fox capture plan、『TOUR 2025“DEEPER”』は後半戦へ!新たな興奮と感動に出会えた三井ホール日本橋公演をレポート

ライブレポート | 2025.05.02 19:00

fox capture plan「TOUR2025 "DEEPER"」
2025年4月27日(日)日本橋三井ホール

春の訪れの2月から初夏の気配の5月まで、美しい季節を駆け抜けるfox capture plan『TOUR 2025“DEEPER”』が、いよいよ佳境に入ってきた。ゲストを入れず3人だけで作り上げた、最新作にしてバンドの新たな代表作『DEEPER』の世界は、ライブで体験してこそ完結する。ツアー中盤のハイライト、4月27日(日)の東京・日本橋三井ホールでのライブを振り返ろう。

ツアー中で、最大キャパにも関わらずチケットはソールドアウト。満員の観客の熱視線の中、3人は「Deep Inside」「Tokyo」「Step’n」と、アルバムのオープニングを再現しながらぐんぐん飛ばす。彼らをジャズインストだと思っていた人は度肝を抜かれるだろう、激しくロックするリズムを叩き出す井上司(Dr)、ピアノとキーボードとシンセサイザーを駆使してカラフルなメロディを紡ぐ岸本亮(Pf)、中央でどっしり構える司令塔・カワイヒデヒロ(Ba)。この日本橋三井ホールでのライブはほぼ全曲で映像が使われ、今日のように広いステージでは迫力倍増。昨年、TVドラマのメインテーマとして書かれた「アンメット」での、まばゆいバックライトの使い方もかっこいい。耳も目もどっちも楽しい。

岸本亮(Pf)

井上司(Dr)

ワイヒデヒロ(Ba)

「最新アルバム『DEEPER』の楽曲、まだまだ演奏してもよろしいでしょうか」(岸本)
「ダメと言われても困る(笑)。それをやりに来てるから」(カワイ)

メインMCを担当する岸本が、早口で流暢だが日本語の使い方が変なふわふわMCで観客の笑いを誘い、カワイと井上に突っ込まれるのはいつも通り。音源ではわからない3人のキャラの楽しさも、fox capture planのライブに欠かせない魅力だ。ちなみにこの日、開演15分前のアナウンスを3人が自ら買って出て、ライブが始まる前から盛り上げていた。とにかく観客を楽しませる、それがfox capture planのライブ。

影アナをする3人
開演直前の様子

続いてアルバム『DEEPER』の中から「GOLD&TURQUOISE」「Across the Reef」と、ジャズ/フュージョンのエッセンスの濃いメロディアスでグルーヴィーな曲を連ねてじっくり聴かせ、「Waterfilm」の後半から、ダンスビートへチェンジして一気にテンポアップ。ライブの定番曲「エイジアン・ダンサー」から、どちらも数年振りに演奏するという「beyond the beyond」「Flexible」へ、懐かしい曲をたたみかけてぐいぐい盛り上げる。ロックバンドがやるダンスロックとは一味も二味も違う、超絶スキルを駆使したロックとジャズとダンスの激突がとことんスリリング。観客も拍手喝采で大騒ぎだ。

「結成当初からこのクオリティの曲をやっていました」(岸本)
「自分で言うな!(笑)」(井上)

2012年リリースの「Flexible」を紹介する微笑ましいやりとりのあとは、再び『DEEPER』のディープな世界へ。岸本の「このあと、すごい変な曲ばっかり続くんで」という言葉通り、「The curtain of night」から「Strange Disco」へ、チルアウトなムードを経てファンクとジャズとロックが絡み合い、重厚なリズム隊と浮遊感覚のピアノが入り乱れて疾走しながら、井上のマシンガンビートがうなりをあげるファストチューン「Vortex」へなだれこむ。終わった瞬間、岸本が右手を高々と掲げてガッツポーズ。井上が「座って聴く曲じゃないね」と言って笑う。椅子があるのがもったいなく感じるほどの盛り上がりだ。

「このポーズは、ラオウの“わが生涯に一片の悔いなし”です」(岸本)
「吊革につかまってるかと思った(笑)」(カワイ)

岸本亮(Pf)

ワイヒデヒロ(Ba)

井上司(Dr)

何回スベっても立ち上がる、不屈の岸本に贈られるあたたかい拍手。fox capture planのライブは、演奏中のストイックで創造的なかっこよさと、MCタイムのふわふわぶりとのギャップ萌えが凄い。本編ラスト「NEW ERA」はもちろんかっこよさの極みで、劇的なテンポチェンジを繰り返しながら、ピアノの美しいメロディと攻撃的なシンセサイザーのソロが交錯する。近年のライブ定番曲だが、常に初めて聴くように興奮させられるドラマチックな1曲。

そしてアンコール。久々にライブで聴けたビョークのカバー「Hyperballad」は、印象的なメロディを軸にテンポを自在に変えてイマジネーションを広げてゆく、カバーのお手本と言える名曲名演だ。そして恒例のグッズ紹介を経て、5月に前橋、新潟、仙台へと続くツアーファイナルへの意気込みを力強く語る3人。特に5月10日(土)の前橋DYVERは、初めて訪れる会場であることに加え、アルバム『DEEPER』が隣の高崎市で合宿レコーディングされた縁もあり、「東京からも来やすいのでお待ちしています」と井上。さらに6月3日(火),4日(水)には恵比寿 BLUE NOTE PLACEで「LIVE 360°-THE CIRCLE-」と題し、ステージを観客がぐるりと取り囲む中で演奏する、スペシャルなライブも決定した。

ライブ以外にも、今年7月公開の映画「事故物件ゾク 恐い間取り」や、NHK BS, BSP4K特集ドラマ「天城越え」の音楽をfox capture planが手掛けている。ライブにテレビに映画に、fox capture planの快進撃は止まらない。

さらにアンコールでもう1曲「RISING」を披露して、およそ1時間50分に及ぶライブは幕を閉じた。fox capture plan『TOUR 2025“DEEPER”』は、アルバム『DEEPER』収録曲をメインにしつつ、ほぼ日替わりのセットリストで過去の代表曲やレア曲を披露していく、一期一会のライブツアーだ。一度と言わず二度三度、新たな興奮と感動、笑顔も見つけられるfox capture planライブ。体験するのは今だ。

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