10/27新木場スタジオコースト、リアルであり続けるROTTENGRAFFTYの今

ライブレポート | 2016.11.16 18:00

ROTTENGRAFFTY

ROTTENGRAFFTY “So…Start TOUR 2016”
2016年10月27日(木) 新木場スタジオコースト
TEXT:兵庫慎司
PHOTO:HayachiN

10月5日に出たニュー・シングル『So…Start』を、自分でも買いにタワーレコードに行ったら、レジの人に「ロットン好きなんですか?」ときかれた。「あ、はい」と言ったら、「ライブとか行かれるんですか?」とさらにきかれ、「……全会場行ってます」と答えた──以上、16曲目と17曲目の間の時の、NOBUYA(Vo)のMCより。この話を名古屋と大阪のライブでもしたところ、本人の耳に(もしくは目にか)届いたそうで、NOBUYA曰く「チケット代出すんでライブに来てください、ってメッセージ送っててんけど、来てくれませんでした。来てくれるまでがんばろうと思います」。大笑いしていたフロアは、そのように途中で「おもしろい話」から「なんかいい話」に途中で変わったこのエピソードに、大拍手で応じた。
そしてアンコールでは、昨日京都から東京に来る時に集合時間に遅刻して機材車に乗り遅れた、新幹線で来るんだからメンバーよりも早く着くだろうと思ったらそれでも来なかった、なのに今までひとこともメンバーに詫びていないというHIROSHI(Ds)が、ファンの目の前で責められる。東京で合流するはずだった場所は、11月1日まで渋谷のESPミュージアムで行われていた「LOVE IKUZONE展」だったそうで、さらにいっそう責められ、「今年子ども中一やぞ!」と関係ないことまでいじられ、最後に本人からの「俺が『バツイチ子持ちやけど!』って言ったら『がんばれよー!』って返してくれー!」というお願いに応えて、オーディエンスのでっかい「がんばれよー!」の声が響き渡り、フロアは笑いで包まれた。

ROTTENGRAFFTY

1曲目が「So…Start」で始まり、「銀色スターリー」「かぞえ詩」「世界の終わり」「夕映え雨アガレ」等々、歴代の代表曲多数を経て本編ラストを「Rainy」でしめくくり、アンコールで「PORNO ULTRA EXPRESS」と「B.B.B」を追加。短距離走の勢いで42.195kmを走りきるような約2時間だった、ROTTENGRAFFTY・10月27日新木場スタジオコーストのライブレポを書くのに、なんでまずMCで笑えたところ2ヵ所を書くことから始めたのかというと、「やっぱりこういうバンドだからかなあ」と思えた、腑に落ちたからだったのでした。
何が。ROTTENGRAFFTYがどんなに熱いことをやっても、熱いことを言っても、クサくも恥ずかしくもならない理由が、だ。
ファンは誰でも知っていることだが……いや、ファンでなくても観たことがある人なら知っているだろうが、ROTTENGRAFFTYのライブは熱い。スクリーモ/スラッシュ/パンク/昭和歌謡/民謡や童謡に至るまでを独自のブレンドで曲にするミクスチャーっぷりも熱いし、もちろん歌詞も熱いし、すべての瞬間でありったけのエネルギーを出し切ろうとするステージングも熱いし、MCで言うことも熱い。

ROTTENGRAFFTY

ここにいる全員でライブを作っていること、今ここにいるひとりひとりはひとりしかいないし代わりはいないこと、などなどがこの日も何度も、ストレートな言葉で発された。いつもそうだが、それらの熱さがうさんくささや空々しさをはらむことなくまっすぐこっちに届いてくるのは、バンドの目線がフロアと同じ高さから一切ブレないからだ。たとえそれが何かを教えるような啓蒙的な言葉であっても、上から見下ろす角度にはならない。フロアをパンパンに埋めたキッズと、同じものを食って同じものを飲んで、同じようなことを感じながら日々暮らしている京都のあんちゃんたちのまんまだ、このバンドは。何年経っても、いくつになっても、17年の活動の間に浮き沈みや紆余曲折を何度も経験してきた末に現在何度目かの浮上期を迎えていても。

ROTTENGRAFFTY

何度も大きなシンガロングがスタジオコーストを包んだ。ギターのKAZUOMIは何度も演奏を放棄して(ギターを置いちゃうとか、両腕挙げっぱなしとか)フロアをさらにあおりまくった。頭から最後まで沸騰状態だったフロアは、時にNAOKI(Vo)のリクエストに答えて動きを変える。二度行われた「全員しゃがんでからジャンプ」は他のバンドでもよく目にするが、アンコールでの「フロアまんなかで分かれてから一斉に左右の人たちが入れ替わる」は、ROTTENで初めて見ました、私。
なおその時NAOKI、フロア後方の床が高くなっているところにいるみなさんには、その場でグルグル自転することを要求。曰く「それで前世のカルマが軽くなるから思いっきり回った方がいい!」。笑った。よくそんな言葉思いつくな、アドリブで。二階で観ていた(そして来ていることをばらされてお客さんに手を振っていた)フットボールアワー・岩尾望さんも感心されたのではないでしょうか。

ROTTENGRAFFTY

なおこのライブは、『So…Start TOUR 2016』のファイナル。新曲「So…Start」を作り、それを初披露するツアーを8月に行い、10月5日にシングルでリリースし、その10月6日から翌日からもう一度ツアーを回る──このたびROTTENGRAFFTYはそのような、いわば二段構えのツアーを行ったわけだが、そのしめくくりの1日だった。なぜそうしたのかについてはKAZUOMIのこちらのインタビューをどうぞ。

ROTTENGRAFFTYの次のアクションは、地元京都で行っている恒例の主催フェス『ポルノ超特急』。今年は12月24・25日の2デイズで、京都パルスプラザで開催。当然、この日もそのことについて触れていたが、今サイトを見たら2日通し券はすでに売り切れていた。皆様お急ぎを。

SHARE

  • ツイートする
  • LINEでシェア
  • Facebookでシェア
  • Pocketに保存
  • はてなブックマーク

  • チェリオ ライフガード

    <PR ライフガード>