THE BEAT GARDEN、ライブハウスツアー20公演を完走!初のZeppワンマン開催も発表

ライブレポート | 2023.10.25 17:00

THE BEAT GARDEN ONE MAN LIVE TOUR「Bells.」
2023年10月20日(金) Spotify O-EAST

今年6月、前作「余光」から約2年ぶりとなる4thアルバム「Bell」をリリースしたTHE BEAT GARDENが、10月20日、東京・Spotify O-EASTで『ONE MAN LIVE TOUR「Bells.」』のファイナル公演を行った。

結成から丸10年を迎えた昨年は、世界的に大ヒットした韓国ドラマ「梨泰院クラス」のテーマソングであり、日本版にリメイクされた「六本木クラス」の挿入歌として日本語カバーした「Start Over」で新たなリスナー層を獲得したTHE BEAT GARDEN。この日もさまざまな世代のファンが駆けつけていて、彼らの音楽に対する注目度や期待度の高さを目の当たりにする光景が広がっていた。

開演時間となり、SEとして流れてきたMy Chemical Romanceの「Welcome To The Black Parade」に合わせて大きな手拍子が湧き起こる。メンバーの登場を心待ちにしているオーディエンスの熱気が立ち込める中、ステージを覆っていた幕が左右に開き、U、MASATO、REIが勢いよくステージに飛び出してきた。
1曲目は「High Again」。センターでフロアを煽りまくるU。REIとMASATOも、オーディエンスから放たれるとんでもないエネルギーと真正面からぶつかるようなパフォーマンスだ。グループ史上最大規模となったワンマンツアー、そのファイナルにふさわしい興奮が渦巻いている。

U「東京、踊れんのかー!」

3曲目「Don't think, feel.」ではUがステージから飛び降り、フロアの最前列に設置された柵から身を乗り出しながら歌い、叫ぶ。衝動的でありながらも、双方の信頼関係が成り立っているからこそのパフォーマンスだ。後半はさらにテンションを上げていき、会場全体がダンスフロアとなって揺れていた。

U「ここから見える頭の数、想像の約3倍です(笑)。来てくれてありがとう!今日はすごく楽しみにしていました。思いっきり解放して楽しんでいってください!」

次のブロックは、いつかの夏の思い出がふわりと蘇ってくるようなサウンドが心地いい「夏の三角関係」から。爽やかだけどなんとも切ないラブソングで、3人のユニゾンもハーモニーも、優しくて柔らかい響きを作り上げていた。イントロが流れた瞬間、会場の空気が一瞬で変わったのはwacciの橋口洋平が書き下ろした「あかり」。先ほどまでのような派手なパフォーマンスは一切なく、3人の歌声そのものをじっくり味わうことができる1曲だ。伝えたい想いを真っ直ぐ声に乗せる3人の表情にもグッと来るものがあった。

U「楽しいねー!見てわかる通り、浮き足立っております(笑)」

次のMCではまず自分たちのテンションをそんな風に伝えながら、20公演無事に回ってこられたことや、このツアーに足を運んでくれたBeemer(ファンの呼称)への感謝を伝えた3人。昨夜の過ごし方をUに聞かれ「眠れなかったけど、いつもよりはリラックスしてた」というMASATOに対し、REIは「爆睡でした(笑)」と笑いを取る場面も。

REI「7月から始まったツアーもようやくファイナル。…"ようやく"(笑)!?今日はせっかく集まってきてくださったんで、最後まで全力で盛り上がっていってください」
MASATO「20公演回ってこれたこと、すごいなと思って。たぶん2〜3個は落とすと思ってた(笑)。いろいろありましたけど、めっちゃ楽しい。みんなそんなもんじゃないと思ってるんで、よろしくね!」

アーティストとファンではなく、仲間として話しかけるフレンドリーな空気もまた彼らの魅力だ。

6曲目は各地で違う曲を選んで披露してきたということで、東京はイントロから大歓声となった「Satisfaction」。真っ赤なライトと鳴り響く低音のビートが、全ての雑念を掻っ攫っていくような勢いだった。曲が終わっても興奮の歓声はなかなか止まなかったが、ここでムードを一転させたのはREI。静かにキーボードと向き合い、自身の奥深いところから紡ぎ出したような荘厳なメロディーを奏でていく。やがて光が射してくるような展開となり、フレーズは「初めて恋をするように」のイントロへ。激しさも優しさもとことん振り切ることができる3人だからこそのギャップを最大限に生かし、見せ場を作っていく構成は流石のひと言だった。

U「20公演無事に回れたことは、怖かった部分もあったから嬉しかったし、このアルバムでツアーができたことをすごく幸せに感じながら歌ってきました。声が出せるライブが久しぶりに帰ってきて、あなたの声に会えた。ライブができなかった期間、普通に生きることも難しい時に、みんな当たり前のように自分の予定や未来に僕らのことを入れてくれて本当にありがとう。全然上手く言えないんだけど、次の曲はこうやって会いに来てくれるあなただけのことを思って書きました。思いを込めて、歌わせてください」

そう語って披露されたのは、最新アルバム「Bell」に収録されている「ラブレター」。言葉以上の気持ちを交わし合うこの愛おしい時間を、全身で受け止めようとしているBeemerファンの静かな熱気が伝わってきた。その後Uがマイクを使わず「歌おう!思いっきり歌おう!」と呼びかけて始まった「本当の声で」では、ステージとフロアがひとつになって歌う。サビではUが再びステージから飛び降り、すでに盛り上がっている後方のオーディエンスをさらに煽る場面もあったが、歌詞にもある「枯れない想い」を渾然一体となって叫ぶその光景は、この先どんなに会場が大きくなっても変わらないんだろうなと思わせてくれるものだった。

U「楽しいかい!?」

Uはそれが当たり前のことであるかのように、マイクを使わずファンに問いかけた。そこから、10年前に東京に出てきて何も分からずこのライブハウスの系列の事務所に行き、その後、深夜のイベントでこの会場のサブステージに立った時のことを語り始めた。また「今日、母ちゃん来てて(笑)」ということで、イヤホンで簡単に音楽が聴ける時代だけど、こうしてみんなが足を運んでくれるからこういう姿を見せることができたと心からの感謝を伝える。

U「俺ら、遠回りばっかで。スッと売れるみたいな10年じゃなかったけど、この道草みたいな時間があったから、どこかであなたと出会えたんだと信じてます。見つけてくれて、出会ってくれてありがとう。まだまだ頑張るんで、よろしくお願いします!」

次に披露された「エピソード」は結成からの日々を共にしてきた仲間との日々を綴った曲だが、かけがえのない思い出が、この先の未来へと繋がるエールのようにも聴こえてきた。10年かかったからこそ出会えた仲間たちと歌う「ぬくもり」、そして「Start Over」。みんなの声と心が重なってこそ完成する2曲を盛大に歌い上げ、勢いを加速させたまま「Never End」で本編を終えた。

アンコールではまず、Uが歌い出した瞬間に悲鳴のような歓声が上がった「花火」から。最後のフレーズを3人が向かい合ってアカペラで歌う場面は、ほんの一瞬ではあるが、他の楽曲ではあまり見られないからこそ強く印象に残った。

最後のMCのコーナーでは、韓国のシンガーGahoがRemixをした「Start Over(Gaho Remix)」が配信リリースされることをアナウンス。改めてUは「20公演楽しかった!ありがとう!」と感謝を伝え、「心音」そして「Sky Drive」を爆音で届けた。このまま2ラウンドに突入するかのような勢いのままエンディングを迎え挨拶に立った3人は、4月13日、Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブ「good error」を開催することを発表。ツアー完遂という安堵感よりも、次なる目標に向かう気迫をみなぎらせたままステージを後にした。

SET LIST

<SET LIST>
01. High Again
02. マリッジソング
03. Don’t think, feel.
04. 夏の三角関係
05, あかり
06. Satisfaction
07. 初めて恋をするように
08. あのね
09. ラブレター
10. 本当の声で
11. エピソード
12. ぬくもり
13. Start Over
14. Never End

ENCORE
01. 花火
02. 心音
03. Sky Drive

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