OBLIVION DUST 冬ツアー開幕!2本目・柏PALOOZA公演をレポ。現在進行形でアップデートし続けるオブリの今

ライブレポート | 2023.11.28 19:00

OBLIVION DUST “Dystolumina” Winter Tour 2023
2023年11月19日(日) 柏PALOOZA

「OBLIVION DUST “Dystolumina” Winter Tour 2023」と銘打ってワンマンツアー中のOBLIVION DUSTのライヴが11月19日に千葉・柏PALOOZAで開催された。昨年、デビュー25周年を迎え、約6年ぶりのミニアルバム『Shadows』をリリースしてから2度目のツアー。季節は冬と言えども、場内は彼らの音楽を浴びにきたファンの熱気で溢れかえっていた。

オンタイムの18時、歓声の中、ステージにRIKIJI(Ba)、K.A.Z(Gt)、KEN LLOYD(Vo)の順にメンバーが登場。K.A.ZのシャープなギターリフにRIKIJIのうねるベースが絡み、KENがラップを織り混ぜて歌うクール且つ挑発的なナンバー「No Regrets」でライヴは幕を開けた。セットリストは『Shadows』からの新曲を中心に、活動休止以前の1990年代後半のナンバーや事前にファンから募ったリクエスト曲などをミックスさせたもので、OBLIVION DUSTの歴史がギュッと凝縮された印象だ。最新作のリード曲「Everyday Negative」はEDMと小気味いいソリッドなビート、ポップでスパイスが効いたメロディが絶妙のバランスで混ざり合うナンバーだが、26年目を迎え、演奏、センスをさらに研ぎ澄ませた刺激的でスリリングなアクトに、会場は前半からメンバーの名前を口々に絶叫するほどの盛り上がりだ。

タイトルと呼応するように眩く白い幾筋もの光がステージに降り注いだ「Searchlights」では、視界が広がっていくようなスケール感と緻密さを合わせ持つサウンドと、KENのビタースイートなボーカルがフロアを心地よく揺らし、パンキッシュな攻撃性とサビのキャッチーなメロディのギャップが魅力の「Under My Skin」では、ハンドクラップが巻き起こる中、KENがペットボトルの水を巻き散らし、フロアにマイクを向ける。ワン・アンド・オンリーなバンドであるOBLIVION DUSTの魅力の一つはその二面性(もっと多面的かもしれないが)にある。ポップでありオルタナティブ、センシティブでありダイナミック。相反する要素が交錯する曲が目の前で放たれるカタルシスは何者にも代えがたく、紳士と野獣が入れ替わる瞬間を見るような色気も兼ね備えている。アグレッシブなパフォーマンスで魅了しながら、シャツのボタンとネクタイを最後まで緩めないストイックなKEN のMCも初めて見る人はそのギャップに驚く可能性大。この日も「今日、本番直前までずーっと謎なことがあったので聞きたいんですけど、PALOOZAってどういう意味ですか?」と会場の名前の意味を問いかけ、「KENさーん!」と絶叫する男性ファンに「初めて“さん”って呼ばれたかもしれない。柏の人、素敵だね」と笑顔を見せる。かと思うとK.A.Zに「“Traces”のサビでキュイーンっていうギターが入るのいいね。90年代のグランジみたいで」と話しかけ、照れさせたりと、チャーミングで自由すぎるノリで沸かせていた。

イントロでK.A.Zがアルペジオを奏でた「Traces」ではエメラルドグリーンのライトがステージを彩り、メロウで美しいメロディと広がりのあるサウンドが場内を包んで、雲の上を漂っているような浮遊感のある音像を描き出す。徐々にドラマティックに展開していく「With You」では、それまで騒いでいたフロアも陶酔。後半に向かうにつれて3人が刺激し合うように熱量を増していくステージ運びも、ヒリヒリした感覚まで伝わってきて、ライヴならではの臨場感だった。

ツアー真っ最中のため、詳しく記すことは控えるが、セットリストには、ファンからのリクエストに応えたナンバーから4曲が組み込まれ、KEN がスタンドマイクからハンドマイクに持ち替え、上手、下手へと独自のパフォーマンスで暴れまわった「Crawl」、鋭角的で攻撃的なビートと同期の融合が超クールな『Shadows』からのナンバー「Lust & Graffiti」、RIKIJIのループするベースのフレーズも興奮を加速させるクールなキレ感抜群の「Satellite」など、現在進行形でアップデートし続ける楽曲たちがキャリアを重ねてなお、ドキドキさせてくれるOBLIVION DUSTの最新を伝えていた。

歓声を上げ、シンガロングしたり、どんどん上昇していく会場の熱をクールダウンさせるように、後半ではKENが水をさらに巻き散らし、K.A.Zにもやってほしいと勧めるとペットボトルのフタに水を移し、ちょっとだけ撒いてみせて笑わせる場面も。「急に寒くなったり、あったかくなったりしているのでツアーに来る方はあったかくして風邪引かないように。来られなかったとしても自分に甘い(優しい)12月を過ごしてください。僕は基本的に12ヵ月、ずっと甘いですけど(笑)」と来場者への感謝の言葉とメッセージを伝え、終盤戦に。全18曲、いつものようにアンコールはなし。約1時間半で全てを放出する潔いアクトに場内から「オブリ、最高!」という声が飛んだ。ファイナルは12月9日の東京・新宿BLAZE。まさに最高、最強でもあるOBLIVION DUSTのライヴを体感してほしい。

SHARE

OBLIVION DUSTの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る