ピコの誕生日を祝う仲間たちが大集合!「ピコ生誕フェス2023~生まれてきてよかった!~ 」をレポート!

ライブレポート | 2023.03.25 19:00

4年ぶりのニューアルバム『柩 -HITSUGI-』をリリースしたピコが、自身の誕生日にあたる3月11日、東京・東京キネマ倶楽部において13時から『赤ピコ ワンマンライブ~生きててよかった!~』、18時から『ピコ生誕フェス2023~生まれてきてよかった!~』と題したまったく内容が異なるライブを1日2公演開催。この日限りのスペシャルプログラムで構成されたライブは、完全SOLD OUT! 声出しOKで行われたピコの2本のプレミアムライブの模様を、ここでは1本ずつに分けてレポートをお届けする。

昼公演のレポートはこちら

夜公演「ピコ生誕フェス2023〜生まれてきてよかった!〜」

ピコ生誕祭にして初の主催フェス。結果、これがめちゃくちゃ楽しかった! 歴代のボカロPさんたちが作った名曲たちのパワーもすごいが、それを自分流に歌いこなし、オリジナル曲まで歌う歌い手さんたちはみんな、揃いも揃って計り知れない圧巻の歌唱力。ピコとともにこの分野の可能性を世に打ち出し、シーンを牽引してきたアーティストから、いま新しい世代のトップを走っている人、ピコに憧れ育ってきた世代まで、これらを一度に見られた今回のフェス。ピコという存在の凄さ、歌い手界に与えた影響力を改めて確認できた主催フェスでもあった。

様々な“推し”のカラーのペンライトで埋め尽くされた場内。フェスのトップバッターを飾ったのは、もちろん主催者であるピコ。『赤ピコ ワンマンライブ〜生きててよかった!〜』とは衣装をガラリと変えて、今回は白ピコ仕様。しょっぱなからみんな大好き高音炸裂のハイトーンソング「脱法ロック」の披露で、オーディエンスはコーラスを大声で歌い、場内の熱気が一気に高まっていく。「『ピコ生誕フェス2023〜生まれてきてよかった!〜』、はっじまるぞー!」というピコによる爽やかな開幕宣言に続いて、場内は暗転。すると、フェスのジングルとともにNEXT ARTISTを紹介するアタック映像が流れる。このようなジングル制作や転換時の映像、さらには出演者のステージにピコがどんどん飛び入りして、事前告知なくサプライズでコラボステージを行なっていくなど、このフェスにかけるピコ自身の意気込み、熱量はすごいものがあった。出演者に対するリスペクト、さらには“推し”のために来た来場者も絶対に最後まで楽しませるという気持ちがひしひしと感じられるステージングで、この後ライブは次々と進行していった。

ピコ

2番手に登場したのは赤飯。イントロからこれまた人気の「マトリョシカ」選曲に、オーディエンスは一丸のクラップで喜びを伝える。「この曲を人前で歌うのは7〜8年ぶり」とおどけて話す赤飯は「でも、ちゃんと元気でやってます」と活動を続行していることをアピール。それを示すようにadoのカバー曲「逆光」をアクト。歌い終える前にステージに飛び出してくるピコを「まてまて」といって呼び止めた赤飯。このあとは、赤ピコとして「デビルじゃないもん」を素晴らしく息のあったボーカルワークで熱唱すると、フロアからは合いの手、“死んじゃった”と合唱する元気な声が立ち上がっていった。

赤飯(オメでたい頭でなにより)

3番手に姿を表したのはいかさん。七色の声色、ジェンダーレスなルックスで注目を集めるいかさんは爽やか系の男性ボイスを使ってメロディアスなロックチューン「地球最後の告白を」を歌唱しながら「いかさんです」と丁寧にご挨拶。続いてダンサブルな「ライアーダンス」が始まると、ステージを積極的に移動しながら、フロアを率先して歌い踊らせていった。このあとピコが出てきて、先月、2人は『FATALISM ≠ Re:Another story』という舞台で同じ亜歩露役を演じ、同じ主題歌「revive again」を歌ったことを伝えると「じゃあ主題歌を歌います」といって「revive〜」をダブルキャストで歌唱するという、この日ならではのサプライズステージを観客にプレゼントし、ファンを湧かせた。

いかさん

次に現れたのは、マッチョで体格のいいスポーツ選手のようなボディの持ち主、skip-A。この日は“新人枠”で登場し、持ち前の安定感ある高い歌唱力でアニメ『チェンソーマン』のOP曲「KICK BACK」を披露。続けて、ステージは同じ新人枠からの登場となった神谷玲へとバトンタッチする。インテリっぽいメガネをかけたルックスとは裏腹に、エッジの効いた人気曲「ゴーストルール」を正確なピッチで歌いまくるキレッキレの歌唱は圧巻! これにはフロアも一体感あるノリで、大いに弾けまくった。

skip-A

神谷玲

その空気をさらに弾けさせていったのが、次に登場した__(アンダーバー)だった。歌い手界のエンターティナーはいつものようにマントにマスク、ハットをきっちりと纏い、華麗な振る舞いで登壇。すると、それだけで場内の空気がガラッと変わる。そうして、静かにポーズをとると、観客はそれだけで大歓声をあげる。まず歌う前の準備運動として「これから歌う2曲の振り付けの確認を」といって解説が始まると、オーディエンスたちがその解説に被せるように一斉にコールと振りを披露する余裕を見せ、本人は驚きながらもご満悦! そうして「永遠に幸せになる方法、見つけました」を歌いだすと、“ホワイトハイパーウルトラドーン”の楽しい振り付けで、ステージと観客は瞬く間に一つに。続けて「こちら、幸福安心委員会です」が始まると、ここでは“アンダーバーは\最高です/、”大嫌い? とんでもない!!”の盛大なコール&レスポンス祭りが巻き起こり、場内には素晴らしい一体感が広がっていった。そこにピコが乱入。その勢いで、新人枠で出演したskip-Aと神谷玲までをも呼び込む。「若い芽は早いうちに摘まないとね」といってターゲットとなったskip-Aを、面白ろおかしくいじり倒してみんなを和ませたあと、「神のまにまに」をこの4人の声のスペシャルアンサンブルで楽しませていった。

__(アンダーバー)

ここからは、フェスもいよいよ終盤戦へと突入。このタイミングでステージにやってきたのは高身長で、細くて美しい貴公子のようなルックスを誇るluz。luzの登場に、場内には黄色い歓声が広がっていく。そこにまずは「ラヴィ」を投下。ステージに立って歌い出すと、1番でクールな表情でoiコールを求めたluzが、2番のラップパートはセクシーなローボイスを響かせて、妖艶な表情に豹変。このギャップで観客の心をロックオン! そこに間髪入れずに「FANATIC」を畳み掛けると、会場中が凄まじい爆音に包まれ、観客たちは死ぬ気で暴れ狂いだす。怒涛の盛り上がりでヒートアップしたところにピコが登場。luzとピコの共演といえば…ファンの頭の中に様々な妄想が広がる中、今回ピックアップした曲は激しいロックチューン「Dearest,Dearest」。ステージ上もフロアも競うように死ぬ気で暴れ倒すなか、曲中2人がお立ち台で急接近。きたか、きたかと思っていたそのとき。ピコの前に静かに跪いたluzが片手でピコの顎を引き寄せ“初めて交わした口づけ”と歌いながら顔を近づけていき、そっとキスをするような仕草を見せると観客は大絶叫!! 絵になる2人のパフォーマンスに魅了され、興奮が抑えきれない場内に、画面を通してNEXT ARTISTの名前が表示されると、観客達の感情はさらに大暴走!

luz

やってきたのは、いまこのシーンを牽引しているスター、めいちゃんだ。いつも明朗活発、元気オーラを放ちまくりのめいちゃんの登場に、場内には明るくハートフルな光が降ってくる。そうして、超速攻でフロアを笑顔で埋め尽くしていく最高のキラーチューン「小悪魔だってかまわない!」を遠慮なくドロップ。パワフルなのにクリアで、抜け感のある、なんとも気持ちいいめいちゃんのストレートな歌声に、みんなで“バッキューン!”、“ノンノン”、“チュー”の可愛い振りを踊って返し、めいちゃんとのコール&レスポンスを大いに楽しんだ。

めいちゃん

めいちゃんと入れ替わるように、ステージに登場したのはピコ。これを聴かなきゃ帰れないということで、ピコの自慢のハイトーンボイスがエモーショナルに炸裂していく「拝啓ドッペルゲンガー」を惜しげもなくアクト。
そうして、今日開催した人生初の主催フェスについて「最初は歌い手さんに声をかけても、来てもらえるかさえ不安でしたが、やってみたらみんなで一つになれたなと思いました。ありがとう」と来場者に感謝の気持ちを伝えた。この日は主催フェスであるとともに、ピコが35歳を迎えた生誕祭でもある。これまでの人生を振り返り、歌い手として「めちゃくちゃ長いこと、ここにいさせてもらっている」と前置きしたあと、「でも、途中死にかけた」と大病を患ったときのことを静かに振り返る。

「死は隣り合わせ。いつかはみんな死んじゃう。僕は一足先にそれに直面して、オカンのお陰でここにいます。いまここにいられるのは奇跡。これから先、僕は何を残していけるのだろうと思ったとき、これで曲を作ろうと思いました。みんなも失ったもの、取り返しのつかないものってあると思う。それでも明日はやって来る。僕も死んだほうが楽なんじゃないかと思ったときもあった。でも、ファンのみなさんの応援や家族の愛情に心支えられて、いまを生きています。だから、みんながそうなったとき、僕らの歌を聴いて、少しでも勇気をもって前に向かってくれたら僕は生きててよかったなと思うし。それが、僕の生きた証です」

頑張って涙をこらえていた。それでも、最後は泣きながらここまで述べたピコ。その言葉に胸を打たれたファンがタオルで涙を拭うなか、ピコは新曲のバラード「赫ノ柩」をアクト。ひとつ一つのディテールを大切に、丁寧に歌唱していくピコ。そこで歌われた言葉が、場内で言霊となり、観客たちの胸の中に静かに浸透していった。

「さあさあ、しんみりするのはここまで。カモーン!」とピコが後ろを振り向いて合図を送ると、luzとめいちゃんが元気よくステージに登場。3人が揃ったところで、この豪華ラインナップで歌い出したのは「デリヘル呼んだら君が来た」。3人がフロントに並んで“チェンジ!チェンジ!チェンジ!”をユニゾンで歌ったときの迫力たるや。そのオーラを全身で浴びたオーディエンスは“No,39!”と叫びながらXジャンプを飛びまくって、本編はみんなクタクタになりながら終了。

“実感(←『赤ピコ ワンマンライブ〜生きててよかった!〜』で爆誕したコール)”と通常の“アンコール”の声が入り乱れ、不思議な雰囲気で幕をあけたアンコール。ピコとともに出てきた赤飯の2人は、その声に戸惑いながらもニヤニヤ。そこにいかさんと__(アンダーバー)が加わったところでピコが「実感してください」といって始まったのは名曲「ヒバナ」。イントロからテンションはマックス状態に。ハイトーン合戦となった歌い手チームに対抗して、会場は疾走感溢れるバンドサウンドにのせてヘドバンを繰り出し、ステージとフロアで高揚感が爆発。そうして、最後はそこにluz、めいちゃん、skip-A、神谷玲も加わったところで、サプライズでピコの顔が描かれたバースデーケーキが登場。みんなでバースデーソングを合唱してお祝いをしたあと、ピコはケーキの上のベリーをつまみぐい。それを見ていた赤飯がすかさず「luz君に食べさせてもらったら?」とナイスな提案を繰り出す。するとluzはluzで、手袋をはめたまま生クリームに埋まったベリーを取ろうとして、相変わらずの天然ぶりを発揮(笑)。そうしてみんなが和んだあとは、ピコが「またこういうフェス、できたらいいなって思いました」と告げて、最後に「Hello,Good day!」を出演者全員で大合唱。歌い終えたあと、出演者と来場者全員でジャンプをきめ、ピコが「じゃあ、みんな解散!!」と閉幕宣言をして、この日のフェスは多幸感に満たされたまま幕を閉じた。

SET LIST

01. 脱法ロック[ピコ]
02. マトリョシカ[赤飯]
03. 逆光[赤飯]
04. デビルじゃないもん [赤ピコ]
05. 地球最後の告白を [いかさん]
06. ライアーダンス [いかさん]
07. revive again [いかさん with:ピコ]
08. KICK BACK [skip-A]
09. ゴーストルール [神谷玲]
10. 永遠に幸せになる方法、見つけました [__(アンダーバー)]
11. こちら、幸福安心委員会です [__(アンダーバー)]
12. 神のまにまに [__(アンダーバー)with:ピコ&skip-A&神谷玲]
13. ラヴィ [luz]
14. FANATIC [luz]
15. Dearest,Dearest [luz with:ピコ]
16. 小悪魔だってかまわない! [めいちゃん]
17. 拝啓ドッペルゲンガー [ピコ]
18. 赫ノ柩[ピコ]
19. デリヘル呼んだら君が来た [ピコ with luz&めいちゃん]

ENCORE
01. ヒバナ[ピコ&赤飯&いかさん&__(アンダーバー)]
02. Hello,Good day! [ピコ with All the guests]

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