halcaが7カ月続けてきたマンスリーライブの締めくくりのテーマは「party」。そして攻めたセットリストから感じた成長の跡

ライブレポート | 2022.07.22 18:00

halca monthly live [playgood] #07
2022年7月17日(日) Spotify O-Crest[東京・渋谷]

2018年にアーティストデビューし、5年目に突入したhalcaさん。ここまで様々なタイアップ曲も歌い、7月から始まったアニメ2作品のOP曲を担当するなど着実に歩みを進めている。そんなhalcaさんが自身のステップアップのために今年1月から始めた『halca monthly live [playgood]』も毎回テーマを設けたこと、距離感が近い会場での公演ということで、ソールドアウトが続き好評だったが、7月17日のSpotify O-Crest公演にていったん幕を閉じることに。

ステージのバック中央には左右の天使の羽に挟まれたhalcaさんのデザインロゴ。「Hail to the world!!」のインストナンバーと共に笑顔で登場したhalcaさんは、ツインのお団子それぞれについた髪飾りを両手で指差し、「かわいいでしょ?」とでも言っているようにアピール。インストが終わると「[playgood] #07スタートです! 今日は来てくれてありがとう。皆さん、元気ですか!?」と尋ねると、お客さんはみんなが親指を立てる「good」ポーズでレスポンス。その様子を見渡して、「グー! ありがとう!」。

1曲目に歌うのはhalcaさん自身が作詞した「cue」。恋心に気付いてしまったドキドキ、ソワソワする気持ちをキュートなクリスタルボイスでかわいく歌うhalcaさん。「目と目があうこの数秒が まばたきもわすれさせる」のフレーズはhalcaさんと客席の距離が近すぎて、ドキドキするお客さんの気持ちともリンクするのでは? オシャレ感のあるガールズポップ&チップチューンを、小刻みに揺れながら歌うhalcaさん、お客さんも揺れたり、サイリウムを振ったりして。歌声とリズムに身を任せる感じも心地いい。

「cue」のアウトロからすぐに「うそじゃないよ」へ。2曲共、ディスコチックで低音のビートが効いたオケだけにシームレスにつながる感じはクラブのDJプレイのよう。halcaさんは伸びやかに歌いながらステージ左側のお立ち台に跳び乗る。サビフレーズの「うそじゃないよ」では右の頬を2回指差した後、その指の先は客席へ。表情や歌声のニュアンスだけでもキュンとくるのに、その仕草は反則です(笑)。

最初のMCパートで、マンスリーライブに挑戦することになった理由について。
「修行の意味もありますけど、最近私を知ってくださった方にオススメしやすいライブができたらと。そして、毎月みんなと会いたいなと思って始めました。最初はどうなることかと思ったけど、今日はあっという間の7回目。ここでいったん[playgood]はお休みになりますが、7カ月間の成果を発揮できるように頑張りますのでよろしくお願いします!。
そして毎回、テーマを決めてきました。1回目は『start』、以下『sweet』、『return』、『hard』、『air』、『rain』と来て、今日は『party』です。私の誕生日は7月7日なので7月17日も似たような感じですし(笑)、誕生日を迎えてから初めて皆さんと直接お会いできる機会でもあるので!あと[playgood]もいったんお疲れ様ということで、打ち上げみたいにみんなと盛り上がれたらいいなって。だから私自身(の衣装)がケーキみたいになってます」。
自ら2~3回転して皆さんの鑑賞タイムも。よく見ると髪飾りやアクセサリーもクッキーや小さいクマなどがあつらわれていて、衣装もボディ部分に、いくつか段差のようなフリルが!(こんなに何段もあるのは豪華なパーティ用のケーキ?)

「『party』といえば、アルバム(『Assortrip』)の曲でまだみんなの前で披露したことがない曲があるので、声は出せないけど一緒に踊ってほしいんです」と「Ride on Music!」へ。ヒャダインこと前山田健一さん作の曲で、冒頭の「お待たせ ショーが始まるよ」や「底抜け ぶち上ろうね!」などライブを意識して作られていたのがわかる。曲中で「h」、「a」、「l」、「c」、「a」とお客さんが掛け声をするパートでは、声を出せない分、サイリウムや腕を掲げ、サビではステージと客席で大きく腕を振り合った。halcaさんの歌い方も矢継ぎ早の歌詞を歌いこなしながらあおったり、お客さんとの掛け合いパートはディスコ&日本のお祭りを融合したような。Dメロの「この曲はね もう終わるけど すべては始まったばかり」ではテンポも雰囲気もオチてR&B風になり、halcaさんの「yeah~!」のフェイクや、ラストの「Let’s ride on music now!」を歌い終わった後の吐息っぽさなどカッコいい! コロナ禍のご時世柄ずっと封印していたそうで、リリースから約2年半経ってもまだ声を出し合うのが難しいのは変わらずも、お客さんを信頼&この曲を楽しむためのスタイルを考えて今回披露したようだ。この曲中はクラブのフロアみたいになって、halcaさんも嬉しかったらしく、「みんな、踊ってくれてありがとう!」。

次のブロックはファンの皆さんからの「セトリ投票」を元に選んだ楽曲を歌うコーナー。「キュンとさせてあげるよ」のアップテンポのイントロが鳴ると、客席は腕を振り上げたり、ジャンプが自然発生。そして歌い始めるとクラップ。「恋はもう止まらないよ」のフレーズのように、速度を上げていくBPM、そしてこの恋は譲れないという決意を感じさせる歌声に、序盤の楽曲の主人公とは違う乙女の強さも。

ステージ上が真っ赤なライトに照らされると「A・WA・WA・WA」。前曲より更に加速するハードなロックサウンドに、halcaさんの歌い方もワイルドに。相手に振り回されつつも、ドキドキしたり、「心臓がバクバク」状態を楽しんでいるようなたくましさを表現しているみたい。そしてここまで愛されたらきっと幸せだろうなと曲にノリながら想像したりして(笑)。

アッパーなロックチューンが続いた後は「はるけっちぶっく」のコーナー。1回目からhalcaさんがクレヨンでスケッチブックに描いたイラストを披露しながらのトークで、自己紹介と自身が以前からやりたかったことを合体した企画とのこと。今回はここまでのマンスリーライブを振り返る「[playgood]の想い出」。マンスリーライブをやることが決まったのは2021年7月末頃で、その時は「経験値もアップできていいな」と思っていたけど、公演1カ月前の12月になると「毎月やるなんて信じられない!」と不安が大きかったと。毎回の公演テーマやドレスコードを決めたりするほか、この「はるけっちぶっく」も毎回25枚前後、自作で描いているため、書き上がったのがライブ当日の朝5時という日もあったそう。確かに1枚1枚が力作で、これを手描きしていたら大変でしょう(今回は2日前に完成したそう)。小学生の頃から自由研究も苦手で1人でやり遂げたことがなかったというhalcaさんが「初めて完成させることができた」と達成感を感じている様子。自宅や事務所の白いテーブルがクレヨンのカスで汚れる弊害もあったそう(笑)。この日のイラストで締め切りが襲ってくる様子を「しめきリーゼント」という怪物に襲われるイラストが個人的にはツボでした(笑)。マンスリーライブはやる前は不安だったけど、初回をやってみたら楽しくて、次も頑張ろうと思えたと。「みんなともっと会える時間を作るために、もっとパワーアップして[palygood]を開催できたらと思っています。その時はまた遊びに来てください!」と話すと客席から期待を込めた大きな拍手。

そしてセトリ投票&会議で選んだ曲の最後は「Hail to the world!!」で、オーバーチュアでイントロが流れた曲をここで! 「おぼろげな足取りで 歩いてきたこの道も どこかに続いてると」や「不安で滲んだ日々も 全部が紡いだ今 光になる」などプロとして歌手活動を歩み始めた心境を歌っているが、このマンスリーライブを経て自信を持てた今、より想いを強く歌えたのでは? でもピュアさは変わらず。

終盤のMCで、この夏から秋にかけて出演するイベントの数々を紹介するも「私がやっぱり一番来てほしいのはワンマンライブです! 自分の中の大事な曲や大好きな曲を歌えるので、来てください!」とお願いすると、たくさんのお客さんが親指を立てて「good」ポーズ。

次の曲紹介で、「(先に歌った「Ride on Music!」同様に)ここまでのライブであえて歌わなかった曲があります。みんながマスクをはずして、声を出せるような状況にならないと、みんな100%楽しめるライブはできないと思っていたので、その日が来たら歌いたかったと思っていたのですが、そういう日がまだなかなか来なくて。でも[playgood]をやってから、みんなマスクをしたままで声が出せなくても楽しんでくれていたんじゃないかなと思って、今日この曲を選びました。初めて作詞した曲で、当時インストアイベントやライブなどで毎週のようにお会いできていた時、皆さんのことを考えながら書いた曲です」と話して「one another」。ライブに臨む前のドキドキや不安、そして「真ん中にひとりでももうこわくない 何十回 何百回 わたしみんなと目が合った」とライブを続けていくという気持ちを歌う。

そのままhalcaさんの代表曲ともいえる「センチメンタルクライシス」。アニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のED曲で、美しいメロディラインと情熱的な歌声のエモさ。「キミと私 きっといま同じ気持ちだよ」の歌い出しやBメロでお立ち台に立って、客席に向かって歌う姿に感動。ファンにとってもぐっとくる2曲が続き、サイリウムを振りながらもステージを見つめるまなざしは熱かった。

曲後のMCで「『センチメンタルクライシス』も私と皆さんにとって特別で大切な曲だなと歌いながらいつも思っています。『かぐや様は告らせたい-ウルトラマンロマンティック-』(4月から7月まで放送)のラストでは素敵なシーンで、この曲の2番を使っていただいたのがすごく嬉しくてビックリしました。アニメの楽曲を作る時は1番が重要視されていて、アニメの制作チームとも相談しながら作りますが、2番やDメロは自由に作らせていただいていて。でもアニメの制作チームや、作品ファンの方に2番も大切にしていただけたんだなと嬉しかったです。『センチメンタルクライシス』のように、時間が経ってもたくさんの方に大事にされる曲をいっぱい作っていきたいなと思っています」。

そして、「同じように大切にしていただきたい曲が先日、先行配信が始まりました。どちらの曲かなと思っているでしょうが、そのどちらかです(笑)」。この発言を聞いて、ダブルAサイドシングルの曲なのはすぐ理解できたが、「あれこれドラスティック feat. 鈴木愛奈」は鈴木さんがいないと成立しないから「誰彼スクランブル」かと思いきや、歌い始めたのはなんと「あれこれドラスティック」。元々、フィーチャリングアーティストの鈴木さんには部分的な参加を考えており、のちにガッツリツインボーカルのような形になったとインタビューでhalcaさんが語っていたので、原型に近い形のはず。とはいえ、激しさや速さ、言葉数の多さなどソロで歌うのはかなり困難な曲であり、自身のステップアップの必要性を感じるきっかけになった曲だけにどう歌うのか? しかしそんな不安も吹き飛ばすようにファルセットも駆使しつつ、リズムもキープして歌いこなすhalcaさん。ずっと歌ってきたようなフィット感や安定感さえ感じる。しかもここまでアッパーな楽曲を続けて歌ってきた終盤に! これがマンスリーライブの成果か。ライブでは初披露の曲に対応するお客さんもすごい! 歌い終わった後、この日、一番長めの拍手は賞賛の証。「[playgood]では毎回新しいことにチャレンジすると決めていますが、今回は2人分の曲を1人で歌うこと。そしてリリース前にライブでお披露目できてよかったです」。

また8月17日のシングル発売前に先行配信された「誰彼スクランブル」がiTunes Storeでも7位に入ったことを報告すると会場から拍手。更にhalcaさんが事件に巻き込まれる(というか発端!?)ドラマ仕立てで話題のMVはシングルの期間限定盤に付属するDVDにフル尺が収録されていることを発表。「(現在公開されているhalca 『誰彼スクランブル』Music Video -YouTube Edit-は)謎が多かったと思いますが、真相はCDをゲットして確かめてください(笑)」。

終盤の2曲もロックチューン。「HORiZON」そしてラストの「キミがいたしるし」を熱く、エモーショナルに歌った。ここまで続けてきたマンスリーライブ、そしてファンとのしばしのお別れを惜しむように。「キミがいたしるし」では激しく、シリアスな曲調と相まって、ここまでどんな曲でも笑顔を見せていたhalcaさんの表情もキリっと凛々しく。歌い終わって、会場の拍手を浴びるとまたいつもの愛らしいhalcaスマイルに。「[playgood]を始めた時はどうなることかと思ったけど、今の気持ちはやってよかったなと思いました。ありがとうございました」。そして「またここでお会いしましょう! halcaでした!」に[playgood]の再開への期待感を膨らませて、ステージを去っていった。

この日はテーマの「party」にふさわしく、アッパーなロックチューンが並んだが、シングル表題曲は3曲で他はシングルのカップリングやアルバム収録曲という攻めたセットリストで、[playgood]ならではの内容だった。曲によってかわいさや激しさを取り混ぜたパフォーマンス、おちゃめな部分が顔を出すMCなど、halcaのライブスタイルもすっかり確立したのでは?

この後はアリーナ規模の会場での大型イベント出演が続く。[playgood]で得た経験や成果を発揮するチャンス。ロゴのように羽ばたいていくhalcaさんが再び降り立つホームは9月3日のワンマンライブ『Help Me!!!!!!! PRESSURE PRESSURE & live playground #003』が行われるSHIBUYA PLEASURE PLEASURE。ここでまたさらに成長した姿を見せてくれるはずだ。

SET LIST

01. cue
02. うそじゃないよ
03. Ride on Music!
04. キュンとさせてあげるよ
05. A・WA・WA・WA
06. Hail to the world!!
07. one another
08. センチメンタルクライシス
09. あれこれドラスティック
10. HORiZON
11. キミがいたしるし

プレイリストはこちら
https://halca.lnk.to/playgood7

公演情報

DISK GARAGE公演

LAWSON presents halca 7th LIVE 『Help Me!!!!!!! PRESSURE PRESSURE & live playground #003』

2022年9月3日(土) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
第1部 Help Me!!!!!!! PRESSURE PRESSURE
第2部 live playground #003

イベント出演

LAWSON presents CONNECT LITTLE PARADE 2022
2022年7月23日(土)Zepp Haneda

公演詳細
https://trysail.jp/contents/538298

LAWSON premium event ミュージックレインフェスティバル2022
2022年8月6日(土)7日(日)武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ

公式サイト
https://www.mrafes.com/

Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-
2022年8月28日(日)さいたまスーパーアリーナ

公式サイト
https://anisama.tv/

ナガノアニエラフェスタ20~22
2022年9月18日(日)長野県佐久市『駒場公園』

公式サイト
https://aniera-festa.com/

RELEASE

「誰彼スクランブル / あれこれドラスティック feat. 鈴木愛奈」

8th SINGLE

「誰彼スクランブル / あれこれドラスティック feat. 鈴木愛奈」

2022年8月17日(水)SALE
※初回仕様限定盤[CD only]、期間生産限定盤(TYPE A/Engage Kiss盤・TYPE B/邪神ちゃんドロップキックX盤)[CD+DVD]

INFO

タイアップ情報

「誰彼スクランブル」
TVアニメ「Engage Kiss」オープニング・テーマ

TOKYO MX 他
2022年7月2日(土)24:30~
https://engage-kiss.com/

「あれこれドラスティック feat. 鈴木愛奈」
TVアニメ「邪神ちゃんドロップキックX」オープニングテーマ

テレビ東京 他
2022年7月5日(火)26:05~
http://jashinchan.com/

  • 永井和幸

    取材・文

    永井和幸

  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

    • ツイッター

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