FLOW、ラックライフ、BURNOUT SYNDROMES「共鳴レンサツアー 〜アニメスペシャル〜」新年の幕開けに相応しいロックの祭典

ライブレポート | 2023.01.26 19:00

DISK GARAGE presents 共鳴レンサツアー 〜アニメスペシャル〜
2023年1月16日(月)渋谷CLUB QUATTRO

音楽プロモーター・DISK GARAGE主催企画「共鳴レンサ」。2013年の初回開催から様々なジャンルレスな対バンで観客を魅了してきた同企画の開催50回目を記念し、東名阪CLUB QUATTROを回る「共鳴レンサツアー」が2023年1月に行われた。全公演にFLOW、ラックライフ、BURNOUT SYNDROMESが出演し、全バンドがアニメのテーマソングのみでセットリストを構成するという、多数のアニメソングを手掛けてきたロックバンドならではのスリーマンライブが繰り広げられた。

トップバッターは名古屋公演でトリを務めたBURNOUT SYNDROMES。英語のアナウンスに三味線などを加えた和洋混合のSEで登場すると、「BLIZZARD」でライヴをスタートさせる。世界観を作り込んだ同期と、ヘヴィなダンスビートにギターソロなどを取り入れた3人の生演奏を浴びたフロアは、たちまち熱気を帯びていった。「ヒカリアレ」では3ピースバンドどならではの屈強なサウンドで魅了し、さらに「Good Morning World!」でたくましいプレイを繰り広げる。熊谷和海(Vo./Gt.)によるフロアを巻き込んだ曲間のつなぎMCも、この場にいる一人ひとりを主人公にしてしまうようだ。
大阪のバンドならではの軽妙なMCで場内を湧かせると、3人はFLOWのKEIGO(Vo.)、KOHSHI(Vo.)、TAKE(Gt.)をステージに呼び込み、昨年12月にリリースしたBURNOUT SYNDROMESとFLOWのコラボシングル「I Don’t Wanna Die in the Paradise」をライブ初披露。同曲は海外公演経験が豊富な2バンドによる“世界に向かって戦っていく”という決意が込められているとのことで、6人のパフォーマンスも独特の緊迫感と解放感に満ちる。熊谷とTAKEによるツインギターも痛快だった。
6人の演奏が終わるとラックライフのPONが袖から顔を出し、黄色いカードを振りかざす。“「I Don’t Wanna Die in the Paradise」はアニメのテーマソングではないから選曲としてイエローカードだ”という言い分に会場からは笑いが。熊谷がPONに“(ラックライフも結成)15周年おめでとう”と呼び掛けると、フロアからもPONに向かって大きな拍手が湧いた。

賑やかだったステージは再び3人に。名阪公演で自分たちの前の出番がFLOWだったことに触れ、“あの人らお客さんのHPをゼロにすることしか考えてへん”、“あのあとやりにくいねん!”などと笑うと、“我々もそれを踏襲して、一番手ながら皆さんのHPをゼロにするつもりでやっていこうと思います。でも大丈夫、この後に出てくるバンドがまたHPをマックスにしてくれますから”と熊谷が呼び掛け、「PHOENIX」と「FLY HIGH!!」で締めくくる。フロアも積極的にジャンプに興じ、会場一丸となってハイテンションをキープしたままラストまで駆け抜けた。

中継ぎを担ったのは初日大阪でトリを務めたラックライフ。初手「Hand」からロマンチシズムとアグレッシブなムードを兼ね揃えた、ロックバンドならではの力強い演奏を純度たっぷりに届ける。続いての「リフレイン」ではPONがクラップを鳴らす観客に対して“手拍子って頭の上でやるって知ってた!?”と煽り、観客は高らかに手を上げて強く鳴らす。序盤2曲で会場全体をかき回し、さらにギアを上げていった。
MCでPONが先ほどのイエローカードのくだりに触れると、“「共鳴レンサツアー」のボーカリストインタビューで楽しくしゃべってたら、途中からあの人らのコラボレーションの話になっててん!”と嘆き、ikoma(Gt)がクールに“寂しかったんやなあ”とツッコミを入れる。(FLOW、ラックライフ、BURNOUT SYNDROMESが出演「共鳴レンサツアー 〜アニメスペシャル〜」開催記念!ボーカル座談会 )
その後もPONは終始興奮した様子で話し続け、“ずっとお世話になっているイベントで、この3バンドで東名阪クアトロで3DAYSを迎えられたことがとてもうれしい”と「共鳴レンサ」に感謝を告げた。
「Naru」で真摯な思いを届けると「シンボル」では15年間ライブハウスで活動してきた生き様を見せつけるようなひりついたサウンドスケープで圧倒する。全員爆音。これが成立するのも、PONががなりとクリーンを巧みに使い分けられる異常なほどの喉の強さを持っているからだ。これも日本全国のライブハウスで数多くのステージを重ねてきたからこそ育まれたのだろう。
15周年の決意を込めた「℃」、メンバー全員によるコーラスワークも美しいロックバラード「しるし」の最新曲2曲を立て続けに披露すると、PONはアニメの主題歌の書き下ろしのオファーを初めて受けたときのことを話し始めた。自分たちの思うように曲作りができないのではないかという怖さがあったが、実際に打ち合わせをしてアニメの制作スタッフの熱意に胸を打たれたという。“(アニメに書き下ろした楽曲は)全部PONの人生に重ねて書いているから、ラックライフの歌として歌っていける。アニメのおかげで、ライブハウスでずっと歌っていきたい歌がたくさんできました”と喜びと感謝を口にした。
“アニメに重ねて聴くのも素敵やけど、俺らはあなたの人生に片足を突っ込んでいきたい”と告げ、最後に演奏したのはロックバラード「名前を呼ぶよ」。音と歌詞の一つひとつを聴き手に刻むように大切に届ける4人の姿に、観客も熱い視線を向けた。

ツアーを締めくくるのは今年メジャーデビュー20周年を迎える、レジェンドと言っても過言ではないFLOW。高揚を煽る照明とSEのなか登場した5人はまず景気づけに「CALLING」を届けると、ボーカル両名はツアーの充実を語り“BURNOUT SYNDROMESもラックライフも余計好きになった”と笑顔を浮かべた。憂いのあるメロディと性急なバンドサウンドのコントラストで突き進む「DICE」、さらに激しさを増す「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」と5人全員が途轍もなくパワフルなパフォーマンスを展開。つい何行か前に“レジェンド”と書いたが、レジェンドというにはこのバンドは暴風雨すぎる。油断していると吹っ飛ばされそうだ。
メタルインストを挟み(※ちなみにこのインストもアンコールでPONからイエローカードが出ていた)、ダンスロックナンバー「Steppin’out」になだれ込むとKEIGOとKOHSHIは美しいハーモニーを作りながらタオルを回してフロアを煽りに煽る。生ぬるさも迷いも一切なし。ずっとフルスイングをかますようなライブに、圧倒を通り越して笑いが止まらなくなってしまった。そうしているうちにふと、声優を生業にした某氏が“アニメ声優は10代の役をやることが多いからか、みんな心が若い”と言っていたことを思い出した。それはアニメソングを書き下ろすことが多いアーティストも、アニメを愛するファンも同様なのかもしれない。
だが我々が何よりもフレッシュでいられるのは、お互いの熱をダイレクトに感じられるライブという空間があるからだろう。KEIGOの“ライブがいちばん大切な場所。ここは俺たちとみんなでしか作れない”という言葉のあと披露された「United Sparrows」は、どっしりと構えた雄大なサウンドスケープと、ふたりの力強いボーカル、観客の熱が重なり、真っ青な大空が広がるようだった。
ラストは「GO!!!」「GOLD」と『NARUTO』シリーズの新旧2曲を畳み掛ける。曲中では会場一体になりウェーブやその場でしゃがんでジャンプをしたり、楽器隊でマイクリレーをしたり、ジャンプをつんのめるようなグルーヴでロマンを描くなど盛りだくさん。エンターテインメントとロックをどちらも100%で発信するバンドであることをあらためて噛み締めた。

アンコールにはこの日の出演者全員が集合し、『NARUTO -ナルト-』のEDテーマであるORANGE RANGEの「ビバ★ロック」をカバー。“共鳴レンサファイナル万歳!”の掛け声とジャンプで晴れやかに締めくくった。KEIGOが“いつの日にかまたこの3バンドで共鳴レンサができたらいいなと思います”と言っていたように、またこの先の未来で再びこの3バンドが邂逅することはもちろん、同時に「共鳴レンサ」がこの先どんなアーティストと我々をつないでくれるのかも期待が高まった。たくさんの共通点を持ったバンドたちが、まったく違うステージを見せた「共鳴レンサツアー」。2023年の幕開けに相応しいロックの祭典となった。

SET LIST

BURNOUT SYNDROMES

01. BLIZZARD(TVアニメ『ましろのおと』オープニングテーマ)
02. ヒカリアレ(TVアニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』オープニングテーマ)
03. Good Morning World!(TVアニメ『Dr.STONE』オープニングテーマ)
04. I Don’t Wanna Die in the Paradise(w/FLOW KEIGO、KOHSHI、TAKE)
05. PHOENIX(TVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』オープニングテーマ)
06. FLY HIGH!!(TVアニメ『ハイキュ-!!セカンドシーズン』第2クール・オープニングテーマ)

ラックライフ

01. Hand(『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』主題歌)
02. リフレイン(TVアニメ『最遊記RELOAD BLAST』エンディングテーマ)
03. Naru(TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』オープニングテーマ)
04. シンボル(TVアニメ『食戟のソーマ 餐ノ皿 「遠月列車篇」』オープニングテーマ)
05. ℃(TVアニメ『ツルネ -つながりの一射-』オープニングテーマ)
06. しるし(TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第4シーズン・エンディングテーマ)
07. 名前を呼ぶよ(TVアニメ『文豪ストレイドッグス』エンディングテーマ)

FLOW

01. CALLING(TVアニメ『HEROMAN』エンディングテーマ)
02. DICE(TVアニメ『15周年 コードギアス反逆のルルーシュ』オープニングテーマ)
03. 愛愛愛に撃たれてバイバイバイ(TVアニメ『サムライフラメンコ』第2クール・オープニングテーマ)
04. Band Inst
05. Steppin’out(TVアニメ『デュラララ!!×2 結』オープニングテーマ)
06. United Sparrows(TVアニメ『バック・アロウ』第2クール・エンディングテーマ)
07. GO!!!(TVアニメ『NARUTO-ナルト』オープニングテーマ)
08. GOLD(TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』オープニングテーマ)

ENCORE
01. ビバ★ロック(TVアニメ『NARUTO-ナルト-』 エンディングテーマ / ORANGE RANGEカヴァー

公演情報

DISK GARAGE公演

FLOW

FLOW 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2023「Voy☆☆☆」
2023年2月23日(木・祝) 西川口Hearts・埼玉 ★26ers限定公演★
2023年2月25日(土) 郡山HIP SHOT JAPAN・福島 
2023年2月26日(日) 仙台Rensa・宮城
2023年2月28日(火) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE・岩手)
2023年3月5日(日) 横浜BAYSIS・神奈川) 
2023年3月9日(木) 名古屋ダイアモンドホール・愛知
2023年3月12日(日) KYOTO MUSE・京都
2023年3月17日(金) LIVE VANQUISH・広島
2023年3月19日(日) 富⼭ MAIRO・富山
2023年3月21日(火・祝) GOLDEN PIGS RED STAGE・新潟
2023年3月25日(土) YEBISU YA PRO・岡山
2023年3月26日(日) ⾼松 DIME・香川
2023年4月1日(土) DRUM LOGOS・福岡
2023年4月2日(日) なんばhatch・大阪
2023年4⽉14⽇(⾦) 松阪 M’AXA・三重
2023年4⽉21⽇(⾦) 神⼾ VARIT.・兵庫
2023年4⽉22⽇(土) 松江 AZTiC canova・島根
2023年4⽉26⽇(⽔) 浜松窓枠・静岡 
2023年4⽉30⽇(⽇) HEAVEN’S ROCK さいたま新都⼼VJ-3・埼玉 
2023年5⽉4⽇(⽊・祝) PENNY LANE24・北海道
2023年5⽉11⽇(⽊) 寿LIQUIDROOM・東京 

FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE2023 〜 アニメ縛りフェスティバル 〜
2023年7月1日(土) 幕張メッセ国際展示場

ラックライフ

ラックライフ Presents TOUR 2023 「Because of you」
2023年2月17日(金) 心斎橋 BIGCAT・大阪※ワンマン公演
2023年2月25日(土) 名古屋 ボトムライン・愛知
GUEST:SUPER BEAVER
2023年3月4日(土) 札幌 SPiCE・北海道
GUEST:BLUCK LIFE

ラックライフ Presents 15th Anniversary 「Because of you」
2023年3月15日(水) EX THEATER ROPPONGI・東京

BURNOUT SYNDROMES

2023年2月3日(金)~5日(日)アメリカ・ミルウォーキー「Anime Milwaukee」

  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 撮影

    佐藤広理

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