吉田山田、風物詩となった夏祭り。「最高の祭りをありがとう!」全力で届けた熱い思い

ライブレポート | 2022.08.12 19:00

吉田山田祭り2022
2022年8月7日(日) 上野水上音楽堂

男性二人組アーティスト吉田山田が8月7日に、東京・上野水上音楽堂 (上野恩賜公園野外ステージ)でライブイベント「吉田山田祭り2022」を開催した。ステージでは、NHK「みんなのうた」に書き下ろした「日々」など17曲を歌い、第8回目の夏祭りを盛り上げた。公演の終盤には、デビュー13年目の節目となる10月21日に東京・品川インターシティホールでライブを行うことを発表。ランナー(ファン)から歓喜の拍手が送られる中、ボーカル・ギターの吉田結威は「次の約束があるってうれしいね」と笑顔を見せていた。

祭囃子が響く会場内。紅白幕が設置された舞台の中央には、水色の巴柄がデザインされた巨大な布に赤字で「吉田山田」、「祭」と記された幕が揺れていた。浴衣でキメた2人が姿を見せると、ランナーにとって夏の風物詩となったライブの始まりを祝うように、大きな拍手が送られた。

「どれだけアナタに助けられてきただろう」。ボーカルの山田義孝の繊細な声が、夏祭りの始まりを告げた。無伴奏で始まった冒頭、ファンはじっと耳を傾けている。山田が「吉田山田祭り2022に来てくれてありがとう!」と声を張り上げて両手を広げると、観客は一斉に立ち上がり、思い思いにリズムを取り始めた。

ふたりが「OK!」と張り上げる声に合わせ、客席が親指と人差し指で輪を作り、「OK!」と応えていく「OK」では、曲の途中で山田が「(コロナ禍で)声を出せないけれど、全身で伝えて」と手足を大きく使った「OKポーズ」をレクチャーし始めた。

頭上で輪を作る「O(オー)」、身体を横向きにし、両手を上下に広げた「K(ケー)」。動きが揃った会場を満足そうに見つめた山田は、再び、「オー」と続けると、「ケー」の後に、「エー、ケー、アイ」と繋げていく。横にいた吉田は「エー?」と怪訝な顔。吉田の心配をよそに、山田は「おかき!」と笑顔を見せた。吉田は「おかき? 何で、おかきってやらされたんだ?!!」と思わぬ展開に目を丸くしていた。

ユニークなダンスは、「O、K、A、N、E(お金)」、ライブの開催地「U、E、N、O(上野)」と進み、吉田から「小学生か!」と突っ込まれる場面も。山田は「ばっちりOK。最後の最後まで楽しんで行こう!」と一糸乱れる動きで盛り上がったオーディエンスに呼びかけていた。

愛おしい人への気持ちを歌詞にした「キミに会いたいな」では、同曲からステージに呼び込まれたキーボードの平畑徹也が、震える思いを鍵盤で表現。バイオリンの室屋光一郎が加わった「カシスオレンジ」では、躍動する室屋の弦の音に合わせて、ランナーたちが気持ちよさそうに身体を揺らしていた。

演奏後、一度楽屋に戻った4人。室屋を先頭に5人に増えたバンドメンバーが舞台に戻ると、最後に衣装を替えたふたりが戻って来た。下手、上手へと移動し観客をあおった「世界が変わる」。続く「好き好き大好き」ではギターを持ち替えた吉田がテンポを速めると、会場のテンションがどんどん上がって行った。

MCでは、吉田が足を運んだスーパーで、小学生の女の子が、ふたりの楽曲「もやし」の歌詞をクイズにしていた場面に遭遇したことを告白。吉田は「『“もう、やだ、死にたい“の頭文字だけ言ってみて』ってばあば(おばあちゃん)に言っていたけど、ばあばは疲れ切っていた…。でも(曲が)浸透しているんだなと思ってうれしかった」と明かしていた。ほっこりとした空気の中で始まった「もやし」では、山田がリコーダーを演奏。バンドメンバーの草刈浩司はギターをタンバリンに持ち替えて盛り上げていた。

西日が差し込む中で始まった「日々」は、老夫婦が共に歩んできた時間をつづった曲。手を繋ぐカップルや夫婦を包み込むように、美しいハーモニーが広がって行った。終盤には今年の10月21日に、東京・品川インターシティホールでライブを開催することを発表。山田は「みんなで一緒に吉田山田の13年目をお祝いしたい」と声を弾ませていた。

ライブの告知を終えた山田は「今日、ここにいるあなたと、会場に来られなかったけれど思いを届けてくれる人。全てのランナーに思いを込めて」と、デビュー曲の「ガムシャランナー」を熱唱。「走れ走れ!」と歌うサビでは、観客が右手の拳を天に突き上げて、声援を送っていた。

一体となった会場。同曲の終盤に“虹の橋”と歌ったシーンでは、照明が七色に輝くサプライズも。ステージに立つ吉田、山田のふたりから、ランナーに向けて。“虹色に輝く思いの橋”がかかった瞬間だった。

蝉の声が響き渡る中、「ガムシャランナー」から「涙の海」、「才能開花前夜」へと駆け抜けていく。「才能開花前夜」のアウトロで、赤いはっぴに袖を通したふたり。吉田は舞台に設置された太鼓を打ち鳴らすなど、ド派手な演出で圧倒した。続く「夏のペダル」では、山田が雅な篠笛の音で観客を酔わせていく。力強く響く太鼓と笛の共演に、オーディエンスからどよめきが起きていた。

額の汗をぬぐった山田は「今年一番の花火を打ち上げる!」と気炎。「わっしょい!」と全身の力を振り絞って声を出し続けていた。

最後のMCで吉田は「今年も良い思い出が出来ました。鳴いているね、セミが。夏しちゃってるね。みんなの顔を見ていたら、こみ上げてくるものがあって…。幸せです」と感謝。吉田は「音楽は僕らを繋ぐもの。辛い時は今日の事を思い出して欲しい。次に音楽を届けられる日まで、命をかけて音楽を作り続けたい」と思いを込めていた。

最後に披露した「魔法のような」を歌う前に山田は「(コロナ禍で)声は出せないけれど、今、涙をこらえた人。我慢しなくていいよ」と客席に目をやった。「今日、開催できたことはすごいことだと思う。毎日、山ほど色んなことがあって、それを乗り越えてここにあなたが立っていること。それだけで大成功だと思います。あなたと、あなたの愛する人に、届くように歌います」と語ると、吉田と共に「ラララ」と声を重ねた。「歌って、伝えたい」。その歌詞を体現するように。真っ赤な顔で歌い続けるふたり。全力で届けられる思いに、涙ぐむ女性もいた。

「最高の祭りをありがとう」。頭を下げたふたりにものすごい音量の拍手が送られた。あふれ出る思いが、空気をさらに熱く濃いものにしていた。5人のバンドメンバーと横並びになって一礼すると、一歩前に出た山田は「今年もたくさん、ありがとうございました。また会える日までみんな元気で。ありがとう!また来年!」と夏祭りでの再会を誓っていた。

SET LIST

01. 約束のマーチ
02. OK
03. 愛された記憶
04. キミに会いたいな
05. カシスオレンジ
06. 世界が変わる
07. 好き好き大好き
08. もやし
09. 新しい世界へ
10. 街
11. 日々
12. メリーゴーランド
13. ガムシャランナー
14. 涙の海
15. 才能開花前夜
16. 夏のペダル
17. 魔法のような

※Spotifyは、Internet Explorerではご利用頂けません。他ブラウザにてご覧くださいませ。
ご利用可能な環境についてはこちら

SHARE

吉田山田の関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る