YATSUI FESTIVAL! 2023 6/18(日)DAY2レポ

ライブレポート | 2023.06.26 12:00

撮影:木下マリ

YATSUI FESTIVAL! 2023
2023年6月17日(土)18日(日) Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / LOFT9 Shibuya / WOMBLIVE

2019年以来4年ぶりに、通常の形で開催された『YATSUI FESTIVAL! 2023』(以下『やついフェス』)の2日目=6月18日(日)のオープニングは、DJやついいちろう。無事に、開場から30分、普通にDJをできた。で、「『トロピカル源氏』やり直しのくだり」を、今日も入れ込んでくる。
続いて、本日が20代最後のステージだというこの役目の常連、高城れにが、全開の笑顔で開会宣言。やついが「誕生日、そして結婚おめでとうございます」とプレゼントしたこのフェスのTシャツに途中で着替えたりしながら、4曲を歌いきる。30代最初のライブ、6月25日(日)ぴあアリーナMMを1週間後に控えたステージだった。

高城れに 撮影;nishinaga "saicho" isao

続いては、『やついフェス』初出演のKEYTALK。「桜花爛漫」「Love me」「君とサマー」と、序盤から畳み掛けてくるセトリに狂喜するオーディエンスに、巨匠[寺中友将(Vo/Gt)]、「朝からすげえなあ。目が覚めました、ありがとうございます!」と礼を言い、「今日はお祭りということで、お祭り騒ぎしていきたいと思います!」と「MATSURI BAYASHI」に突入した。

KEYTALK 撮影:木下マリ

その裏の、duo MUSIC EXCHANGEのトップは、I’s。タレントとしてもソロシンガーとしてもブレイク中のあのちゃんだが、このフェスには去年も今年も、このバンドのボーカル&ギターとして、出演している。
「今年も呼んでくれてありがとうございます、やついいちろうさん。お笑い芸人さんたちとアーティストが交わる楽しいイベント、昔から出させていただいていて、今もやっている。こんなにうれしいことはないです」と、喜びを伝えた。彼女はゆるめるモ! 時代から、『やついフェス』に出演し続けている。

I’s 撮影:SUNAO HONDA

O-nestのトップは、やついいちろうとSundayカミデのユニット、ライトガールズ。さっきのDJタイムはなんとか乗り切ったが、やつい、ここにきて、本当に声が出なくなる。ふたりで歌う時はまだ笑顔だが、ソロのパートは苦悶の表情に。「すごいすね、めっちゃ声とんでますね、初めて聴く音です」とカミデ。「昨日ノリさんに『自由にやってください』と言いましたが、自由ほど大変なことはない! これが自由の代償です、自由を得て声をつぶしました!」と答えるやついだった。

ライトガールズ 撮影:MAYUMI

スタート時間がもっとも遅かったトップのアクトは、club asiaの浪漫革命。フロアは入場規制、希望者はロビーで映像を観覧する、という人気っぷり。「浪漫革命を選んでくれてありがとう! いいところと、いっぱいかぶっちゃってて、俺らも観たかったけど……」とオーディエンスを気遣いながらもうれしそうな藤澤信次郎(Vo)だった。

O-EAST、この日2ブロック目の「お笑いコーナー」は、エレキコミック、TKO、いぬ、ザ・ギースがネタをやる。エレキコミックやつい、いよいよノドの調子が限界で、後半「年に一回の大きな舞台で、なんで声が出ない!もう50なのに! 30年もコントをやってきたのに!」と自分にキレた挙句、「すみません、ノドを休ませたいのでここで終わらせていただきます!」と途中終了。続くTKOは、出てきた時点でザワザワしていた空気を、「不祥事が不祥事をいじるな!」というキラーワードでひっくり返し、爆笑をとる。
いぬは鉄板の「奥さんとトレーナーのドキドキ筋トレネタ」。ザ・ギースは、取り調べに来た刑事(尾関高文)が「かあさんの歌」の替え歌を延々歌い続けて容疑者(高佐一慈)の住所や携帯番号まで言う、という捨て身のネタで大ウケだった。

この人もある意味『やついフェス』の顔、眉村ちあきは、15:00からO-EAST。『やついフェス歌合戦』が1年でいちばん緊張するから、と、今年は辞退してこの出番にしぼったという。アコースティック・ギター、テレキャスター、マーシャル、PCを駆使してのひとりライブで、オーディエンスを驚かせ、笑わせ、「大丈夫」や「なんだっけ?」で泣かせ──と、今年も大充実のステージだった。

眉村ちあき 撮影:nishinaga "saicho" isao

それに続く「お笑いコーナー」は、ゆってぃ、エレキコミック+Hi-Hi上田+宮迫博之、立川吉笑のスロット。毎年確実に笑いをかっさらう安定のゆってぃの後、エレキ+上田+宮迫のユニットコントに(内容を教えられていない)TKO木下が参加させられたことで、ほぼ罵り合いのアドリブが飛び交う、大爆笑な修羅場となる。そんな後に出てきて、創作落語『ぷるぷる』で場をきれいに「噺を聴く態勢」に変えた立川吉笑、見事だった。

エレキコミック+Hi-Hi上田+宮迫博之 撮影:木下マリ

2日目の『やついフェススペシャル歌合戦』は、奥森皐月と、やついが声が出ないので急遽マキタスポーツが加わった3人でMC。しまおまほは、前半は「スタバの店員」で後半は「IKEAの店員」、そのたびにいとうせいこうがスタバの袋やIKEAの袋を持たされる。

やついいちろう、マキタスポーツ、奥森皐月 撮影:木下マリ

いとうせいこう。しまおまほ 撮影:nishinaga "saicho" isao

異様に声が出ないことで爆笑をとるのでおなじみのスピードワゴン小沢一敬、今年は「翼の折れたエンジェル」(中村あゆみ)を歌っては止められる、を何度も繰り返す。

小沢一敬 撮影:木下マリ

青木さやかとチャンス大城 撮影:木下マリ

次は青木さやかとチャンス大城のユニット「狂人」(命名:清水ミチコ)で、チャンスのオリジナル曲を青木のリコーダー&ピアノと、チャンスのギター&雅楽(のモノマネ)&歌、というカオスな状態でパフォーマンスする。

「曲は内緒。ライブを観に行ったら、心に響く歌だったので」と、曲に入った宮迫博之が歌ったのは、エレファントカシマシの「悲しみの果て」。後半の最高音部まで声が届く、見事な歌いっぷりだった。

宮迫博之 撮影:木下マリ

そして、体調不良で出演キャンセルになった大事MANブラザーズ立川俊之の代わりに、みんなで「それが大事」を歌う(誰も歌わないところはバックバンドの西崎ゴウシが大活躍)。
いとうせいこう「MVPは、『それが大事』を歌った全員」。やつい「来年はみんなで、立川さんも交えて歌えるといいですね」。Sundayカミデが加わった「フェスタ!」で、このコーナーが締めくくられた。

撮影:木下マリ

18:00からのduoのTENDOUJIは、とにかくもう、「何これ? ワンマン?」とか言いたくなるくらい、オーディエンスの熱狂っぷりに圧倒されるライブ。1曲目から飛ばしまくり、2曲やったところでアサノケンジ(Vo/Gt)、「この時間がね、いちばん客が元気なの知ってんだ、俺。まだ声出るでしょ?歌える人は歌ってください」。その言葉に応えて大シンガロングが起きる。その大シンガロングは、ライブが進めば進むほど、さらにどんどん大きくなっていった。

TENDOUJI 撮影:SUNAO HONDA

トリ前のO-EASTは、開催12回目にして、結成34年にして初出演、フラワーカンパニーズ。「ずっと出たかったんですよ。最初の頃、誘っていただいたんですけど、予定が合わなくて」と、ボーカル鈴木圭介。今日が本邦初公開だという新曲「気持ちいい顔でお願いします」や「元少年の歌」などを経て、「深夜高速」で、O-EASTが感動の嵐に包まれる。8曲目「最後にゃなんとかなるだろう」の間奏では、鈴木圭介、「やついフェス、最高!」と叫んだ。

フラワーカンパニーズ 撮影:nishinaga "saicho" isao

そして20:10、O-EASTのトリは小山田壮平である。当フェス皆勤賞だそうだが、弾き語りではなくバンドセットでO-EASTに出るのは、ちょっとレアなのではないだろうか。
「グロリアス軽トラ」「16」「Sunrise & Sunset」など、andymoriの曲が約半分、「恋はマーブルの海へ」「旅に出るならどこまでも」「スライディングギター」など、ソロの曲が約半分。
ギター&スチールギター濱野夏椰&ドラム久冨奈良のGateballersコンビ、ベース藤原寛、という編成の小山田壮平バンドの演奏も、見事のひとことで、大きな興奮がO-EASTを包んだ。

小山田壮平 撮影:nishinaga "saicho" isao

それを受けてのDJやついいちろう、andymoriの「革命」と「FOLLOW ME」でスタートし、大合唱を巻き起こす。で、いったん落ち着くかと思ったら、次の銀杏BOYZ「BABY BABY」で、さらなる大合唱に。
後半は危険日チャレンジガールズ!の「FUNKY FUN!!!」で、今立進と西寺郷太が登場する。ただし、(本人のSNSによると)家で父の日を満喫していたらしい片桐仁は、出ず。キケチャレが昨年で正式に解散したからだと思われる。
で、ラスト、お約束のエレキシ「トロピカル源氏」のくだりをやってからDJが終わり、みんなでテーマソングを歌う流れになるが、昨日とは打って変わって、大量の出演者が残っていて、ステージ上が満員になる。
やつい、「昨日全然いなかったのに、今日はめっちゃいる!昨日の少なさはなんだったんだろう?」。
というわけで、曽我部恵一→西寺郷太→中村一義→小山田壮平→鈴木圭介→青木さやかがテーマソングを歌い継ぐ、という、このフェス以外では決して観ることができないリレーを、味わうことができた。
それから。最後にやついが「壮平、誕生日!」と叫んだ。前日の6月17日は小山田壮平の39歳の誕生日だったのだ。オーディエンスが「ハッピーバースデー」を歌い、最後はそれを曽我部がひきとって熱唱、2日間が終了した。

フィナーレ 撮影:木下マリ

公演情報

DISK GARAGE公演

YATSUI FESTIVAL! 2023

2023年6月17日(土)18日(日)
Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / LOFT9 Shibuya / WOMBLIVE

開場 / 開演(両日):11:30

【6月17日(土) 出演者一覧(106組)】五十音順
DJやついいちろう / アイデンティティ / 新しい学校のリーダーズ / アップアップガールズ(2) / ぁみ(怪談家) / eastern youth / いとうせいこう / imai / 伊山亮吉 / ウエストランド / エアコンぶんぶんお姉さん / a子 / STU48 / 江沼郁弥 with ??? / エレ片 / エレ片劇団 / えんぷてい / 大塚望由(虹のコンキスタドール) / 大槻ケンヂ / おくまん / 奥村門土(モンドくん)  / カジヒデキ / 片想い / Charisma.com/ kiss the gambler / 吉川友にでか美ちゃん / 鬼頭哲(渋さ知らズ) / 木梨憲武 / きみがすきだよ / キャン×キャン / キュウ / 空気階段 / グソクムズ / ゲッターズ飯田 / ケラリーノ・サンドロヴィッチ / GOING UNDER GROUND / COALTAR OF THE DEEPERS / 紺野ぶるま / スパイシーガーリック / THE SUPER FRUIT / ザ・チャレンジ×ONIGAWARA / サツマカワRPG / サニーデイ・サービス / ザ・マミィ / 三四郎 / 三拍子 / 柴田聡子(BAND SET) / 渋さ知らズオーケストラ / しまおまほ / 笑福亭羽光 / ジョナゴールド / しりあがり寿 / シロたろし / 水中、それは苦しい / スカート / SUSHIBOYS / 須田亜香里 / スチャダラパー / SEVENTEEN AGAiN / ゾフィー / タイトル未定 / ダウ90000 / 超新塾 / downt / 竹森ゴウ(カンニング竹山・西崎ゴウシ・森恵) / 田中貴(サニーデイ・サービス) / 玉置標本 / ちびシャトル / DJ響 / T字路s / 東京女子流/ 堂島孝平 / toddle / 飛石連休 / トリプルファイヤー / どんぐりたけし / 永野 / 流れ星☆ / 七尾旅人 / 虹の黄昏 / 人間横丁 / 猫戦 / No Buses / 馬喰町バンド / X-GUN / ばってん少女隊 / ヒグチアイ / fishbowl / ホシカワ / マグ万平 / 街裏ぴんく/ 松嶋初音 / 三阪咲 / みらん / Mega Shinnosuke / モグライダー / や団 / やついフェス歌合戦2023 SPバンド / ゆうらん船 / 諭吉佳作/men / ゆけむりDJs / yonige / ヨネダ2000 / “LAUSBUB / ” / らりるれローテーションズ / Ryu Matsuyama / りんご娘 / Laura day romance / 渡部真一(渋さ知らズ)

 

【6月18日(日) 出演者一覧(140組)】五十音順

DJやついいちろう / I’s / 青木さやか / Appare! / ANORAK! / Apsu Shusei / アマイワナ / 天野なつ / アムール / ayutthaya / THE ENCORE / iiyu / いつもここから / いとうせいこう / 伊藤桃(ゆるほぼゲスト) / いぬ / in the blue shirt / インタレスティングたけし / Wienners / ukka / ウフフワッハッハ / SKE48 / エルシャラカーニ / エレキコミック / おかしなふたり(奇妙礼太郎×Sundayカミデ) / 奥村門土(モンドくん)  / 奥森皐月 / 小沢一敬 / おとぼけビ〜バ〜 / おとんがポックリ残されたうちら / 小山田壮平(band set) / かすみ草とステラ / カナメストーン / かにゃ / かもめんたる / 河邑ミク / KEYTALK / きのホ。 / クマリデパート / クリトリック・リス / ゲッターズ飯田 / 越田You / Cö shu Nie / コデラ戯言 / the dadadadys / ザ・おめでたズ / ザ・ギース / 佐々木孫悟空 / 佐々木優太 / サスペンダーズ / 三遊亭わん丈 / 時速36km / 島内というもの / しまおまほ / シャニムニ=パレード / ジャパネーズ / JYA☆PON / #ジューロック / シロたろし / シンクロニシティ / SuiseiNoboAz / STAiNY / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / セクシー川田 / 曽我部恵一 / TAIGA / 大事MANブラザーズ立川俊之 / 大豆デンキュー / 高城れに / 立川吉笑 / 田中俊行 / たなしゅう / たのしぃ生活。 / w.o.d.  / ちびシャトル / チャンス大城/ chuLa / てぃあどろっぷ! / TKO / DJ戦隊デッカチャンヤッコチャン / DÉ DÉ MOUSE / 手羽先センセーション / dela / 寺嶋由芙(ゆるほぼゲスト) / TENDOUJI / 東京初期衝動 / 都市ボーイズ / ドミコ / 中村一義(Acoustic set with 三井律郎) / NIKO NIKO TAN TAN / Negicco / ネクストで草 / ネコプラpixx. / 脳みそ夫 / パーツイシバ / Hi-Hi / 馬鹿よ貴方は / 爆烈Q / バニーぴょん吉郎 / #ババババンビ / ハマカーン / 春とヒコーキ / #PANnana -パンダの指は実は7本ある。- / パンプキンポテトフライ / PIGGS / futures / フラワーカンパニーズ / Haze / Helsinki Lambda Club / ボギー&奥村門土(モンドくん)  / ホシカワ / POLYPLUS / ポルコ / ぽんぽこ / マッカーサーアコンチ / 松嶋初音 / MASH(BAND SET) / ママタルト / 眉村ちあき / 宮迫博之 / ムフロンズ / 村山武蔵 / MONO NO AWARE / 森本サイダー / やついフェス歌合戦2023 SPバンド / ゆけむりDJs / ゆってぃ / ゆるミュージックほぼオールスターズ / よしえつねお / ライトガールズ / ラバーガール / RYUTist / #諒平 / lyrical school / ロビンフット / 浪漫革命 / ワールドヲーター / 惑星ボルヘス / ワッツ◎さーくる / ワンダフルボーイズ / マキタスポーツ / 西寺郷太

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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