Cazqui’s Brutal Orchestra、轟音と激しいステージング!熱狂的な盛りあがりを見せたフリーライブ

2023.03.28 17:00

Cazqui's Brutal Orchestra LIVE 001 "幻紫蝶-ヴァイオリア-"
2023年3月7日(火)新宿BLAZE

元NOCTURNAL BLOODLUSTのCazqui(7 strings)が主宰するプロジェクトとして2019年に始動したCazqui's Brutal Orchestra。圧倒的なヘヴィネスと抒情性、キャッチーさなどを巧みにブレンドしたCazqui's Brutal Orchestraの音楽性は独創的な魅力を湛えていて、多くのリスナーから注目を集めている。彼らは2019年11月に1stシングル「OSWALD」(2019年11月)のリリースと初ライブを行い、2022年11月に青山RizMで、フリーライブ『Cazqui’s Brutal Orchestra LIVE 000 “Dēmonstration”』を開催。そして、今年3月7日に『Cazqui's Brutal Orchestra LIVE 001 “幻紫蝶-ヴァイオリア-”』と銘打ったフリーライブを行なった。

Cazqui(7 strings)

今回のライブは『LIVE 000 “Dēmonstration”』が応募多数のため抽選となったことを受けて、よりキャパシティーの大きい新宿BLAZEで開催。『LIVE 000 “Dēmonstration”』の盛況ぶりを見て、次は有料ライブを…という思考にいかず、もう1度フリーライブを行ったことからは、「利益よりも、まずはより多くのリスナーにCazqui's Brutal Orchestraを見てほしい」というCazquiの思いが伝わってくる。それを裏づけるように、今回のライブはフリーライブでいながら架神(Vo/DEXCORE)、Daichi(Gt)、Boogie(Ba/JILUKA)、弓代星空(Vl/AURORIZE)、Velladon(Manipulator)、Zyean(Dr/JILUKA)、そしてCazquiというフル・ラインナップで披露。Cazquiの心意気に応えて、ウィークデーにも拘わらず新宿BLAZEは満員となり、Cazqui's Brutal Orchestraに対する期待が大きく高まっていることを感じさせる中でのライブとなった。

オープニングSEが静謐なピアノの調べからヘヴィなサウンドに変化すると同時にステージに降ろされていたカーテンが開き、紫色に染まったステージにCazqui's Brutal Orchestraの面々が姿を現した。客席から熱い歓声と拍手が湧き起こり、ライブは「THE BUTTON EYES」からスタート。フロント陣5人がステージ前面に並び立ち、激しいステージングを展開しながら轟音を鳴り響かせる情景に目を奪われる。ハイエナジーなステージにオーディエンスのボルテージも一気に高まり、ライブが始まると同時に新宿BLAZEの場内は非日常の空間に変化した。

Cazqui(7 strings)

その後は「DEBRIS」と「THE HEAVEN’S OPEN」をプレイ。彼らの楽曲はスピーディかつ大胆に場面が変わることが特色のひとつで、最先端のロックにふさわしい圧倒的なスピード感を放つ。こういった音楽性は難解で取っつきにくいものになってしまう危険性をはらんでいるが、Cazqui's Brutal Orchestraの楽曲は各パートが印象的なため非常にわかりやすい。演奏力の高さも相まって、凝った構成の楽曲を違和感なく聴かせ、オーディエンスの気持ちを引き上げる辺りはさすがの一言に尽きる。

3曲聴かせたところでBGMと共に「ここは、かつて たいへん賑わいを見せていたテーマパークの跡地。なんとも懐かしい…。大切な思い出は月日を重ねるほどに輝きが増して行きますが、追い求めれば追い求めるほどに、遠のいていく…。それでもその輝きに手を伸ばしてしまうのも、また人間の性なのでしょうな」というナレーションが入った。MCではなくナレーションでシーンを作っていくという手法はファンタジックな雰囲気があり、Cazqui's Brutal Orchestraの世界観にフィットする。こういった独創的な手法を採り入れることにも、“やるな!”と思わされた。

架神(Vo/DEXCORE)

弓代星空(Vl/AURORIZE)

Velladon(Manipulator)

「この遊園地跡であなたが見るのは美しき夢か、まやかしか。それでは誘いましょう」というナレーションと共に披露されたヘヴィなシャッフル・チューンの「退廃のエルドラド」に続けて、ダークな歌中とヘヴィかつ美麗なサビ・パートをフィーチャーした「RE:NOSTALGIA」、どこか夢幻的な歌中から惹き込み力を持ったサビへと移行する「光葬」などが届けられた。この辺りの楽曲では特に顕著だが、Cazqui's Brutal Orchestraはバイオリンやピアノ、サックス(Velladonがプレイ)などがヘヴィネスに透明感や憂いなどをプラスすることも魅力になっている。打ち込みではない生のバイオリンやピアノが鳴ることで楽曲の世界観はさらに深まり、激しさを軸にしたライブでいながら強く惹き込まれずにいられなかった。

弓代のバイオリン・ソロや短いインスト・ナンバーなどで、さらに表情の豊かさを見せた後、ライブは後半へ。ここではキャッチー&エモーショナルなサビ・パートを配した「幻紫蝶-ヴァイオリア-」とダンサブル&アッパーな「THE FANATIC DANCERS」が畳みかけるように演奏された。

Daichi(Gt)

Boogie(Ba/JILUKA)

Zyean(Dr/JILUKA)

ステージ中央に力強く立ち、それぞれの楽曲や曲中の場面に合わせて様々な色彩のオーラを放ちながら歌う架神。アグレッシブなステージングとタッピングやスウィープ・ピッキングなども織り交ぜたテクニカル&ホットなギタープレイで魅了するCazqui。クールな立ち居振る舞いとシュアなギターワークのマッチングが印象的なDaichi。“バイオリニスト”という言葉から受けるイメージからはかけ離れたフィジカルなステージングとフレキシブルなアプローチが強いインパクトを放つ弓代。華やかなヴィジュアルと多彩な音色で楽曲とステージを彩るVelladon。膝よりも下にベースを構えて内面の感情を露わにしながら、ウネリや重厚さに溢れたグルーブを紡いでいくBoogie。引き締まった表情でタイト&テクニカルなドラミングを決める姿が最高にカッコいいZyean。存在感の強い7人がひとつになることで生まれるケミストリーは強靭かつ魅力的で、Cazquiのメンバー選びのセンスのよさも抜群といえる。

Cazqui(7 strings) & 弓代星空(Vl/AURORIZE)

そんなCazqui's Brutal Orchestraに応えてオーディエンスもヘッドバンギングや拳振り、折り畳みといった熱さと一体感を伴ったリアクションを展開。ステージ/客席ともにボルテージはどんどん高まっていき、新宿BLAZEの場内はロングツアーのファイナルを思わせる熱狂的な盛り上がりを見せた。

リリースされている音源はシングル1枚のみで、ライブも3本目という状況で、独自の魅力やポテンシャルの高さなどを遺憾なく見せつけたCazqui's Brutal Orchestra。ショーケースに近いややコンパクトなサイズの公演だったにも拘わらず非常に密度が濃く、満足度の高いライブを披露したのはさすがといえる。異彩を放つ魅力的な存在としてスケールアップしていくことを強く予感させただけに、本格的に始動する今後のCazqui's Brutal Orchestraが本当に楽しみだ。

SET LIST

01.THE BUTTON EYES
02.DEBRIS
03.THE HEAVEN'S OPEN
04.退廃のエルドラド
05.RE:NOSTALGIA
06.光葬
07.CLEARLANCE
08.幻紫蝶-ヴァイオリア-
09.THE FANATIC DANCERS

ENCORE
01.AQUALIUM
02.造花のレヴィアータ
03.OSWALD
04.THE BUTTON EYES

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