NEMOPHILAツアーFinal!ROTTENGRAFFTYとの新しいドラマが紡ぎ出された夜

ライブレポート | 2022.07.01 18:30

NEMOPHILA Zepp Tour 2022 ~虎穴に入らずんば虎子を得ず~
2022年6月24日(金) Zepp Haneda(TOKYO)

NEMOPHILAにとって初の全国ツアーは、全国5ヶ所のZeppを回るツーマンツアー。各所ゲストにMUCC、PassCode、LOUDNESS、氣志團を招いた彼女たちが、ファイナルのZepp Haneda公演に指名した相手は、京都発1999年結成のミクスチャーロックバンド、ROTTENGRAFFTY。面識はないなかでNEMOPHILAサイドからラブコールを送り、今回の競演が実現した。
今回の対バン相手5組の共通点は、様々な文化やジャンルをクロスオーバーさせ、かつ強い個性を持ったアーティストであるということ。そんな強豪たちとのツアーで、NEMOPHILAは自分たちの強みを再確認し、育んだのではないだろうか。この日の彼女たちは、“地獄のゆるふわバンド”というキャッチフレーズにより説得力を持たせたステージを展開していた。

自身の全国ツアー真っ只中のROTTENGRAFFTYは、バンドのサウンドプロデューサーに転向したKAZUOMI(Gt/Prog)に代わり、6月10日よりサポートギタリストとしてライブに参加しているMASAHIKOとともに登場。1曲目「ハレルヤ」からN∀OKIとNOBUYAによるツインボーカル、爆発力の高い演奏、展開の多いアレンジで刺激的な空間を作り出す。「PLAYBACK」の曲中ではN∀OKIが“NEMOPHILAはじめまして! ツアーファイナルおめでとう!”と高らかにホストである彼女たちへ賛辞を贈った。
ミクスチャーバンド――特にROTTENGRAFFTYは歌心もあるバンドゆえ、競演するバンドやアーティストが幅広い。どんなシーンにも飛んでいける、それは裏を返すとどこでもアウェイであることと紙一重でもある。だが彼らはこの23年間、どんな状況でも自分たちの音楽を信じて真摯に目の前の観客と向き合い続けてきた。その積み重ねがこの日のライブにも表れていたように思う。N∀OKIの「バンド年数も年齢もただの記号」という言葉のとおり、キャリアなど関係なく時を同じくして生きる音楽家として彼女たちへリスペクトを持ち、新しい出会いを喜んでいるような晴れやかな歌と演奏。隅から隅まで痛快だ。

ROTTENGRAFFTY

NOBUYA(Vo)

N∀OKI(Vo)

NEMOPHILAからオファーがあったのは、KAZUOMIがライブ活動から離れることを発表した日だったと明かしたNOBUYAは、「彼女たちにロットンへの愛があるんやなと思ってここに来ました」と続ける。その直後に披露された「So...Start」は、バンドがどうなるかわからない状況でも声を掛けてくれたことに敬意を表すようだった。
「D.A.N.C.E.」ではステージ背面から差し込んだ5本の金色の光の柱がミラーボールを照らし、ROTTENGRAFFTYを彷彿とさせる小粋な照明演出がムードをより高める。NOBUYAがMASAHIKO のギターでNEMOPHILAの「OIRAN」を1フレーズ歌うと「THIS WORLD」へ。「彼女たちがOIRANなら、俺たちは侍です。ついてきてください」というMCに、2階席の下手サイドで観ていたNEMOPHILAのメンバーも身振り手振りで喜びを表す。侑威地(Ba)とMASAHIKOがHIROSHI(Dr)の前に集まるとさらに演奏の熱量も増し、それを受けてボーカルもより鋭利になりバンド全体がブースト。中盤の大きなクライマックスだった。
センチメンタルでアグレッシブなロックバラード「「70cm四方の窓辺」」、N∀OKI が「ここを京都にします」と言い披露されたNEMOPHILAメンバーもダンスやクラップに興じた祭りムード漂う「響く都」、代表曲のひとつである「金色グラフティー」などテンションを切らさず駆け抜け、ラストは「Error...」。あらためて観客とNEMOPHILAへ感謝を伝え、彼女たちのツアーファイナルへのバトンをつなげた。

侑威地(Ba)

HIROSHI(Dr)

ダークでヘビーなSEが鳴り響くなか、スポーティな衣装を身に包んだメンバーが、やわらかい表情とラフな雰囲気でステージに登場したNEMOPHILA。彼女たちの入場と同時にバックドロップがステージ後方にせり上がり、メンバーがむらたたむ(Dr)の前に集合すると「REVIVE」でライブがスタートした。メンバー全員で髪を振り乱しヘドバンする様子は壮観で、mayu(Vo)の身のこなしの鮮やかさも感嘆のため息が零れる。葉月(Gt)とSAKI(Gt)のツインギターも見物である「雷霆-RAITEI-」も非常に爽快な演奏で、ツアーの充実を感じさせた。

mayu(Vo)

葉月(Gt)

SAKI(Gt)

むらたたむ(Dr)

ROTTENGRAFFTYのライブについて「本当に楽しいライブをしていただいて……わたしたちが楽しんじゃいました」と語ったmayuが、「わたしたちのライブでも楽しんでいただけたらなと思います。まだまだNEMOPHILAあげてくぞ!」と威勢よく告げると披露されたのは「Fighter」。前衛メンバーはステージを縦横無尽に動き回り、mayuも無邪気な歌声を響かせる。ハラグチサン(Ba)のベースソロから「Rollin’ Rollin’」につなぎ、mayuが歌詞の一部を「ROTTENGRAFFTY」にするなどユニークな歌唱で魅了。続いての「Night Flight」ではメンバー全員がツアーグッズのサングラスならぬネモグラスを着用し、大仰な80sを彷彿とさせるロックのムードをより高める。メンバー全員でキメるパラパラもサングラスがあるだけでクールかつユーモラス。NEMOPHILAの振れ幅の大きさを見せつけるセクションだった。

ハラグチサン(Ba)

メンバー紹介では全員がツアーに対する感謝と思いを語る。むらたは「今日はツアーの集大成として、得たものを全部ぶちまけたいです」、ハラグチサンは「個人的に修行のツアーになりました。今日は本能のままのNEMOPHILAを味わっていただけたらと思っています」、葉月は「こんな光景を見られるなんて夢のよう。ツアーで得たエネルギーを炸裂させたい」、SAKIは「今日本当にくやしい! ROTTENGRAFFTYにこんなに熱いライブをやられて、Zepp Hanedaは京都になってしまった(笑)。みんな天空橋に帰ってこい!(笑)。ROTTENGRAFFTYにお声を掛けたのは本当に正解でした」、mayuは「人生初めてのツアー、終わりたくない気持ちでいっぱいです。メンバーの絆も深まった」と、それぞれの発言からツアーでかけがえのないものを得たことが伝わってきた。
デジタルリリースされたばかりの新曲「徒花-ADABANA-」ではヘビーな音の中にmayuの透明感のあるボーカルと強靭なスクリームが響き、ドラマチックに展開するアレンジがさらに楽曲の凄みを格上げする。力強さとポップネスを兼ね揃えた「Change the World」、誠実でエモーショナルな「Life」と、ロックバンドの健やかなたくましさで観客を引き付けると、「さあ、まだまだあげてくぞ!」というmayuの煽りから入ったのは「MONSTERS」。演奏もボーカルもグルーヴもとにかく豪快だ。

NEMOPHILA のYouTubeチャンネルにアップされたN∀OKIとNOBUYAとNEMOPHILAの対談動画で、葉月は「NEMOPHILAには豪快さがない」と言っていたが、個性でもって今の音楽シーンを生き抜くアーティストとの競演で、彼女たちはその豪快さを手に入れたのではないだろうか。冒頭で記したとおり、それが結果的に“地獄のゆるふわバンド”という持ち味をより際立たせていた。「DISSENSION」では5人の凄まじい集中力が音の隅々まで通い、ラストの「A Ray Of Light」は不屈の精神をZepp Hanedaの地に刻み込む圧巻のステージだった。
アンコールではメンバーとともに、金の全身タイツの上にNEMOPHILAとのコラボTシャツを着たN∀OKIとNOBUYAが登場。NOBUYAはNEMOPHILAに「今度自分たちのツアーにも来てほしい」とラブコールを送り、メンバーも喜びを露わにする。このツアーで競演バンドと全会場カバーコラボレーションを行ってきた彼女たちは、ふたりを交えて「金色グラフティー」を披露。N∀OKIがmayuのスクリームの真似をするなど、笑顔の絶えないステージにNEMOPHILAとROTTENGRAFFTYの新しいドラマが紡ぎ出されていた。

ROTTENGRAFFTYボーカル陣がステージから去ると、ツアーを締めくくったのは「OIRAN」。持ちうるパワーを振り絞る熱演でありながらも、曲中に身体を横に曲げる運動を取り入れたり、首を揺らしたりなど、NEMOPHILAの魅力を凝縮するハッピーチューンへと進化を遂げていた。
メンバー5人がステージ前に並んで手をつなぐと、mayuが「ついにZeppツアー完走しました! それもこれも全部遊びに来てくださった皆さんのおかげです。皆さんはわたしたちの成長の糧です。まだまだまだまだNEMOPHILAは頑張っていくので、応援よろしくお願いします! 今日は本当に本当にありがとうございました!」と晴れやかに語り、全員が深々と頭を下げる。そのまま5人は右隣のメンバーの肩に両手を置き、仲良く退場。最後まで伸び伸びとした佇まいだった。
NEMOPHILAにとって初体験尽くめとなった今回のツアー、まさに実り多き5公演だったのだろう。彼女たちのバンドマン人生がまたひとつ新しいフェーズに突入したことを感じるツアーファイナルだった。

SET LIST

ROTTENGRAFFTY

01. ハレルヤ
02. PLAYBACK
03. STAY REAL
04. So...Start
05. D.A.N.C.E.
06. THIS WORLD
07. 「70cm四⽅の窓辺」
08. 響く都
09. ⾦⾊グラフティー
10. Rainy
11. Error...

NEMOPHILA

01. REVIVE
02. 雷霆-RAITEI-
03. Fighter
04. Rollin’ Rollin’
05. Night Flight
06. 徒花-ADABANA-
07. Change the World
08. Life
09. MONSTERS
10. DISSENSION
11. A Ray Of Light

ENCORE
01. 金色グラフティー(with N∀OKI&NOBUYA)
02. OIRAN

公演情報

DISK GARAGE公演

Whisky a Go Go LIVE!!

アメリカ Whisky a Go Goにて7月1日(金)にNEMOPHILAのライブが決定!

NEMOPHILA初海外ライブを全世界にお届けする、ワンマンライブ配信チケット販売中!冒頭の数曲は7月2日 正午12時(日本時間)からYouTubeより無料生配信予定!

“NEMOPHILA 1st in LA ~Whisky a Go Goからこんばんは~”
配信日:2022年7月16日18:00 START
発売日: 2022年6月12日(日)12:00~7月23日(土)21:00
アーカイヴ視聴期間:2022年7月23日(土)23:59
チケット:¥4,000(税込)

■チケット詳細
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=552827

ROTTENGRAFFTY "It's Alright Tour 2022”

2022年7月5日(火) 愛媛W studio RED ※ワンマン
2022年7月7日(木) 高松festhalle w/ Hump Back
2022年7月12日(火) 心斎橋BIGCAT w/ Hakubi
2022年7月13日(水) 心斎橋BIGCAT w/ TETORA
2022年8月2日(火) 仙台Rensa w/ 打首獄門同好会
2022年8月3日(水) 仙台Rensa w/ 04 Limited Sazabys
2022年8月5日(金) 盛岡Club Change WAVE ※ワンマン
2022年8月15日(月) 新潟LOTS w/ NAMBA69
2022年8月17日(水) 長野CLUB JUNK BOX ※ワンマン
2022年8月18日(木) 金沢EIGHT HALL w/ Age Factory
2022年9月13日(火) LIQUIDROOM ※ゲストあり
2022年9月14日(水) LIQUIDROOM ※ゲストあり
2022年9月16日(金) Spotify O-EAST ※ゲストあり
2022年10月6日(木) 京都KBSホール ※ゲストあり
2022年10月24日(月) 札幌PENNY LANE24 ※ワンマン
2022年10月25日(火) 札幌PENNY LANE24 ※ゲストあり
2022年11月9日(水) 名古屋ダイアモンドホール ※ゲストあり
2022年11月10日(木) 名古屋ダイアモンドホール ※ゲストあり
2022年11月18日(金) 熊本B.9 V1 ※ゲストあり
2022年11月20日(日) 長崎DRUM Be-7 ※ゲストあり
2022年11月21日(月) 福岡DRUM LOGOS ※ゲストあり

  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 撮影(NEMOPHILA)

    半田“H.and.A”安政

  • 撮影(ROTTENGRAFFTY)

    かわどう

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