Nothing’s Carved In Stone、再始動公演をレポ!

ライブレポート | 2022.11.21 18:00

Nothing's Carved In Stone "Live on November 15th 2022"
2022年11月15日(火)Zepp DiverCity(TOKYO)

Nothing's Carved In Stoneが、11月15日(火)にZepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブ"Live on November 15th 2022"を開催した。

自身の代表曲「November 15th」にちなんで、毎年11月15日に行なわれている本イベント。今回はNothing's Carved In Stoneの充電期間が明ける約半年ぶりのライブとなり(ギタリストの生形真一がELLEGARDENのアルバム制作に専念するため、一時的にライブ活動を休止していた)、1階スタンディングエリアと2階着席エリアのどちらもがびっしり埋まった場内の光景を見渡すと、こんなにもたくさんの人たちが彼らの再始動を待ちわびていたんだなと感慨深さを覚える。

オープニングSEとともに、村松拓(Vo&Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)がステージに登場し、“Nothing's Carved In Stone”のバックドロップがセットされて、いよいよ記念すべきライブの幕開け。復帰1曲目を飾ったのは、なんといきなりの「November 15th」だった。ナッシングスを結成した際の想いが刻まれた誓いの曲でもあるだけに、イントロが鳴り響くと同時に歓喜の拍手があふれ、最初のサビを迎えるとフロアからたまらない感じで拳が突き上がる。1番を歌い終えて「行こうぜ!」と呼びかける村松の精悍な表情もいい。

村松拓(Vo&Gt)

生形真一(Gt)

日向秀和(Ba)

大喜多崇規(Dr)

バンドサウンドも次第に勢いづき、続いては生形、日向、大喜多が流れるように鋭いソロを決めた得意のコンボ「Spirit Inspiration」「白昼」。約半年のブランクがあるとはいえ、2021年12月にリリースした最新アルバム『ANSWER』のツアー、2022年4月の東阪ワンマンライブ"Bring the Future"をビビッドに思い出させるキレキレの演奏をもって、4人は待ってくれていたファンの熱量に負けじと奮起する。派手な仕掛けなしのシンプルな編成ながら、一音も気を抜けない極限的なスリルと集中力のもと、グルーヴの快楽をどこまでも追い求めるという彼らのスタンスはやはり唯一無二と言えよう。

オーケストラヒットなどの電子音を取り入れた「Idols」でオーディエンスを小気味よく踊らせたあと、「Nothing's Carved In Stoneです。よろしく! ……興奮してる。全力で応えます。最後までついて来てね」と村松が冒頭のMCを手短に済ませて「Spiralbreak」へ。4人はまだまだライブに飢えている感じで、攻めの姿勢をまったく崩さない。この貪欲さが実にナッシングスらしく、バンドのタイトかつグルーヴィなプレイが一段と凄みを増していく。そんな彼らの復活を祝うかのような盛大なハンドクラップが沸き起こった「ツバメクリムゾン」、より複雑なリズムが絡み合うアンサンブルで魅せる「9 Beat」と、序盤とは打って変わってレア曲が連発される展開にも胸が熱くなるばかり。

"Live on November 15th"だから当然といえば当然なのだが、「ひさびさのライブなんですけど、難しい曲ばっかやってるんだよ(笑)。リクエストをいろいろもらったみたいだしね」と村松が中盤で話したとおり、この日は活動再開の公演とあって、足繁く駆けつけてくれているファンに捧ぐ、メンバーからの愛がふんだんに詰まったセットリストとなっていた。明るく軽妙な音色が広がった「Brotherhood」以降もナッシングスのパフォーマンスは冴えわたり、「Midnight Train」では日向と大喜多が紡ぐ硬質なビートの上で、生形のミニマルなクリーントーン、村松の伸びやかなボーカルが心地よく舞う。“答えはひとつ そう 今を生きる 前を向いて”と力強く歌う「Walk」の圧倒的なアンセム感、ステージを包む逆光の照明も素晴らしかった。

村松が鳴らすギターのディストーションから始まった「Damage」も痛快で、日向の高速ベースラインに大喜多が精緻なフレーズの連打で呼応し、生形がフライングVで荒々しくアプローチするというバチバチのせめぎ合いは、この日のハイライトのひとつ。ガツンと歪んだリフが強烈な最新曲「Fuel」、生形によるイントロのピエゾサウンドで一気に惹き込まれる「Milestone」……修羅の如き凄まじい演奏に、その中心で爆音に埋もれることなく凛と歌うボーカルに、観る側は息をつく暇もない。

「出てきたとき、興奮した~! こんな光景は異常だって。最高!! 楽しそうだねー、伝わってくるよ。大喜多崇規、日向秀和、生形真一、村松拓でひさびさに揃ってライブをやっております。Nothing's Carved In Stoneです。それなりに準備はしてきたけど、半年以上ぶりの荒さも受け取ってほしいな。ここにしか流れてない時間を、ここにいるみんなといっしょに未来に変えて掴んでいきたいです」と、現在の心境を語った村松。

そして、ライブは後半へ。ヘヴィロックとデジロックを掛け合わせたような「In Future」からは4人のグルーヴがさらにヒートアップし、ナッシングスならではのテクニカルな音の受け渡しが光る「Like a Shooting Star」、バンドの新たな始まりを告げる迫真性に満ちた「Beginning」と、クライマックスでは定番曲も惜しみなく飛び出す中、とりわけグッときたのは「Out of Control」。口火を切る生形の華麗なピックスクラッチ、「今夜だけはわかるだろ? 最高の日にしようぜ!」と叫ぶ村松のアジテート、士気を高める日向と大喜多のグータッチという一連の流れがどれも馴染み深く、ひさしぶりに目にしたアクションだったので、ファンはめちゃくちゃ心に染みたのではないかと思う。“Nothing's Carved In Stoneが帰ってきたんだな”と、この日いちばん強く実感できた瞬間かもしれない。

「ありがとうございました! みんなが見てきた月と同じような、俺たちがそんな存在だったら嬉しい」と村松が感謝を伝え、スケールの大きいミディアムナンバー「The Silver Sun Rise Up High」で本編をドラマティックに締め括ったNothing's Carved In Stone。歓迎ムードにあぐらをかかないためか、アンコールで「ちょっと一曲、気合入れるから」と「Isolation」をパワフルにぶちかましてくれたのにも痺れた。

「4月20日(東京・LINE CUBE SHIBUYA [渋谷公会堂]で行なわれたライブ活動休止前最後のワンマン)にみんながどう思ったかはなんとなくわかるし、今日のライブを発表したときにどう思ったのかもだいたいわかってるんでね。たぶん、同じような気持ちだから。これ以上言うのは、野暮ってもんだろうよ」と笑顔を見せた村松。

「我々4人は引き続き、それぞれの活動もあるけど、マイペースにやっていきます。世界でいちばんかっこいいバンドだと思ってるし、これからもどうぞよろしくお願いします」とも話し、来年2月27日(月)には豊洲PITで「SPECIAL ONE-MAN LIVE "BEGINNING 2023”」を開催することを宣言した。

「次はもっともっと伝わるようないいライブします」と飽くなき挑戦意欲と未来への希望を湛えて「Perfect Sound」を披露し、ラストまで絶対的なライブバンドらしく怒涛のサウンドをストイックに轟かせた4人。やっぱり、Nothing's Carved In Stoneは最高だ! この日Zepp DiverCity(TOKYO)に足を運んだ観客の誰もがそう感じたはず。何はともあれ、無事に帰ってきてくれてよかった。おかえりなさい。"BEGINNING”から始まる結成15周年イヤーにも期待しよう。

SET LIST

01. November 15th
02. Spirit Inspiration
03. 白昼
04. Idols
05. Spiralbreak
06. ツバメクリムゾン
07. 9 Beat
08. Brotherhood
09. Midnight Train
10. Walk
11. Damage
12. Fuel
13. Milestone
14. In Future
15. Like a Shooting Star
16. Beginning
17. Out of Control
18. The Silver Sun Rise Up High

ENCORE
EN1. Isolation
EN2. Perfect Sound

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