ORESAMA、充電期間前ラストライブ開催。ゲストに武田真治も登場した晴れやかな旅立ちの一夜をレポート

ライブレポート | 2022.10.20 12:00

ORESAMA ONEMAN LIVE "TREK TRUNK"
2022年10月10日(月・祝)Spotify O-EAST

新旧織り交ぜたセットリストで繰り広げられた、充電期間前ラストライブ。ORESAMAは常にステージでも音楽でも“前に進み続けること”を体現していたユニットなのだと改めて思い知らされた。この旅路の先での再会を約束するように、ステージとフロアが固く思いを交わし合う、非常に情熱的な夜だった。

ステージに小島英也(Gt/Prog)とDJ&バンドメンバーが現れると、空港の雑踏とアナウンスの音をバックに大きなトランクを持ったぽん(Vo)が登場。彼女がステージの中央でそれを開くとSEが流れ、「ワンダードライブ」へとなだれ込んだ。のっけからフルスロットルで歌を届けるぽんに触発されるように、フロアからも瑞々しいクラップ音が弾け飛ぶ。さらに全面プロジェクターの背景にうとまるによるイラストやMVが映し出され、華やかなレーザーに会場中が包まれると、たちまちポップでエッジーなORESAMAワールドが出来上がっていった。

ORESAMAが充電期間に入ることを発表したのは今年の5月頭。5ヶ月という時間を掛けて、充電期間を設ける理由を真摯な姿勢でファンに伝えてきた。ゆえに会場には最初から、新しい経験を得るために住み慣れた街を旅立つ2人を快く送り出そうというポジティブなムードが立ち込めていたのだろう。ぽんもキュートかつエモーショナルなボーカルを響かせるだけでなく、思いっきり手を左右に振るなど見目でも観客を高揚させ、「パラレルモーション」では小島もお立ち台に乗ってプレイし、ベーシストとともに生楽器ならではのグルーヴを巻き起こす。絶対いい夜にするという気合いが、演者はもちろんフロアからも立ち込めていた。

「Trip Trip Trip」ではステージの上部からORESAMAロゴの電飾が登場。まだ4曲目だというのに、この時点でライブのクライマックスかのような盛り上がりだ。力強さと優雅さを併せ持つORESAMAの音楽とふたりの佇まいは、否が応でも聴き手の心をときめかせてしまうことを再確認する。小島の“おしゃれカッティング野郎”スキルが炸裂する「PEARLY×PARTY -Funkapopver.-」、静かに燃え上がる意志を凛とした緊迫感で届けた「ホトハシル」に続き、「ism」ではぽんのラップがクールかつアクセントに。「迷子のババロア(-Dressup cover-)」ではレーザーとミラーボールが幻想的な世界を具現化し、O-EASTをORESAMAの深部へといざなった。
そこから間髪入れずにMONICOによるDJタイムへ。ORESAMAのディープな音楽表現に彼女ならではのスパイスを加えていた。「ファジータウン」から「KARAKURI」とトランス的なムードが高まると、ぽんと小島がステージに再登場。MONICOとともに3人でスペシャルメドレーを届ける。

ORESAMAにとって初のメドレー。選曲は「ワンダーランドへようこそ」など初期曲が多くを占めていた。DJタイムと併せて、O-EASTの向かいにあるO-nestで開催していた自主企画ライブ「FLAT NIGHT CARNIVAL」時代を想起した観客も多いだろう。ぽんと小島が同時にお立ち台に乗りクラップを煽るシーンも非常に晴れやか。タイムスリップしてORESAMAの歴史を楽しむようなセクションは、前半とは異なるエンターテインメントが実現していた。
再びライブメンバー全員が揃い「CONTINEW WORLD」「OPEN THE WORLDS」と新しい世界の扉を開ける楽曲をエネルギッシュに届けると、それを具体化するかのようにステージにはホーンセクションとスペシャルゲストの武田真治が登場。武田はORESAMAの楽曲にサックス奏者として参加するなど親交もあり、ぽんが“いつかORESAMAのライブに参加していただけたらと思い、小島くんがお声掛けしました”と事の経緯を語ると、武田は“誘うの遅いよ小島くん~!”と観客の笑いを誘った。

武田が“ORESAMAが充電終えて帰ってきたくなるように盛り上げよう!”と客席にスクワット10回を呼び掛け、会場一体がスクワットに興じるという異例の光景が繰り広げられる。持ち前の筋肉に違わぬパワフルさはサックスプレイにも如実に表れ、「cute cute」と「Chewy Candy」の2曲で右足踵骨の骨折を感じさせないアグレッシブかつ刺激的な音色で圧倒。さらにはかなりの盛り上げ上手で、まさしくこの日のカンフル剤とも言えるパフォーマンスだった。

武田がステージから去ったあと、ホーンセクションとともに「CATCH YOUR SWEET MIND」をナチュラルな躍動感で届けると、「NIGHT BEAT」ではロマンチックかつセンチメンタルな空気が優しく漂う。そこから催涙性の高いメロディとピアノにぽんの情感あふれるボーカルが乗る「秘密」、ゴスペルテイストの「Moonlight」の流れは、月明かりにも似た切なさと柔らかさを感じさせた。夜は現実世界から飛び出せる時間でもあり、自身の気持ちの奥と向き合える時間。夜に音を乗せ、夜を歌い続けてきたORESAMAだからこそ表現できる、意味深いセクションだった。

ぽんが“ORESAMAは充電期間に入りますが、さよならでもお別れでもないから。また会う日はわたしたちもみんなもパワーアップしていると思うので、その日を楽しみにしておいてほしいです”と告げ、“ここから先はひたすら楽しんでいきましょう!”と呼び掛けると「TREK TRUNK」から間髪入れずに「Hi-Fi TRAIN」へ。この場にいた大多数の人間が「TREK TRUNK」がラストだと思っていたところに予想外の展開だ。このギミックも一筋縄ではいかないポップスを作り続けてきたORESAMAが表れている。

フロアもうれしい誤算に拍手で喜びを露わにし、本編ラストは「流星ダンスフロア」。観客もクラップで音と一体となる様子は、楽曲がライブで育まれてきた証だ。ホーンセクションも加わりたちまち高度を上げて飛んでいくようなサウンドの中で、《新たな景色が待っている》などの歌詞がじっくりと響いてくる。この曲を書いた当時と同じポジティブなマインドで、ふたりはORESAMAを充電させる選択をした。それを音でもって存分に伝えるふたりの姿は、まさしくふたりが語っていた“ORESAMAらしい最後”の象徴だった。

アンコールでは「ねぇ、神様?」-Dressup cover -など3曲を披露。ぽんは、自身の音楽キャリアがORESAMAとともにある旨と、学生時代に4人で結成したのち小島と2人組になり模索をするなかで様々な人々と出会えた喜びを語ると、“ぽんもぽんじゃないわたしもミナサマで構成されています。私生活のすべてがORESAMA一色でした。間違いなくわたしの青春です。これからもORESAMAのこともみんなのことももちろん大好き。わたしたちをつないでくれたORESAMAの音楽をとても誇りに思います”と強いまなざしを浮かべた。
小島はダブルアンコールでMCを託され、“事前に話すことを用意するのは嫌だったから、今思っていることを率直に話す”と述べる。高校生の頃にぽんの歌声をたまたま聴いて“どうしてもこのボーカリストがいい”と思い、一言も会話をしたことがないぽんに勇気を出して声を掛けた自分を褒めてあげたいという旨を明かすと、アンチの存在も含め自分たちの音楽と接点を持った人々全員に感謝をしていることを告げ、観客へ“皆さんが音楽を好きでい続けているということは、僕らはいつでも帰ってこれる場所があるということなので。強要はしないけど、ずっとずっと音楽を好きでいてください”と呼び掛けると、フロアから大きな拍手が送られた。

ぽんと小島でデビュー曲「オオカミハート」で晴れやかにラストを飾ると、ぽんが小島の前に手を差し出す。ふたりが固い握手を交わすと、この日いちばんの大きな拍手がふたりを包み込んだ。最後までORESAMAはお互いの自立心と特技を持ち寄り、協力することで成り立つユニットだからこその一幕だった。

ぽんが冒頭で開いたトランクの蓋を小島が閉め、ぽんが先に歩き出し、その後小島がそれを手にステージから去る。エンドロールの最後にはふたりからの手書きメッセージが映し出され、そこにも再会を誓う文言が記されていた。ORESAMAという場所をより豊かにするためにふたりは旅に出る。そんなふたりの凛々しい後ろ姿に、どうしたって未来を期待せずにはいられないのだ。

Stylist:佐野夏水

SET LIST

01. ワンダードライブ
02. Gimmme!
03. パラレルモーション
04. Trip Trip Trip
05. PEARLY×PARTY -Funkapopver.-
06. ホトハシル
07. ism
08. 迷子のババロア (-Dressup cover-)
09. Special ORESAMA Medley
10. CONTINEW WORLD
11. OPEN THE WORLDS
12. cute cute
13. Chewy Candy
14. CATCH YOUR SWEET MIND
15. NIGHT BEAT
16. 秘密
17. Moonlight
18. TREK TRUNK
19. Hi-Fi TRAIN
20. 流星ダンスフロア

ENCORE
01. 「ねぇ、神様?」-Dressup cover -
02. 銀河
03. 乙女シック

W-ENCORE
01. オオカミハート

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