神はサイコロを振らない、念願の野外での初ワンマン「やっとスタート地点に立てたばかり、ここからどこへでも行ける気がする」

ライブレポート | 2022.04.11 12:00

神はサイコロを振らない 野音Live 2022 「最下層からの観測」
2022年3月20日(日)日比谷野外大音楽堂

神はサイコロを振らないが、メジャー1stフル・アルバム『事象の地平線』をリリースし、そのツアーで全国13ヵ所・14本を回る前に、3月20日(日)日比谷野外大音楽堂・4月10日(日)大阪城音楽堂で、神はサイコロを振らない 野音Live 2022「最下層からの観測」を行った。神サイの念願だった初の野外でのワンマンを、東京と大阪で開催した、ということである。
以下、その3月20日の東京のレポをお届けする。ネタバレ回避のため、大阪の終了を待ってからアップしたので、けっこうなタイムラグが生じたが、そこはご了承いただければ幸いです。

これまで4月から10月の期間で貸し出していた日比谷野外大音楽堂が、3月から使えるようになったのは今年2022年が初めて。今後、大幅な改修工事のプランがあることが発表になっているので、それも関係しているのでは、と思う。
で、この日のライブは、日曜日・しかも三連休の中日であるにもかかわらず、開演時刻が18時だった。しっかり日が暮れて、野音が暗くなってからスタートしたいので、そうしたのだと思う。
理由は、まず神サイのライブは、照明の演出がとても重要であること。それから、柳田周作(Vo.)曰く「『最下層からの観測』というタイトルのライブだから、星空が見える方がいい、星を見ながら歌いたい曲もいっぱいある」というのも、あったのではないかと思う。
あいにくの曇り空だったので、後者の「星空の下で歌う」はかなわなかったが、前者の照明等の演出はバッチリで、1曲ごとに大きく表情を変えながら、神サイの楽曲を、よりスケール大きく、彩っていた。

1曲目「未来永劫」の後半の「♪ラーラーラーラー」のパートでは「心の中で!」とオーディエンスに呼びかけ、続く「クロノグラフ彗星」では、サビで振り上げられる腕の多さに喜ぶ柳田周作。アッパーでアグレッシヴな「揺らめいて候」を歌い終えての、最初のMCで、満員の客席に「すごい、見たことない景色です。普段、ツアーの初日は、緊張と不安で楽屋裏はけっこう悲惨なんだけど、今日に関しては楽しみしかなかった。会えてほんとにうれしいです、ありがとうございます」と、興奮を露わにする。
「夜永唄」がバイラルチャートでヒットして注目を集めた頃には、もう世の中がコロナ禍に入っており、メジャー・デビュー以降のツアーも、Zepp Tokyo公演の際は今回と状況が違うタイミングでの開催であったため、ワンマンで、ここまで大きな会場で、フルでお客さんが入っている、というのは初めての経験なのだと思う。

柳田周作(Vo.)

それ以降の曲も、メンバー4人とも、そんな喜びで全身をいっぱいにしながら、しかし興奮で我を忘れぬよう気を配りつつ、演奏に向き合っているように見える。7曲目「泡沫花火」を終えたところで柳田周作が言った「僕、今んとこ、歌詞、一個も間違えてないでしょ? 安心している証拠です、ありがとうございます」という言葉にも、それが表れている。
8曲目「初恋」には、音源に参加しているBiSHのアユニ・Dが、シークレット・ゲストで登場。「ここまでライブを観ていて、神サイさんと神サイさんのファンのみなさんの愛で溢れているなと想いました」とコメントし、柳田周作とふたりで、ハモリとユニゾンが入り交じる美しい歌声を聴かせた。

吉田喜一(Gt.)

桐木岳貢(Ba.)

黒川亮介(Dr.)

10曲目「導火線」と11曲目「遺言状」の間には、打ち込みトラックのインストが挟まれた。9曲目「目蓋」と10曲目「導火線」の間と、11曲目「遺言状」と12曲目「イリーガル・ゲーム」の間は、演奏のみのインストゥルメンタルの楽曲でつないだ。
というふうに、曲を並べるだけでなく、ライブ1本を通して大きな物語を描こうとしているのが、伝わってくる。
ライブ後半の12曲目「イリーガル・ゲーム」では、大量のスモークがステージを包み、その中のあちこちで炎が上がる。続く13曲目・14曲目は、このバンドが本格的に世に出るきっかけとなった「夜永唄」と、『事象の地平線』のリード曲である「あなただけ」、直球のバラードを2曲続けて、日比谷野音の空気をディープに染めた。

自分たちは5年間ずっと日の当たらない場所にいた、今はようやくメジャーという舞台に立ったが、与えられたチャンスほどの結果はまだ出せていない、今自分たちがいる最下層から、この雲の上にある星のところまで、みんなと一緒に駆け上がって行きたい。まだまだやっとスタート地点に立てたばかり、僕らとみなさんはここからどこへでも行ける気がする──。
という柳田周作のMCからの、本編ラストは、「始まりの唄を今歌おう」で始まる「巡る巡る」と、「このまま風になって いつか辿り着いてみせるよ」「このまま光となって きっと辿り着いてみせるよ」と歌う「タイムファクター」。
そして、アンコールは、柳田周作がサビで「心の中のシンガロング」を呼びかけた「LOVE」と、僕らがロック・バンドとして音楽を通して伝えられることって、よくある言葉だけど「Love & Peace」しかないなと思う──から始まるMCを経て歌われた「1on1」だった。

「今までのライブでいちばん長いセットリストだったはずなんですけど、20分くらいしかやってない気持ち」と、終わることを惜しみながら、柳田周作は、一声一声にありったけの感情を込めて、この曲を歌った。

SET LIST(3月20日 日比谷野外大音楽堂)

01. 未来永劫
02. クロノグラフ彗星
03. 揺らめいて候
04. パーフェクト・ルーキーズ
05. 少年よ永遠に
06. illumination
07. 泡沫花火
08. 初恋
09. 目蓋
10. 導火線
11. 遺言状
12. イリーガル・ゲーム
13. 夜永唄
14. あなただけ
15. 巡る巡る
16. タイムファクター

ENCORE
01. LOVE
02. 1on1

プレイリスト

【東京】野音Live2022セットリスト By 神はサイコロを振らない
https://kamisai.lnk.to/saikasou_tokyoPR

【大阪】野音Live2022セットリスト By 神はサイコロを振らない
https://kamisai.lnk.to/saikasou_osakaPR

公演情報

DISK GARAGE公演

神はサイコロを振らない Live Tour 2022 「事象の地平線」

2022年5月21日(土) 福岡 UNITED LAB・福岡
2022年5月22日(日) 宮崎 LAZARUS・宮﨑
2022年5月28日(土) 周南 RISING HALL・山口
2022年5月29日(日) 松江 B1・島根
2022年6月4日(土) 仙台 Rensa・宮城
2022年6月11日(土) 札幌 PENNY LANE 24・北海道
2022年6月18日(土) BLUE LIVE 広島・広島
2022年6月19日(日) 高松 festhalle・香川
2022年6月25日(土) 新潟 LOTS・新潟
2022年6月26日(日) 金沢 EIGHT HALL・石川
2022年7月3日(日) 名古屋 DIAMOND HALL・愛知
2022年7月10日(日) Namba Hatch・大阪
2022年7月16日(土)7月17日(日) LINE CUBE SHIBUYA
¥4,500- (税込・ドリンク代別途必要)※東京公演のみドリンク代不要

【チケット先行受付情報】
<申込期間>2022年4月12日(火)23:00まで受付中
<申込URLローソンチケット:https://l-tike.com/kamisai

RELEASE

『事象の地平線』

Major 1st Full Album

『事象の地平線』

2022年3月2日(水)SALE
※初回限定盤(2CD+DVD)、通常盤(2CD)の2形態

※画像は上から初回限定盤、通常盤

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター
  • 撮影

    Viola Kam

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