灯橙(とうだい)あか、初バンドワンマンで感情豊かに伸びやかな歌声をduoのフロアいっぱいに響かせる

ライブレポート | 2024.01.26 17:00

灯橙あかバンドワンマンライブ
『あのバス停で春を待つ』
2024年1月13日(土)duo MUSIC EXCHANGE(渋谷)

 1月13日(土)、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにてシンガソングライターの灯橙あかが『灯橙あかワンマンライブ 「あのバス停で春を待つ』」を行なった。バンド形式の同ライブでは、昨年行なった弾き語りツアー『ワンマンライブツアー 2023 「ひとえまぶたに降る光」』とは違った魅力でファンを魅了していた。

 赤い衣装でステージに現れ、アコースティックギターを持つと「意地でも」でライブをスタート。1曲目から、透明感溢れる歌声が爆発していく。「皆さん、立てますか!」と語りかけると、観客も一斉に立ち上がり手拍子で応えていく。続く「雨音スキップ」では一人ひとりと目を合わせるように歌ったり、ピョンピョンと飛び跳ねたり。彼女が楽しそうに歌う姿を見ていると、こちらまで楽しくなってくる。

 「灯橙あかです。よろしくお願いします!」と改めて挨拶をして、「今日はお越しいただき、ありがとうございます」と感謝を伝えると「sukima」、「ごめん」、「心置き」と連続で披露。突き抜けるような高音も、語りかけるような低音も心地よい。それだけでなく、楽曲ごとに巧に声色を変えたり、表情を変えたりと、表現力も抜群だ。

 MCでは「リハで1回も間違えたことなかったのに、(『心置き』で)間違えちゃった(笑)。自分でもビックリ」とハプニングを報告する場面も。観客も笑顔になっており、和やかな空気が広がっていた。丁寧にチューニングしたアコースティックギターを軽く鳴らすと「私の国」が始まる。はじめは聴き入っていた観客だが、途中からはクラップが巻き起こりバンドライヴならではの盛り上がりを見せていく。ここで、小説『今夜、死にたいきみは、明日を歌う』の主題歌「今夜、死にたいと思った。だから、歌いたいと願った。」が飛び出し、続けて「抱き寄せても」、「太陽より月」へ。透明感があるだけでなく、渋さやキュートさといった要素が感じられる彼女の歌声が会場へ広がっていった。ステージ上にキーボードと灯橙のみになり、「ここでしか泣かない」を熱唱。伸びやかな声で歌詞を紡いでいく。さらに、アコースティックギターを持った灯橙1人になると、「身体に悪いものなのに、でもとり入れちゃう人って、ちょっと魅力的だよねって思うんです。一瞬かっこよく感じる瞬間があるんだよね。私には到底できないと思っちゃって、その距離感が魅力なのかなと思ったり。」と語り、「煙草とオレンジ」を弾き語る。

 ガッチリと観客の心を掴むと、再びバンドメンバーを呼び戻す。「次の曲はさ、みんなの協力なくしては歌えないだ。」と、クラップの練習をして始まったのは「会いたいバス」。切ない歌詞とポップなサウンドのギャップを楽しむかのような、笑顔の灯橙が印象的だ。続けて弾き語りワンマンツアーでも披露した「ピーターパン症候群」、「灯」を披露し、会場を魅了していった。

 「去年は、人生で一番ひとりの時間が多かった年なんだけど、ひとりの時間が多いと考えるわけ。あんなに一生懸命、猫かぶって八方美人して(笑)、人間関係頑張ってたのに、結局ひとりかいって。真面目にこれから先の人生ひとりきりなんじゃないか、って考えたんよ。今までのことは何だったんだろうとか、意味あったのかなって考えると、やってられなくなくて、前にすすめなくなるわけ。だから、今日の自分が一番いいって思わないと、やっていけないなって。それで日々歌詞を書き始めたんだけど。何回も歌を歌ってみて思ったのは、今日の自分が完璧だったって全然思えないわけよ。でも言い聞かせていくしかないなって思ってさ。何回も歌っていって、今日の自分めっちゃいいじゃんって。それなら明日の自分はもっといいじゃんって思えるようになりたいなと思って。曲を聴いてくれた人もナチュラルに今日の自分も良かったと思えるようになったらいいなって。」と語っていく。こうした「多くの人が共感できるけど、言語化することは少ない感情」を言葉にして、そして曲に昇華していけるのは彼女の強みであり、魅力なのだろう。その感情を詰め込んだ「今日の私が一番綺麗」を観客に届けると、「ありがとうございました!」とステージを後にした。

 アンコールの拍手に誘われて、再び姿を見せた灯橙。「スリープレスナイト」で再び観客を盛り上げていく。「跳ねるよ!」という彼女に声に合わせて、会場が大きく揺れる。さらに新曲「火を吹く二人」で観客からクラップを引き出すと、3月に「今日の私が一番綺麗」をリリース予定であることを告知。そしてバンドメンバーを送り出し「最後は私の大事な曲をやります」とスタートさせたラストナンバーは「さよならあなたのベイビーブルー」。弾き語りだからこその良さもしっかりと伝えると、「灯橙あかでした、ありがとうございました!」と笑顔でライブに幕を下ろした。

SET LIST

01.意地でも
02.雨音スキップ
03.sukima
04.ごめん
05.心置き
06.私の国
07.今夜、死にたいと思った。だから、歌いたいと願った。
08.抱き寄せても
09.太陽より月
10.ここでしか泣かない
11.煙草とオレンジ
12.会いたいバス
13.ピーターパン症候群
14.灯
15.今日の私が一番綺麗

ENCORE
01.スリープレスナイト
02.火を吹く二人
03.さよならあなたのベイビーブルー

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