Japanese Visual Metal Tour開幕!絢爛豪華な奇跡の夜を最速レポート

ライブレポート | 2023.09.25 18:00

Japanese Visual Metal Tour
2023年9月22日(金)KT Zepp Yokohama
出演:JVM Roses Blood Symphony / Moi dix Mois / Versailles / D / 摩天楼オペラ

海外のメタルシーンの影響を色濃く受けながら、日本の耽美なヴィジュアル系シーンを牽引してきたMoi dix Mois、Versailles、D、摩天楼オペラという絢爛豪華な顔ぶれの4アーティストが一堂に集い、“Japanese Visual Metal”として全国4カ所のZeppを巡って、夢のような非日常の世界へとオーディエンスを誘っていく奇跡のような共同イベント『Japanese Visual Metal Tour』が9月22日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにてついに開幕。そのツアー初日の模様を最速で(セトリバレほぼなしで)レポートする。

ストーリーを盛り込んだドラマチックで様式美を感じさせる楽曲、煌びやかな衣装、気品漂う華麗でゴージャスなステージング。一歩足を踏み入れれば、そこはもう日常では味わえない美しき耽美な非日常の世界。そんな独自の音楽を濃厚かつ優雅なサウンドで奏でる4アーティストがイベントの最後、ステージに集結してパフォーマンスするシーンはここでしか見られない奇跡のような瞬間。その豪華さたるや、まるで宝塚歌劇のレビューを見ているかのよう。
本当に、凄いものを見てしまったーー。

そんな素晴らしいライブの様子をお伝えする前に、まずこのライブイベントについて少し説明したいと思う。そもそも“Japanese Visual Metal”というのは、2023年1月1日、Moi dix Mois、Versailles、D、摩天楼オペラの4アーティストが共同声明を通して発表した日本発祥のシーンの名称だ。この声明発表後、彼らは各々のライブ、SNS等を通して連動企画を次々と発動し、Japanese Visual Metalという名称を広める活動をしてきた。そうして、この『Japanese Visual Metal Tour』Zepp Tour開幕前の9月20日には、4アーティストから誕生したプロジェクトバンド“JVM Roses Blood Symphony”としてメモリアルシングル「協奏曲~耽美なる血統~」なるものも発売。こちらはKAMIJO(Versailles)が書き下ろしたテーマメロディーに、Mana(Moi dix Mois)による高貴なチェンバロの調べ、ASAGI(D)による荘厳なクワイア、苑(摩天楼オペラ)による透明感あふれるバラードパートを配した珠玉の1曲で、いわばJapanese Visual Metalを象徴するテーマソングのようなものになっている。こちらの曲を、各バンドのボーカリストが各々フルコーラスで歌うバージョンを収録した会場限定盤を購入することができる今回のツアー『Japanese Visual Metal Tour』。その醍醐味は、なんといってもこの同じような匂い、血の系統にありながらも、これまでじつは1度も勢揃いして集まったことがなかった4組が、初めて一堂に会してライブツアーをやってしまうというところだ。しかも、出演順は固定せず、会場ごとにすべて変えるという。さらに、この奇跡のようなライブツアーに華を添えるように、彼らは今回のライブのなかでプロジェクトバンドのJVM Roses Blood Symphonyをステージで再現。どの会場でも「協奏曲~耽美なる血統~」のパフォーマンスを行なう。

なにはともあれ、とにかくこんな豪華を極めたようなライブを観られるチャンスはもう2度と訪れないかもしれないというぐらい、スペシャルな公演内容となっているのだ。
そうして迎えたツアー初日。ライブ会場では、ゴスロリなドレス、バンドTシャツなどに身を包んだ国内ファンとともに、海外から駆けつけた来場者も大勢見受けられた。

開演時間になると、ステージを覆っていた黒い幕が開き、初日のトップバッターとして登場したのはVersailles。観客たちは一斉に手に持ったローズライトを点灯。「We are Versailles!」のコール&レスポンスのあと、KAMIJOが「さあ始めようか」といって幕開けするのが彼らの流儀。「ようこそ、私たちの城へ」と社交界を思わせる所作で挨拶を告げ、クラシカルなフレーズを多様したシンフォニックメタルと美麗なメロディーを融合させた楽曲を次々と披露。フロアに向かって「この美しきツアーの幕開けをつとめさせて頂いたこと、とても嬉しく思います。ここにいる4アーティストとみんなで革命を起こそう」と華麗にアジテートしたKAMIJOは、耽美派界きってのヨーロッパ中世を思わせる衣装を使って、ドラム以外の4人がマントやドレスの美しい裾さばきをみせる代表曲「The Revenant Choir」など、気品漂うパフォーマンスを堂々展開していった。

Versailles

続いて登場したのはMALICE MIZERのリーダーManaのソロプロジェクト・Moi dix Mois(モワ ディス モワ)。メンバー全員、ブラック一色のコーデでオンステージ。Sethが「ようこそ暗黒の世界へ。淫らな暗黒の底へ堕ちていきましょう」といって、始まったのは暗闇の宴。美しい和音をならす鍵盤にManaが不気味で独特の音を重ねた前衛的なサウンドで、オーディエンスをダークでゴシックホラーで幻想的な音楽世界へと連れていく。拡声器を持ったSethがハードなデスヴォイスを撒き散らしながら、観客とともにさらなる暗闇の果てへと誘う。そのあとは「背中に生えてきた天使の羽で天高く飛び立っていきましょうか」という声を合図に「Ange~D side holy wings~」をドロップ。狂気と優美が入り混じったような激しいサウンドで客席を圧倒していった。最後に1人だけステージに残ったManaは、舞台の中央で観客に向かって静かに頭を下げ、舞台を後にした。

Moi dix Mois

ダンスビートとクワイアを融合させたSEとともに楽器隊のメンバーがポジションにつき、最後にボーカルのASAGIが登場し、始まったのはDのライブ。この日は黒をベースに、レース使いと肌見せにポイントを置いたエレガントな衣装で全員がオンステージ。冒頭からヘドヴァン、腕を振りながらのoiコールで容赦無くフロアを重低音を効かせた様式美溢れるテクニカルなスピードメタルで煽り倒していく。ASAGIは「4つの王国が集まるこの貴重な機会を堪能して欲しい」と今回のツアーについて伝えたあと、Dは来年3月7日、8日に行なう東京・豊洲PIT公演をもって無期限活動休止に入ることを観客に告げた。そして、会場限定SINGLE「薔薇の聖戦」ではASAGI自らフラッグを掲げ、観客が両手に持ったフラッグの動きをリードするように率先してフリを踊り、Zeppの場内にDならではの一体感ある景色を生み出して見せた。

D

そうしてツアー初日、この大舞台のステージの最後にバトンを渡されたのは摩天楼オペラだった。この日はとにかく気合いが入りまくり。オペラのハイスピサウンドを支えるダイナミックな超高速ドラムはど頭から飛ばしまくり。オーディエンスをグイグイ鼓舞するベース。1ギターながらも、華のあるキーボードとツインギターのようにユニゾンで絡むプレイなど、楽器隊それぞれが曲の中で次々と見せ場を作っていく。そのサウンドをバックに、抜け感のあるクリアなハイトーンを操りながら正確無比なピッチで歌を届ける苑のヴォーカルは圧巻の一言。「先輩方とこうしてツアーができることは奇跡のよう。これが4回もある」と伝えた苑は、このあと来年バンドが17周年を迎える5月4日、東京・LINE CUBE SHIBUYAでアニバーサリーライブを行なうことを初公表。歓喜する観客とともに彼らの武器であるオーディエンスの“合唱”を「喝采と激情のグロリア」で場内に巻き起こし、トリらしい熱気溢れるステージでライブをドラマチックに締めくくってみせた。

摩天楼オペラ

このあとは、ついにプロジェクトバンドが姿を見せる。この日のJVM Roses Blood Symphonyは、楽器隊は摩天楼オペラのメンバーにMana(Moi dix Mois)とHIZAKI(Versailles)のギター2人が加わった編成で、「協奏曲~耽美なる血統~」の初アクトをスタート。すると全バンドのボーカルがマイクリレーをしながら次々と登場。そうして4人で声を重ねたあとは、各バンドのギターが登場して3ブロックに渡るギターソロ、彩雨のキーボードソロに続いてベースも4人に増え、4人でフロントに出てきてソロをプレイ。曲のアウトロでは他のバンドのドラマーたちも登場。総勢20人がステージに集い、曲を奏でる姿はとにかく豪華絢爛で大迫力。

最後の挨拶でKAMIJOは「20人のメンバーが重なり合い、素晴らしいものを観せられたと自負しております」といい、「最高の宴をどうもありがとう」とASAGIは感謝の気持ちを言葉にした。苑は「この場所に参加できたことを嬉しく思います。ここからツアーでどんどん綺麗なものになっていくと思います」と伝え、Sethは「ここに集まった全ての天使たちに全員から感謝を伝えます。またお会いしましょう」という言葉でライブを締めくくった。そのあと、最後はステージにManaが1人だけ残り、感謝の気持ちを込めて一礼をして、舞台を後にしたのだった。

この奇跡のような豪華絢爛なツアー、総勢20人が奏でる夢のような共演。もう2度とないかもしれないので、このチャンスにぜひその目で観て欲しい。

  • 東條祥恵

    取材・文

    東條祥恵

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  • 撮影

    Lestat C&M Project

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