PIKO 17th ANNIVERSARY LIVE ーAnthemー
2024年12月8日(日)原宿RUIDO
ピコが12月8日、東京・原宿RUIDOでピコーツ(=ピコのファンの呼称)たちと17周年を祝うワンマンライヴ<PIKO 17th ANNIVERSARY LIVE>を開催した。第1部はカバーのみでお届けする「Covers」、第2部はピコのオリジナルのみでお届けする「Anthem」とまったく異なるテーマを掲げ、どちらもバンドを従えたスタイルで開催したこの日の公演から、ここでは第2部「Anthem」のレポートをお届けする。
「17周年、とばしていくぞー! いいかー」
バンドメンバーに続いてステージに現れたピコは、さっき第1部が終了したばかりだというのに、第一声からいきなりフルスロットルでパワー全開。そうして、タイトルを叫んで始まったのは「人間賛歌」。第2部「Anthem」はピコのオリジナルソングがコンセプト。オープニングからピコの和ホラーなすさまじいロックサウンドが場内に炸裂していくと、やはりバンドを背負ったロッカーなピコは、男らしくてカッコいい。集まったピコーツからは“人間賛歌”と激しく叫ぶ声が上がる。そこから、すぐさまピコとbuzzGがコラボした「ジャガーノート」へとつなぐと、照明が真っ赤になり、オーディエンスはイントロから一斉にジャンプを繰り返し、ピコーツたちがどんどん元気になっていく。そんな観客たちに向けて“いつか誰かの傷跡に寄り添うように歌えたら”~“綺麗じゃなくてもいいよ”“ただ歩く足があればいいんだ”とエモーショナルに歌い上げるピコ。ロックなのに、やはりこの歌詞を聴くと胸を締め付けられる思いになる。だが、ウルウルするのはまだ早いんだといわんばかりに、ピコは続けざまに「DEADLINE」を投下。爆音で響いてくるハードなギターリフ、ドコドコ疾走感をキープしながらテンポを変えていくメタルなドラミングに合わせて、ピコはとんでもないハイキーで絶叫を繰り出していく。「頭、よこせー」と叫ぶピコの合図で、オーディエンスが一丸となって頭を振り、身体を折りたたんでいったところは圧巻のひと言。そうして、高まりすぎた場内のテンションを少し落ち着けるように「月食」へ。さっきまでのメタルなハイトーンヴォイスは影を潜め、ここでは艶っぽい男性の声を使って、この曲をせつなく歌い上げて観客をうっとりさせていった。と思ったら、次は女性歌手にも負けないとびきりラブリーな女性ヴォイスを使って「main dish」を歌唱していく。可愛く左右にステップをしながら、キュートな表情管理まで完璧に作ってパフォーマンスしていくピコ。そこには、17年かけてとことん磨き上げてきたピコならではのジェンダーレスな歌唱とパフォーマンススタイルがあった。
「こんばんは、ピコです」と挨拶したあと、第2部のお客さんを見渡して、カバー曲オンリーだった第1部とは違い「こっちはピコ濃度濃いめのみなさんが集まったんですよね?」と話しかける。ピコ自身は第1部終了から1時間も経っていないところでも、頭からこのテンションで飛ばしているのだから「もっとみんなの頑張りを見たい」とおねだり。ピコらしい言葉で煽りを入れながらも「疲れてるのよ。19~20歳の頃から確実に年とってる訳ですから」と本音をのぞかせ「みんなも年を重ねて」とファンを和ませていくピコ。第1部のほうでは「今日初めてライヴに来た」という17歳のファンがいたことを伝えると、第2部にはなんと「中国から来ました!」というファンがいて、これにはピコも感激。「17周年、めでたい日でございます。“Anthem”のほうが3曲多いので、ここから駆け抜けます。こういうのが欲しかったんでしょ? ピコさんの真骨頂はこっちなんでしょ? という曲。しんどいけどやろうか」。そんな前振りだけで、ファンは大興奮。「望んだからには、盛り上げていけよ!」と再びピコーツたちを煽って、流れてきたのはあの「Shooting Star」! イントロだけで、場内に「キャー!」という悲鳴が立ち上がる。ピコの力強い歌唱と歌詞が、ピコと、ペンライトを輝かせて歌うピコーツたちの心をしっかりとつないでいく。そうして「桜音」が始まると、さらなる悲鳴が場内に響く。桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちるLEDパネルの前で、キャッチーなメロディーに和テイストを加えたこの桜ソング。ピコは、華麗さのなかにたっぷりと儚さを秘めた声色を微調整しながら、この曲に声で美しい彩りを与えていく。歌い終わった直後、その歌に聴き入ってしまった場内からは自然と拍手が沸き起こった。そうして、ライヴは「桜音」の物語の始まりを思わせる「勿忘草」へと楽曲をつないでいく。最近はあまり聴くことのなかった初期曲を使ったドラマティックな選曲に、ファンは感涙。せつないメロディーを女性声多めで表現して、観客たちの心をさらに締め付けていったあとは、なんと「赤い花」が登場! まさかの選曲にファンは驚愕しながら、ピアノとピコの歌で始まる「赤い花」に息をするのも忘れて静かに聞き入る。1番はピアノの弾き語り、2番からバンドが加わるというアレンジで、せつなさの頂点を描き出していくバックトラックのなかで、ピコがいまにも泣き出しそうな声色とファルセットを巧みに使って楽曲の世界観をパフォーマンスしていくと、ファンは涙を流しながらその姿に感動。その気持ちを伝えるように、ステージに向けて大きな拍手を送った。その刹那を洗い流すようにLED画面に突然雨が降りだし、曲はこれまた驚きの「傘」! ヒャダインこと前山田健一とコラボしたこの曲は、ピコのデビュー当時のキャッチフレーズ“両声類”を楽曲に落とし込んだJ-POPナンバー。許されない愛、それ故に別れを選んだ2人がサビで“さよなら”を言い合うシーンで、観客たちは左右に手を振ってみせる。そうして「僕のノート(仮)」へ。“ありふれた言葉だけど 僕は今日も唄うんだ”と歌うこの曲は、周年で聴くと、自分の決意をファンに向けて歌っているように思えてくる。そのせいか、この日のピコは言葉一つひとつの重みをかみしめながら、みんなの心の奥に届けるように歌っていたのが印象的だった。
「懐かしいぃぃぃぃー」――歌い終えたピコが思わず叫ぶと、フロアからも「懐かしい」という声が上がる。「Shooting Star」について、「みんなが歌ってくれてたの、グッときた」とファンを賞賛したピコは、この曲は東日本大震災直後、苦しんでる人々の少しでも希望になればということで「急遽追加して作った曲」だったことを話した。さらに、このブロックでもっともレアだったのは「赤い花」で、この曲は「タナトス」のEXTENDED VER.に収録されているC/Wナンバーであることを自ら解説。そうして、「ここから真面目な話」と前置きして、これまでいろんな新しいチャレンジをしながらも、こうして17年間同じことをやり続けられたのは「みんなが支えてくれたお陰」といい「今日はみんなに感謝を伝えたかった」とピコーツたちに話しかけた。ニコニコ動画で“歌ってみた”を投稿したのは19歳のとき。「そのときはデビューしてみんなの前で歌うことを仕事にするなんて考えてもいなかった」と当時のことを振り返り、その後デビューが決まり、後輩もたくさん出てきたことを伝えた上で「これから自分は老害にならないよう、いいおじいちゃんに。おばあちゃん? かもしれないけど(笑)。でも、とはいえステージに立ったら“僕を見てくれ!”になるので、この先もしっかりと僕を見て!」とファンに力強い言葉を投げかけ、ライヴは後半戦へ突入。
明るくポップな「MAKE OUR DAYS!!」が始まると、場内にはたちまちアゲアゲムードと笑顔が広がり、オーディエンスは指を立てながら“1day 2day~”を歌って大はしゃぎ。曲中、そんなフロアに向かって「これから先も僕とみんな、1本の道を歩んでいきましょう」とピコが叫ぶ。その言葉に続いて、これまた懐かしの「Infinity space」が始まると、まさかの選曲に観客は盛り上がりながらも、歌詞がグサグサ刺さり、思わず号泣。その涙を次のタオル回しソング「Make÷Breaker」が吹き飛ばしていく。間奏ではピコと観客が一斉に誰が一番タオルを回せるかを競い合い(笑)、そのあとは“回せ”のコール&レスポンスで、場内にはものすごい一体感が誕生。それを「不退転パスファインダー」へとつないで、観客たちはジャンプでさらに大盛り上がり。そんなフロア目がけて、ラストはピコのファストチューン「ポルターガイスト」を爆音でドロップ。ものすごい早口で歌うピコの歌とギターリフにのせ、フロアには激しいoiコールに続いて、ヘドバンが広がる。超速弾きのギターソロが始まると、フロントでピコも身体を折り曲げ、いままで見たことがないようなものすごいヘドバンを披露。そうして、ステージもフロアも荒々しい熱狂が渦巻いていったところで、本編は終了した。
アンコールは、ピコ初のサマーソング「夏バテ半ライス」で始まった。配信シングル第4弾として発表したシティポップフレーバー満載のこの曲は、これまでアコースティックスタイルでアクト。それを、この日はバンドバージョンで初披露してファンにプレゼントした。このあとはピコからお知らせコーナーへ。まず、Nintendo Switchのゲーム「BYAKKO~四神部隊炎恋記~」のOPテーマ曲「火花」とEDテーマ曲「あなたが生きる意味になりたい」をピコが担当したことを報告。「さらにお知らせがあります」というと、LED画面が明るくなり、その画面を通じて<PIKOROCK Fes.2025>を2025年3月15日(土)、東京・Spotify O-EASTで開催することを大発表!! 出演者については「いろんな歌い手さんが来てくれます」とだけ伝えたあと、ピコは「これまでは”PIKO Fes.”だったんだけど、今回は”PIKOROCK Fes.”。カッコいいライヴにしたいなと思ってます」と意気込んだ。そうして、最後に少ししんみりした表情で「ピコは“塩対応”といわれてますけど、冷たい男ではなくて。本当は心は温かくて、いつもみなさんのことを考えながら歌ってて。それがちょっとでも伝わればいいなと思ってる」と素直な気持ちを吐露。そうして「そんなみなさんの愛や小言、アンチコメントも含めて、いまのピコを形成しているので。これからも自分らしい表現で、長く愛されるアーティストでいたいので、その道を一緒に歩いていって…一緒に死んでくれ」というと、ファンから「いいよ!」という声が上がる。そこから、最後はみんなで「タナトス」とタイトルを叫んで、ピコのデビュー曲を大合唱して、この日のライヴを締めくくった。
最後に「ピコ17周年、おめでとー!」のかけ声で記念撮影をして、17周年のANNIVERSARY LIVEを無事終えたピコ。2025年は、これまでとはひと味違う<PIKOROCK Fes.2025>の開催するので、ぜひともこちらの続報を期待して待っていて欲しいと思う。
17周年ワンマン両部終了!!!!!
めちゃくちゃマニアックなライブだったね!
サプライズ曲も色々あったね!
ありがとう!!!!みんなだいすき!🫶🏻 pic.twitter.com/EOrnXnjSqs— ピコ💋1/11 たまちゃん〜さんたまめ!!!〜🍒 (@piko_niconico) December 8, 2024
SET LIST
01.人間賛歌
02.ジャガーノート
03.DEADLINE
04.月食
05.main dish
06.Shooting Star
07.桜音
08.物忘草
09.赤い花
10.傘
11.僕のノート(仮)
12.MAKE OUR DAYS!!
13.Infinity space
14.Maker÷Breaker
15.不退転パスファインダー
16.ポルターガイスト
ENCORE
17.夏バテ半ライス
18.タナトス