまたひとつタフになり、バンドとしても大きく成長した対バン・ライブとなった。

“GACHINKO” ASH DA HERO vs The BONEZ楽曲プレイリスト

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