wacci、10周年の集大成にナオト・インティライミを迎え一夜限りのスペシャルライブをレポ

ライブレポート | 2023.08.16 19:00

wacci 夏の東西Special Live 2023
2023年8月6日(日) 昭和女子大学人見記念講堂
Special Guest:ナオト・インティライミ

 wacciが8月6日(日)にスペシャルライブ「wacci 夏の東西Special Live 2023」の東京公演を昭和女子大学人見記念講堂で開催した。10周年イヤーの集大成ライブと位置付けられた今回のステージ。東京公演にはスペシャルゲストとしてナオト・インティライミが出演し、一夜限りのスペシャルなライブが繰り広げられた。

 この日の最高気温は35℃。夕立もあり、今年の夏らしい天気が広がるなか、昭和女子大学人見記念講堂には幅広い年齢層の観客が集まっていた。会場のなかはどこか開放的な雰囲気。“wacciと一緒に夏を楽しみたい”という気持ちで包まれていた。
 エレクトロ系のSE、オーディエンスの手拍子とともにメンバーの橋口洋平(Vo.Gt)、村中慧慈(Gt)、小野裕基(Ba)、因幡始(Key.Pf)、横山祐介(Dr)が登場。〈夜を越えて 走れ 明日へ〉というフレーズからはじまるアッパーチューン「夜を越えて」でライブは幕を開けた。「wacciです!楽しんでいこう!」と橋口が呼びかけると、大きな歓声が巻き起こる。さらに、“どんな壁にぶち当たっても、可能性を信じて立ち上がれ”と聴く者を鼓舞する「ヒーロー」、夢を掲げてがんばる全ての人へのエールソング「東京ドリーム」とポジティブな意志を刻んだ楽曲を連発。瞬く間に会場のテンションを引き上げてみせた。もちろん、すべての人が笑顔だ。

橋口洋平

村中慧慈

小野裕基

 メンバーの名前を呼ぶ声を受け、「いいじゃない!拍手も声もいいじゃない!ライブが戻ってきたね!」(橋口) という喜びの言葉から最初のMC。「“夏の東西Special Live”ということで、wacciのお祭り的な特別なライブをできたらと思って。のちほどスペシャルゲストもお呼びして、みんなで力を合わせて最高の1日を過ごしていきたいと思います!今年の夏のハイライト的なものに必ず加えさせてみせますので、よろしくお願いします」(橋口)

橋口洋平

 ここからはwacciが持つ奥深く、色彩豊かな楽曲が次々と披露された。まずは「月のむこう側」。AOR的な洗練されたバンドサウンドとともに“君”との切なくて心地よい夜を描き出す。続く「夏休み」は、因幡のピアノと橋口の歌からはじまるバラードナンバー。大切な人と過ごした夏の思い出と抒情的なメロディが響き合い、胸をキュッと締め付けられるような感覚に包まれる。そして、代表曲の一つ「別の人の彼女になったよ」。何度も耳にした名曲だが、すべての音、すべての言葉に生々しい感情を注ぎ込むことで、まるで初めて聴いたかのような新鮮な感動が押し寄せる。バンド全体の表現力、集中力も素晴らしい。
“こんなもんじゃない。まだまだこの街でがんばって生きていく”という決意が真っ直ぐに伝わってくれる「風」の後は、「恋だろ」。「ラブソングとして書いた曲なんですけど、最近すごく思うのは、自分の好きなものに自信を持つ勇気を届けられる歌なのかなと」(橋口)という言葉通り、この曲はラブソングという範疇を越え、普遍的なメッセージソングとして浸透しつつあるようだ。真剣な表情で、楽曲を受け止めているオーディエンスの姿も強く心に残った。

橋口洋平

因幡始

横山祐介

 ここでスペシャルゲストのナオト・インティライミが登場!橋口が「九州のHIGHER GROUND(フェス)にデビュー前に出させてもらったときに、ナオトさんのライブに衝撃を受けました。楽しいライブって最高だなって思わせてもらいました」とナオトとの“出会い”のエピソードを披露。そして「たまたまラジオで耳にして、すごくいい曲だなと思って。人の曲で、あんなに“売れてほしい”と思ったことはないですね」(ナオト)という「空に笑えば」をセッションした。
さらに「次はナオトさんの曲です!名曲がありすぎてなかなか選べなかったんですけど、これはwacciにも合うんじゃないかなと思って」(橋口)という「今のキミを忘れない」(ナオト・インティライミ)へ。ゲストコーナーの最後は、ナオトと橋口が共作した「ひそかに絶好調(with wacci)」。ナオトのニューアルバム「アドナイン」に収録されているこの曲は、うれしいことがあっても表立って喜べなかったり、嫌なことがあっても表に出せない“日本人あるある”をテーマにしたミディアムチューン。両者のケミストリーが込められた「ひそかに絶好調」はまちがいなく、この日のライブの大きなハイライトだった。

〈転んで泣いても大丈夫 素直になっても大丈夫〉とエールを送る「大丈夫」からライブは後半へ。キャッチ—なギターリフに導かれたアッパーチューン「フレンズ」では観客がタオルをブン回して一体感を演出。「トータス」ではこの日いちばん大きい手拍子が鳴り響き、「最上級」では二声のハモリをオーディエンスが担い、wacciと一緒に演奏に参加。音楽を介したコミュニケーションによって、ステージと客席の距離がさらに縮まっていった。本編ラストは「ワンセット」。苦しさや悲しさも、それを経験することで気づける喜びもある──真摯なメッセージが広がり、豊かな感動へとつながった。

 鳴りやまない手拍子とコールに導かれてステージに現れた5人は、夏の東京を舞台にした切なくも力強いラブソング「東京」を演奏。
「ホールで、みんなの声が響く形でライブをやれたのはすごく幸せでした。僕ら、まだまだ夢の途中だと思ってます。こうやって会いに来てくれるあなたがいるから、がんばれます。これからもがんばっていきたいと思います!」(橋口)という言葉の後は、再びナオト・インティライミを呼び込み「宝物」をセッション。心地よい解放感のなか、ライブは大団円を迎えた。
 今年12月から来年2月にかけて全6公演の全国ホールツアー『wacci Hall Tour 2023~2024』を開催(ファイナルは2024年2月3日、東京・LINE CUBE SHIBUYA)。デビュー11年目に向かいはじめたwacci。彼らの音楽はここから、もっと多くの人の心を捉えるはず。そのことを強く実感させられたライブだった。

SET LIST

01. 夜を越えて
02. ヒーロー
03. 東京ドリーム
04. 月のむこう側
05. 夏休み
06. 別の人の彼女になったよ
07. 風
08. 恋だろ
09. 空に笑えば(ゲスト : ナオト・インティライミ)
10. 今のキミを忘れない(ゲスト : ナオト・インティライミ)
11. ひそかに絶好調(with wacci) (ゲスト : ナオト・インティライミ)
12. 大丈夫
13. フレンズ
14. トータス
15. 最上級
16. ワンセット

ENCORE
01. 東京
02. 宝物(ゲスト : ナオト・インティライミ)

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