EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN 2025出演、Ai Furusato✕モノンクルLIVE REPORT

ライブレポート | 2025.05.23 13:15

EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN 2025
2025年5月18日(日)恵比寿ガーデンプレイス全域

恵比寿ガーデンプレイス30周年を記念し昨年初開催となった“EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN”。今年もセンター広場は著名アーティストの他に若手注目株が出演するとあって、ステージ前は熱心な音楽ファンで溢れかえっていた。今回は中でも非常に注目度の高かった2組のアーティストコラボの模様をお届けする。

まず最初に登場したのは、まさに天才という形容詞が相応しいジャズピアノ界の新星 “Ai Furusato”。3歳からピアノを始め、9歳で国立音楽院にてジャズピアノを専攻。10歳のときにはバークリー音楽大学のサマースクールに参加し、12歳で史上最年少のバークリー音楽大学入学という新進気鋭のアーティストだ。
オンステージからオリジナル2曲をソロピアノで演奏。クラシカルな速いパッセージと複雑な展開を持ちながら、そこにしっかりとしたジャズの普遍性が息づいている楽曲は、その演奏だけでなく作曲面でも大器の片鱗を見せる。急遽決まったという海野雅威との連弾では、オスカー・ピーターソンの名曲「Hymn to Freedom」を情感たっぷりに演奏し観客を魅了する。目をつぶれば、演奏者が年端もいかない少女であることが信じられない貫禄のある演奏だ。海野のピアノに入れる合いの手もしっかりと会話になっており、古き良きジャズの心地よい風が恵比寿ガーデンプレイスを通り抜けていく。
余談ではあるが、1曲ごとにMCを挟み丁寧に話す様はさすがに初々しく13歳の少女の可憐さにホッとする(笑)。

Ai Furusato
Ai Furusato

そしていよいよ、吉田沙良(Vo)角田隆太(Ba他)のデュオユニット“モノンクル”との共演。モノンクルはデビュー当時よりジャズをベースとしたポップミュージックを世に送り出し、WONKやCRCK/LCKSなどともにこの手の音楽シーンを牽引してきた中心的存在だ。近年はその音楽的深化においてデジタル機器を多用しDISCOやFUNK系の楽曲をリリースしてきたが、今回は一転。角田はコントラバスのみを演奏し、サポートの小川もアコギ中心のセット、そこにAi Furusatoのピアノが加わるというスタイル。どんな形でもオーガニックさを失わないのが彼らの魅力ではあるが、今回の編成はその繊細さや美しさがさらに際立ったものに感じられた。「夕立」から始まり「Birthday Alone」「空想飛行」「GOODBYE」など、しっかりと今回のサウンドフォーマットに落とし込む。瑞々しいピアノを包み込むアルコやピチカート、それらをそっと支えるアコギ、そしてファルセットなどを駆使しつつ自由自在に変化するヴォーカル。いつものバンド編成や打ち込みを多用した2人編成で聞き慣れた楽曲も全く違う彩りを纏う。

モノンクル / 吉田沙良(Vo)
モノンクル / 角田隆太(Ba他)
小川翔(AG)
モノンクル / 吉田沙良(Vo) & Ai Furusato

昨年リリースした「GINGUA」では、ループするウッドベースと観衆のクラップが力強いバックビートを作り上げる。Ai Furusatoのピアノは、オリジナルにはないリハモを加え、モノンクルのモチーフを借りつつもしっかりと個性を発揮していく。ステージにリズム楽器はなくとも、そこにはしっかりとしたグルーヴがあった。アコースティックセットでありながらも観客が吉田に合わせて振り付けをダンスできるというのは演奏者としての実力があればこそだ。
そしてアンコールはモノンクルの定番曲「ここにしかないって言って」。いつも聞き慣れたイントロのピアノリフと違ったアプローチは楽曲に鮮度を与える。楽曲を淀みなく進行させる小川のギターと、全体を俯瞰で見つつ低音でダイナミズムをコンダクトする角田。そして吉田のスキャットに合わせたコール&レスポンスの大合唱。まさにステージと客席が一体となったとき、私も含め多くの来場者が多幸感に包まれた瞬間だったのはないかと思う。

Ai Furusatoと海野雅威との即興連弾

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