学芸大青春「応援してくれるみんなへ素顔を出して感謝を伝えたかった」3周年記念ライブから新章(青春)の1ページ目を刻む

ライブレポート | 2022.10.14 13:00

学芸大青春 3rd Anniversary LIVE
2022年10月8日(土)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

この3年間、2次元など画面内の世界から、シルエットのみ、仮面着用、サングラス着用と段階を経て公の場でも3次元の姿を明かしてきた学芸大青春。その彼らがデビュー3周年記念東阪ライブにてとうとう素顔を公開した。その東京・LINE CUBE SHIBUYA公演では新しいスタートを切った5人のフレッシュな姿と、共同生活を始めてから今までの4年半の経験の積み重ねがもたらした堂々とした佇まいをじっくりと堪能することができた。
暗転するとステージ上に配備された5枚のLEDパネルに学芸大青春のエンブレムが映し出され、彼らのロゴマークを彷彿とさせるボーダー状の照明もムードを高める。観客たちが今か今かと彼らの登場を待ちわびていると、5人が1階席の中央通路に登場。ステージに気を向けている間にお立ち台が設置され、たちまち通路はセンターステージと化した。

1曲目は初デート前の男子の心情を描いた「I’m in love」。メンバーは心地よいビートに身を任せ、観客に手を振るなどしながら心を通わせてゆく。メインステージに戻ると場内がレーザーで彩られるなか「Sugar」へ。クールなダンスとラップに甘いファルセットで一気にアダルティなムードへいざなった。
MCを挟んで披露したのは5人の声が引き立つカラフルなナンバー「My Side」。学芸大青春の楽曲はそれぞれの声の特性を生かした歌割りなども特徴的だが、この日のステージも彼らの動きや表情が引き立つ仕様なのが印象に残った。黒に統一されたシックな空間に、スタイリッシュな照明演出とそれぞれの個性が生きた衣装。あくまでこの5人が主体となりエンターテインメントを展開するという気概が、ステージデザインからも伝わってくる。

「スニーカー」を爽快かつエモーショナルに歌い上げると、透明感に富んだ「雲の切れ間」を2Dでパフォーマンス。リアルの場では5人で協力し合いながら空間を作り上げるのに対し、2Dは個々のパフォーマンスが集まることで成立する。星野 陽介と仲川 蓮の瑞々しいハイトーンボイスは夢見心地のようにやわらかく、2Dという表現形態も相まって楽曲の幻想性をより際立たせていた。
ここからはメンバーが入れ替わりながらパフォーマンスするセクションへと移行。蓮がキーボードプレイを含む「予報通り、雨。」でミステリアスな空気を作ると、続いて1階席中央に登場した内田 将綺は「Don't think, Feel」の前半部分を観客とのコミュニケーションに費やす。 “僕ら素顔を明かしたおかげで、皆さんの表情をはっきりと見られることになりました! これからも一緒に青春してください!”と呼び掛けると、真摯な思いを歌声に込めた。
将綺が静かに歌いはじめた「あさりジェノベーゼパスタ」では南 優輝が曲中で登場し、楽曲の展開をよりドラマティックに描写。「That's shape of my love」では相沢 勇仁が甘く切ない歌声で歌詞を一言一言大事になぞるように歌う。5人全員ではできない、でも5人にしかできない表現に、会場一体が魅了されていた。
歌い終えた勇仁のもとに蓮が訪れ、2名でのMCタイム。“普段口数の少ない者同士”と語るとおり、落ち着いた空気が流れる。5人が共同生活している寮の心霊現象エピソードを明かすと、“怖い話で寒くなったので場をあたためてもらいましょう”と陽介を呼び込み、陽介は一発ギャグとショートコントの計3本を立て続けに披露する。勇仁と蓮によるきめ細やかなツッコミも相まって客席からは次々と笑顔がこぼれた。
再び無人となったステージに、優輝が単身登場。“一発ギャグのあとなので、リラックスして聴いてください”と呼び掛け「Chilling Day」を歌唱する。曲中で陽介と将綺が友人役で現れるシーンもアクセントになっていた。優輝と勇仁による「The Only Thing」は優輝の優雅でダイナミックなダンスが場内を圧倒し、陽介と蓮による「かんじょうせん」は楽曲にじっくりと入り込む両者のパフォーマンスに息を飲む。「ずっと」では一転、将綺と陽介がリラックスした様子でソフトな歌声を響かせる。歌詞に綴られた家族愛が、メンバー同士の関係やメンバーとファン同士の関係にも受け取れるのもライブならではだろう。“ずっと”と願うように歌うふたりの声が場内をポジティブに包み込んだ。

ハッピーなムード立ち込める「アールビーワイ」を2Dで届けると、衣装チェンジをしたメンバーがステージに帰還。レーザー、LEDパネル、照明をフルで使用し、「HOLD US DOWN」と「DoDo tz Dotz」を畳み掛けたあと、5ヶ月連続ピアノダンス楽曲リリースの第3弾「グッデイ・バッデイ」のリリースを発表し、2次元と3次元の2種類の新アー写を公開する。メンバー全員が新たな動きに意欲を見せた。
グループのスタンスが歌詞に投影された「Easy Peasy」と「Happy Ever After」で本編を締めくくると、アンコールではツアーTシャツに身を包んだメンバーが自身のメンバーカラーが光るペンライトを持って登場。ハーモニーの効いた「Race!」を歌い上げると、メンバーそれぞれ今日のライブの感想を言葉にした。
3周年を機に顔出ししたことについて蓮は“これが自分のやりたかったこと。毎日幸せを噛み締めている”、勇仁は“これまで自分たちのことを支えてくれていた方々の前で、顔を出してパフォーマンスをすることができてすごくうれしかった。これからもみんなの笑顔を見られるように頑張ろうと思う”と語る。将綺は“もっと僕たちの青春を追いかけたいと思ってもらえるグループになりたい”と今後の抱負を告げ、陽介はチケットがソールドアウトしなかった悔しさを露わにしながら目標達成への誓いを立てた。
優輝は“陽介の言うとおり悔しい気持ちもあるけれど、この5人で3周年を迎えられて、ここまで応援してくださった皆さんの前で顔を出してライブをすることができていることが何よりもうれしい”と感謝を告げると、“まだまだ未熟なところもある僕たちですが、自分たちのやりたい音楽やパフォーマンスを誰よりもまっすぐ突き進んでいく”と強いまなざしと晴れやかな表情を浮かべる。5人それぞれの気持ちをしっかりと受け止めた客席からは、あたたかい拍手が湧いた。

“最後1曲思いっきり楽しめますか!?”と呼び掛けると、ラストは「WHO WE ARE!」。
1階席通路を1周し、5人で《日本から世界かっさらう》というリリックを決意表明のように轟かせる。客席に弾け飛んだメンバーカラー5色分のテープも、彼らの勢いを後押しするようだった。
2次元と3次元、メンバー全員とソロ、デュエットなど、様々な手法でカラフルにステージを繰り広げた5人。彼らのクリエイティブは楽曲も含め、メンバーの個性やパフォーマンス、存在感を中心に成り立っていることを目の当たりにするライブだった。なかでもこのデビュー3周年記念公演は、5人の強力なコンビネーションを見せつけたと言えるのではないだろうか。この結束がより高まったら、より個々の威力も増していったら――まだまだ可能性は計り知れない。新たな野望が生まれた彼らの青春には、さらに鮮やかな風が巻き起こっていた。

SET LIST

01.I'm in love
02.Sugar
03.My Side
04.スニーカー
05.雲の切れ間
06.予報通り、雨。
07.Don't think, Feel
08.あさりジェノベーゼパスタ
09.That's shape of my love
10.Chilling Day
11.The Only Thing
12.かんじょうせん
13.ずっと
14.アールビーワイ
15.HOLD US DOWN
16.DoDo tz Dotz
17.Easy Peasy
18.Happy Ever After

ENCORE
01.Race!
02.WHO WE ARE!

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