MISSION、活動休⽌前の全国ツアー「Time Lover」福岡BEAT STATIONにて開幕!!

ライブレポート | 2022.06.16 18:00

この2月に活動休止を発表した「MISSION」。5月11日に初のアルバム「Time Lover」をリリース。そしてニューアルバムを携えて全国4カ所をまわる全国ツアーMISSION TOUR 2022 『シアターロック・ザ・ミッション「Time Lover」』が6月11日(土)福岡BEAT STATIONからスタートした。

ツアー開催にあたり、二人から「活動3 年半の集大成をお届けしたい」「第一幕終了という意味を込めて沢山の方に僕らの想いを伝えていきたい。新たな一歩を踏み出す為に」という、決意のようなコメントが添えられていた。

ツアー初日、満席の福岡BEAT STATIONには、二人の登場を待ち望む、静かな緊張感と熱気が会場に漂っていた。ステージが暗転しバンドメンバーがそれぞれの位置につく。そして白いライダースジャケットに身を包んだ濱田貴司が登場すると、客席にどよめきが起こる。続いて、同じジャケットの福士誠治がステージのセンターに現れ、二人が揃ったところでMISSIONのライブがスタートするや、観客は総立ちに。おそらく通常のライブだと大きな歓声が湧き上がるところだが、まだコロナ禍で声を発することができない。しかし一人ひとりの身体の揺れやリズムを刻む肩やハンドクラップが、熱狂を喚起させる。
アルバムのタイトル曲「Time Lover」からこのライブツアーが幕を切った。福士のクリアで力強く突き抜けるような歌声と表情から楽しむ気満々のご機嫌さが伝わってくる。同時に、どこか緊張感を帯びたスタートだ。

福士誠治という俳優は、以前から映像でも観ていたし、何よりも舞台作品において演じる姿を観るのが好きだった。様々な作品で役によってたちどころに様相を変える姿を目の当たりにしていたこともあり、ロックバンドのヴォーカルとしてそこに立つ姿に違和感はなかった。そして濱田貴司の人間味溢れる音楽もまた同じく、魅力的で惹きつけられた。
今回のライブで印象的だったのは、曲の合間に、ステージセンターのマイクスタンドに仕掛けられていた手紙だ。「人として、時として、花として。」から、手拍子で始まりアップテンポなロックチューン「ドロップアウト」、メロディアスで美しい旋律の「自転と光点」、曲の合間に綴られた手紙を、やさしく愛を語るように読む。曲の世界とリンクした手紙。ライティングや転換など細やかな演出が随所に散りばめられて、まさに「シアターロック・ザ・ミッション」という名にふさわしい。一曲一曲にそれぞれの物語を秘めた見せ方は、やはり福士が“演者”であることを再認識させてくれた。

「ライブが始まる前に楽屋で、このライブツアーを福岡から始められたことをうれしく思っていて感動して涙したり、ね?」と濵田に話しかけるも、自分の演奏の準備でそれどころではないといった様子に、客席からも笑いが起こる。少しだけ、ツアー初日の緊張がほぐれた瞬間だった。
続いて福士が作詞を手掛けた「オレンジ」を初披露。
「手紙を演出に使ったのは、手紙を通して一人の男性の人生を描きたいと考えた」と効果抜群の演出の意図について語り「実は、メンバー全員、緊張してるよね?もう誰がどこで失敗したのかわからない(笑)スタートだし、でも楽しいし福岡でライブができている。後半は一気に走り抜くからあっという間だよ」
「不純と接吻」から後半がスタート。言葉通り、「二律背反-antinomie -」「Black-夜闇の向こう-」など定番の楽曲で一気に会場をヒートアップさせる。叫びたい声を身体で表現するかのように、ジャンプし手を振り上げ、音楽に呼応しながら会場が一体になっていく。きっと会場にいた観客全員が、心の中でシンガロングを楽しんでいたに違いない。
まさに、あっという間に終わってしまった。(と、感じてしまうほどMISSIONと一体化したのだ)。

アンコールでは、一曲目に披露した「Time Lover」をもう一度やろう!と二回目の演奏が始まった。最初のそれとは異なる曲ではないかと思ってしまうほどに、大団円でラストを迎えた。

このツアーで『シアターロック・ザ・ミッション』の第一幕は、降ろされる。しかし、このライブに集まった全員が、“次はもっともっと楽しめる”と感じたことだろう。
活動休止は控えているが、まだこのツアーは始まったばかりだ。次の場所で、またその次でとグルーブを増していく。それがきっと彼らの、このツアーのミッションだ。

  • 取材・文

    Aya Tsutsui

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