TOUR’25 六花 - Snowflake - FINAL
2025年5月4日(日祝)Spotify O-EAST
摩天楼オペラが5月4日、最新アルバム『六花』をひっさげて開催していた<TOUR’25 六花 - Snowflake - FINAL>を東京・Spotify O-EASTで締めくくった。
摩天楼オペラが、絶好調すぎる!摩天楼オペラがもつ速さ、激しさ、ハイトーン、美麗で儚いメロディー。そのすべてを熱量マックスで詰め込んだような最新作『六花』で、過去を越えてきたと思ったら、ライブでも、彼らはものスゴいものを見せてきた。
すでに8月10日、東京・日比谷野外大音楽堂でバンド結成18周年のアニーバーサリーライブ<18th Anniversary Live>を開催することを発表している摩天楼オペラ。アルバムの曲を全部やると宣言して、雪が舞う頃に始まった今回のツアー。その最終日となるこの日、東京は夏日を記録。季節をまたいで各地で彼らがパフォーマンスしてきた『六花』の集大成が見られるツアーファイナルであるとともに、じつはこの日はバンド結成18周年を迎えた記念日でもあった。本来なら、このライブが周年を兼ねたものとなるところを、今年はこの記念日はとっておいて、野音で盛大に祝おうというのだ。この18年間、いろいろあった。メンバーチェンジを経て、いまなお最新アルバムで最高傑作を作り出し、アルバムツアーができること自体すごいことなのだが。それに加えて、最近ではL'Arc-en-Cielのtetsuyaが立ち上げたLike-an-Angelでは響(Dr)が、アリス九號.の将が立ち上げたVerde/では優介(Gt)、燿(Ba)がサポートメンバーとして大活躍するなど、これまで摩天楼オペラを知らなかった人にも、摩天楼オペラを知ってもらう機会がどんどん増えてきた。その追い風に応えるように、この日彼らは、バンドのアグレッシブに攻める意思を反映させるように、いままでやったことがないライブに初挑戦してみせたのだ。
会場となったO-EASTの客電が消え、SEが流れ出した瞬間、ステージ背後にはLED画面が全面に広がり、そこに赤い血を連想させる映像が流れだす。それをバックにメンバーが次々と現われ、最後にそのスクリーンに真っ赤な色で描かれた“摩天楼オペラ”のロゴが浮かび上がると、会場には驚きの声が挙がった。前日、ツアーファイナルの告知とともに「摩天楼オペラとしては初の演出」と燿がXに投稿していたのは、この映像演出のことだったのだ。
アルバムのリード曲「BLOOD」でライブが幕開けすると、オーディエンスはペンライトを赤色に灯し、フロアを血の色に染めてみせる。「DYSTOPIA」、「Ruthless」とアルバム冒頭を飾る3曲を曲順通りに演奏すると、響が頭から本領を発揮!手数も足数も半端ない連打を繰り広げると、ブラストビートがフルスロットルで炸裂。最新作の爆走メタルチューンを怒濤のように披露すると、フロアは、とたんにぶち上がる。ここに緩急をつけるように「Anemone」をプレイしていった彼ら。
今日がツアーファイナルであると同時に、バンド結成18周年であることを告げた苑(Vo)は「18年続けてますというと、驚かれます。どのバンドもできることではないと思います」と胸を張った。さらに「いまの5人で作った曲を主軸に、ツアーも回れる。摩天楼オペラ、僕は本当にいいバンドだなと思います」としみじみ告げたあと「このファイナル、すごいものにしましょう」と伝え「TABOO」からライブは再開。
ここからステージ背後に映し出される映像と摩天楼オペラのサウンドが共演していく。「TABOO」では燿がベースソロを弾きだすと、その音に合わせた波形が画面に映し出され、「ここからは届かないあなたへ」では白い花が咲き乱れる高原が広がり、「Diorama Wonderland」では曲とリンクするように幾何学模様がうねりだす。摩天楼オペラのライブをかつてないほどショーアップさせたパフォーマンスで見せていくステージに、オーディエンスはそのカッコよさに圧倒されて驚愕。緑の照明に合わせて、オーディエンスもペンライトで場内を緑色に染めた「翠玉のワルツ」では、指揮者のように右手で3拍子を刻みながら、胸が締め付けられるような美しいメロディーをテクニカルな歌唱で歌う苑のヴォーカルにフォーカス。苑が去り、インストナンバー「Apocalypse」が始まると、次は彩雨(Key)、優介と楽器隊のプレイに次々とフォーカスしていき、生身のプレイにスポットを当てて場内のテンションを上げていった。
再び苑がステージに戻り、ライブは後半戦に突入。この後の映像との共演がとにかく素晴らしかった!「闇を喰む」では雨が降り注ぐ映像をメインに、“闇を喰む 音の消えた世界/もうこのまま何もかもが 沈めばいいのに”と歌うパートでは、画面がパッと真っ暗になり、雨粒のようにそのリリックが上から落ちてきて、そこにいた観客全員を曲の世界に引き込んでいった。「Incessant Snow」ではLEDパネル全面に吹雪く雪山と歌詞が広がり、この日夏日だった会場に冬を到来させていく。そうしてこの後、映像は中断。彩雨のピアノの弾き語りから、苑が歌い出したのはアルバム唯一のバラード「愛を知りたかった幼き日々よ」だった。静まりかえるフロア。映像がないが故に、歌と演奏、そこからにじみ出る温度感だけが体内にどんどん入ってきて、観客たちは歌にすべての神経を集中。場内にはいつしか研ぎ澄まされた空気が広がっていった。
その静寂のなかに、猛吹雪の音が広がっていく。彩雨のピアノの調べから「夜明けは雪と共に」が始まると、特効で空中から雪がしんしんと降りだし、フロアからは歓喜の声が上がる。昨年この曲を<END OF YEAR LIVE’24 -Snow mist->で披露した際、会場のバックの窓を覆うカーテンが開いて、外の夜景が見えたときに「本当は雪が降ってる予定だったんだけどね」と苑が言っていたのを思い出した。そうして、観客たちも白いペンライトを振り、会場に美しい雪景色を作ってみせると、アウトロでも再び雪が舞い降り、そのなかで苑が祈りを捧げるようにひざまずき、エモーショナルな歌を届けると、場内には感動が渦巻いていった。
その感動を吹き飛ばすように、バンドは「漣のロンド」を投下。ここでは歌詞に合わせて観客たちがペンライトをグルグル回して大盛り上がり。そうして苑の「ラスト~!」というかけ声で「六花」が始まると、バックの大画面にメンバーの姿をが映し出され、フロアは驚いた様子で狂喜乱舞!燿のベースを弾く手元のアップ、響はカメラを向けられると自ら距離を縮めて変顔でファンサをするなど、衝撃的に楽しい「六花」のパフォーマンスで本編は終了。メンバーがステージを立ち去ったあとは、ツアーのファイナルらしく、画面に本ツアーのスケジュール、スタッフロールが映し出されていった。
アンコールに応えて、再びステージに集合したメンバーたち。苑からは「摩天楼オペラを前に進められた挑戦した曲」を8月、11月にシングルとして発売すること。昨年に引き続き、高円寺HIGHというライブハウスで「バラードをいっさいやらない、己をいじめ抜く」男女限定ライブを行うこと。さらに、12月には大阪、名古屋、東京それぞれのクアトロを回るツアーを行うことが告げられた。そうして18周年を迎えたことに思いを寄せ「5人でここまでこられたこと、嬉しく思ってます。18周年、本当に感謝しております。このあと19周年に向けて走り出しますが、マジで、すっごく楽しみにしてくれててOKです。いろいろやっていきますので、みなさんと一緒に積み上げていけたらと思ってます」と伝えたあと、アンコールは「終わらぬ涙の海で」でスタート。「EVIL」で苑のシャウトのあと、フロアにいた観客たちは激しいヘドバンを巻き起こし、「悲哀とメランコリー」では響が雄叫びを上げながらコーラスで煽り、場内に壮大なコール&レスポンスを響かせてみせた。そうして、ラストはやはり彼らの代表曲「喝采と激情のグロリア」。オーディエンスが歌う場面では、画面に歌詞が映し出され、観客たちがいつも以上の声量で大合唱を届けると、それを受け取ったステージで、苑は渾身のアカペラでこの曲のラストを締めくくってみせた。
メンバーがステージを去ったあとも、まだまだアンコールを求める声が止まず、その声に引っ張られるように、この日はメンバーが再度ステージへ。ダブルアンコールとして「BURNING SOUL」をプレゼントしてみせた。そうして、ライブの最後は再び「BLOOD」へ。ここでは、画面にはミュージックビデオが映し出され、「BLOOD」から始まった『六花』のツアーを「BLOOD」で美しく締めくくり、ライブは終了した。
今回、初めての試みとして、映像、特効の演出を加え、オペラの楽曲がもつ世界観、ステージでプレイするメンバーの姿を視覚的に届けることで、飛躍的にステージの迫力がパワーアップした彼ら。このあと、控えている8月10日に開催するバンド結成18周年を祝う野音、さらには12月に行なうクアトロツアー。どんな刺激的な摩天楼オペラのライブを仕掛けてくるのか。期待して待っていて欲しい。そうして、いま絶好調に熱量が高まっているこの摩天楼オペラのライブを、ぜひたくさんの方々に観てもらいたいと思う。
2025/5/4(日) Spotify O-EAST
TOUR’25 六花 - Snowflake - FINALPhoto by @Litchi_LP
✅18th Anniversary Live
8/10(日)日比谷野外音楽堂- チケット発売中‼︎ -
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— 摩天楼オペラ Official (@opera_staff) May 7, 2025
SET LIST
01. BLOOD
02. DYSTOPIA
03. Ruthless
04. Anemone
05. TABOO
06. ここからは届かないあなたへ
07. Diorama Wonderland
08. 翠玉のワルツ
09. Apocalypse
10. 闇を喰む
11. Incessant Snow
12. 愛を知りたかった幼き日々よ
13. 夜明けは雪と共に
14. 漣のロンド
15. 六花
ENCORE
01. 終わらぬ涙の海で
02. EVIL
03. 悲哀とメランコリー
04. 喝采と激情のグロリア
W ENCORE
01. BURNING SOUL
02. BLOOD