チケット完売で迎えた「赤ピコ東名阪ツアー2023」初日の東京公演をレポート

ライブレポート | 2023.09.04 12:00

赤ピコ東名阪ツアー2023~生きててよかった!!~
2023年8月20日(日) 渋谷PLEASURE PLEASURE

堀江晶太作曲による最新曲「人間賛歌」を8月16日に配信リリースしたばかりのピコが、8月20日、東京・渋谷PLEASURE PLESUREにおいて昼、夜と2部編成のライブを開催。昼公演では赤ピコによる「赤ピコ東名阪ツアー2023~生きててよかった!!」を、夜は歌い手としてピコ、+α/あるふぁきゅん。、神谷玲、赤飯(オメでたい頭でなにより)、怪談師としてありがとうぁみ、國澤一誠、ごまだんご、ゲストの語り手として安井摩耶を迎えて怪唱×怪談ホラーライブ「おどろ」を行なったこの日の公演。そのなかから、ここでは赤ピコのツアー初日となった東京公演の模様をレポートする。

前回、東京キネマ倶楽部で開催したライブから5カ月ぶりとなる赤飯(オメでたい頭でなにより)とピコによる赤ピコワンマン。今回は赤ピコによる東名阪ツアーの初日公演。追加で機材席などを解放しても席が足らず、満員御礼のSOLD OUTで迎えた当日。バンドメンバー登場後、ピコと赤飯が出てきて、この日のオープナーは「デビルじゃないもん」。赤ピコのライブは準備運動なし。それでも、のっけからオーディエンス一丸となっての“ワァー!”の掛け声が上がり、それを受けた赤ピコが“悲報悲報悲報”を繰り出すなど、ステージと客席の息のあった掛け合いで、冒頭からライブを盛り上げていく。そして、2曲目はYouTubeの[歌ってみた]で本領発揮の「アイドル」がキター! 原キーでここまで究極のアイドルをキャピキャピボイスで歌唱できるのは、両声類の声を操る元祖のこの2人だからこそ。甘く艶っぽい女の子のピコ、対して、ピュアでキュートなアイドルの赤飯。その歌声が交差しながら重なるユニゾンパートでは、女性が歌うよりも女の子っぽく可憐な歌唱で、オーディエンスを最新の赤ピコワールドへと誘う。こうして、ライブ序盤から見せ場を作った2人。「今日は時間の許す限り赤ピコ、ソロを演っていくから」とピコが昼公演について説明すると、観客は拍手で返答。それを見た赤飯は即座に「もっと食い気味に“わーきゃー”リアクションしてくれよ」といって、拍手よりも先に声を出せとオーディエンスにアピール。そうして、このあとはピコの提案からソロの先行後攻を「あっち向いてホイ」の勝負で決定。勝負に勝ったピコが後攻を選んだため、最初は赤飯のソロステージへ。

赤飯(オメでたい頭でなにより)

激しいイントロからoiコールに包まれる場内。まずは「ロストワンの号哭」で得意のデスボイスやシャウトを轟かせていった赤飯。そこから「天ノ弱」は男性のイケボで観客の切ない気持ちをどんどん高めていき、「他のを練習してたら、無理くり他の曲を削ってまで入ってきた曲があって。そういうの歌ったほうが気持ちが入るやん?」と赤飯がいって、予定していた「おにゃのこ きねんび」から変更して彼が歌ったのは、まさかの「吉原ラメント」。観客の声にならない悲鳴はすぐに途切れ、場内はいっきにメランコリックなムードに包まれていく。赤飯はすぐに女性の声に切り替え、声帯を細かく震わせてビブラートを使いながら、悲しさと情念にまみれた女ゴコロを描いた歌詞を細やかに表現し、切々とこの曲を歌い上げていった。

ステージから赤飯が消えたあと、「いくぞーっ!」とカッコよく叫んで、飛び出してきたのは後攻を選んだピコ。ボカロの名曲「テオ」で場内に魔法をかけると、オーディエンスは“手を、手を!”とコーラスを大合唱。この日はカッコいいピコ始まり。続けて、ピアノとともにピコの歌始まりで、聴こえてきたのは「フォニィ」。何種類もの声色を持つピコの歌声のショーの始まりを告げるように、ここでは様々な声をフルコンボ。なかでも、サビで一気に1オクターブ超えたところからさらに高い音域へと勢いよくかけあがるメロディーを、よく通るハイトーンで正確にとらえていくボーカルの華麗さは、圧巻の一言。歌い終えたピコは、子供のようにはしゃぎながら「楽し~っ!」と喜びをあらわにする。「2回目の赤ピコワンマン。本当に復活してよかったなと思います」と伝えたあとは、リリースしたばかりの新曲「人間賛歌」について「聴いてない人」といって念のため観客に確認を入れると、手を挙げる人が…意外といる!? そんな、予想外の結果にピコは驚きながらも「逆にここで手をあげるとか、勇気あるな」とニンマリ。そうして、前作「赫ノ柩」は「自分のことを歌った」曲だと前置きした上で「でも、今回の新曲は自分が見た世の中のことを歌った」ものだと説明。「いまの世の中って、常軌を逸してませんか?」と新宿のトー横のことを例にあげながら話し、そこでは人ならざるものが増殖していて「でも、そんな世の中で生きていかなきゃいけないねという歌です」と述べ、「人間賛歌」をパフォーマンス。不安を掻き立てるようなおどろおどろしい血色の照明を全身に浴びながら、ピコは女性の妖艶な声と男性の強い声、コブシを入れた歌い回しまで使ってアッパーな和風ロックを堂々アクト。オーディエンスの“人間賛歌”の合いの手も完璧に決まって、場内が温まってきたところに赤飯が登場! 場内の熱気をさらに高めていくように、赤ピコの「いーあるふぁんくらぶ」をドロップ。ピコと赤飯の叫ぶようなパワフルな歌声に合わせて、オーディエンスは一斉に体を折り畳む。そうして、サビで2人の声がバシッと重なるユニゾンで最強の気持ちよさ、爽快感を呼び込んでいくと、観客一丸となった“うぉーあいにー”を熱狂的に合唱してみせ、場内のボルテージはマックスまで到達。

ピコ

このあと、演奏が続いている中、ピコは姿を消し、ライブは再び赤飯のソロステージへとバトンタッチ。曲はその勢いをキープしたまま「デルヘリ呼んだら君がきた」へとなだれ込む。赤飯はお立ち台に飛び乗ったあと、片足だけその台の上に残して、BOØWY時代のヒムロック(氷室京介)にカッコつけてなりきってパフォーマンス。ヒムロックになりながらも「なんでお前がここにおんねん!」とコテコテの関西弁でセリフを繰り出す赤飯。このギャップがたまらない。だが、観客はそこで爆笑する間もなく“No,39!”と叫びながら、バッテンの振り付けとジャンプで大忙し。

こうして、一体感ある熱狂をステージに届けていったところに、次は「見習いハーデス」を投下。さっきまでのヒムロックはいっきに消え失せ、イントロから超絶高音シャウトが会場の空気を激しく揺さぶる。そうしてクラップとともに“らんららら~”でメルヘンな空気をたっぷりフロアに浴びせかけたあと、崖から谷底へ突き落とすようなスクリーモを発動するシーンは、スリリングで迫力満点。歌い終えた赤飯は「初めて今日赤飯を見た人は、怖いよね」と前置きしたあと「でも、命をとる訳じゃないからね」と優しい口調で客席に話しかけると、1人の男性ファンが「とられてもいいよ!」と大声で叫び、場内が笑いに包まれる。「いつから知ってるとかどうでもよくて。15年やってるといろいろあるよ。そのときどきでくっついたり離れたり。初めましての人、お帰りなさいの人…音楽やり続けていればこうして会えるから」と真面目な表情で自身の気持ちを伝えたあと、「大事な曲です。聴いてください」といって「plot」を情感たっぷりに熱唱。客席は頭上に伸ばした手を左右に振りながら赤飯が放つメッセージを受け止めていった。

静かにステージを後にした赤飯に続いて、再びピコのターンへ。ステージ中央に立ったピコは、「plot」の流れを引き継ぐように「赫ノ柩」をパフォーマンス。静まりかえった場内に向けて、少しでもこの歌が誰かのエールになりますようにと願いを込めるように、言葉1つ1つを丁寧に歌唱していくピコの姿に胸がしめつけられ、客席には大きな感動が広がっていく。その感動すべてをひっくり返すように、歌い終えたピコは「赤飯はさっき、くっついたり離れたりしてみんなと歩んでいけたらいいっていってたけど。僕は承認欲求高めだから、僕から離れちゃダメっ!」と駄々をこねてみせると、ファンは歓喜。この発言で、場内の空気をいっきに変えて、「僕のテーマソング」といって、振り付けとコールを練習したあと、ピコのキラーソング「MAKE OUR DAYS!!」で明るい笑顔で、かわいく、コミカルに楽しくみんなで弾けまくる。そこに「拝啓ドッペルゲンガー」を畳み掛けると、さっきの曲とはピコの雰囲気が一転。激しい熱唱と挑発的な煽りに対して、オーディエンスもデンジャラスなヘドバンで応え、狂騒の空間を作り上げる。そうして、最後は赤飯を呼び込み、ピコが「奥さん、これが欲しいんでしょ?」とフロアを挑発して、赤飯の手をとってラブ繋ぎ。この日1番の歓声が広がり、みんなの期待感が高まるなか、期待通りの「magnet」を2人でアクト。1番は男性ボイス、2番からは2人とも女性ボイスという赤ピコの真骨頂ともいえる彼らにしかできない歌唱で、観客をどこまでも翻弄していって本編はフィニッシュ。

アンコールは前回の赤ピコワンマンで生まれた「実感!」コール(笑)を観客が繰り出し、2人は再びステージへ。始まったのは赤ピコの「サンドリヨン」。ピコの人間離れした(?)ハイトーンが響き渡ったところで幕を開けたこの曲は、赤飯が男性パート、ピコが女性パートを優雅に歌い、その声のパートのまま2人が絶妙に絡み合いながら完璧なハモりを聴かせるステージパフォーマンスで、聴くものすべてを圧倒。このあと「実感!」のコールで、みんなで記念写真を撮ったあとは、「生きててよかった!」をアクト。観客はピコの指示通り“よかった”の合いの手をこの日はかみしめるように歌い、みんなでこの歌をリアルに実感しながら昼の部は終了した。

終演後、ピコ本人による影アナで今後のスケジュールとして12月17日、ピコの16周年ワンマンライブ<PIKO 16th Anniversary Live~人間賛歌~>を東京・原宿RUIDOにて開催すること。さらに、2024年3月10日には第2回目となる自身の生誕祭フェス<PIKO fest 2024 ~最強すぎる歌い手デッキ組んでみたwwwwwwwww~>を今回はなんと、東京・豊洲PITにて豪華ゲスト陣を迎え、盛大に開催することを大発表した。

SET LIST

01.デビルじゃないもん(赤ピコ)
02.アイドル(赤ピコ)
03.ロストワンの号哭(赤飯)
04.天ノ弱(赤飯)
05.吉原ラメント(赤飯)
06.テオ(ピコ)
07.フォニイ(ピコ)
08.人間讃歌(ピコ)
09.いーあるふぁんくらぶ(赤ピコ)
10.デリヘル呼んだら君がきた(赤飯)
11.見習いハーデス(赤飯)
12.plot(赤飯)
13.赫ノ柩(ピコ)
14. MAKE OUR DAYS!! (ピコ)
15.拝啓ドッペルゲンガー(ピコ)
16.magnet(赤ピコ)

ENCORE
En1.サンドリヨン(赤ピコ)
En2.生きててよかった!(赤ピコ)

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