G-FREAK FACTORY "HAZE" TOUR 2024-2025
2025年5月17日(土)Zepp DiverCity(TOKYO)
昨年9月にリリースされたアルバム『HAZE』を掲げて、昨年10月より全国35箇所36公演を回ったG-FREAK FACTORYの全国ツアー『"HAZE" TOUR 2024-2025』のファイナル公演がZepp DiverCity(TOKYO)で行われた。
自然音のようなSEで楽器隊が登場すると、一瞬の静寂から心地よいジャムセッションが始まり、茂木洋晃(Vo)がゆっくりステージに登場。情感溢れた歌声で歌う「アメイロ」にFREAKYたちが自然と歌声を重ね、「よく来たね」と茂木が笑顔を見せる。
前作『VINTAGE』のリリースツアーはコロナの影響で延期や中止が相次ぎ、ようやく開催されたZepp DiverCity(TOKYO)でのファイナル公演はソールドアウトながら、座席指定&声出しNG。彼らにとっては、念願のリベンジの機会にもなった今回。チケットはソールドアウト、当然ながらなんの規制もない中での開催に、超満員の観客がど頭から強烈な熱気と遠慮のない吠え声を放つ。
「Zepp DiverCity、遠慮はいらねぇよ! 明星の空、群青の山を守るために攻めるローカライズ。やるかやらねぇか? 出来るか出来ねぇか? 『HAZE』ツアーファイナル、Zepp DiverCityソールドアウト! G-FREAK FACTORY始めます!!」
茂木が力強く告げると、原田季征(Gt)のギターイントロから、ジャンプ一発始まった「YAMA」で着火し、「FOUNDATION」、「WHO UNCONTROL」と続くアッパーな楽曲たちがフロアをぶっ掻き回す。三味線の響きで始まる「REAL SIGN」に「踊ろうぜ!」と茂木が煽ると、まがまがしく中毒性ある楽曲に観客が体を揺らして酔いしれる。
ゆったりと温かみある曲調に、心に秘めた熱い想いを歌う「ある日の夕べ」や「voice」。ダブトラックに乗せて辛辣なメッセージを放つ「RED EYE BLUES」、疾走感あるバンドサウンドに決して明るくない時代や現実を歌う「STAY ON YOU」と、『HAZE』収録曲が続いた中盤戦。ツアーで磨き上げた強靭なサウンドや、圧倒的リアルを放つ茂木の歌にいちいち心打ち抜かれてると、<それでも期待する まっさらな未来に>と茂木が言い放つ。
全てが奪われたような感覚に陥り、物事の考えや価値観が大きく変わってしまったコロナ禍を経て制作された『HAZE』。<それでも期待する? まっさらな未来に?>と問いかけで終わっていた曲の最後を、<それでも期待する まっさらな未来に>と断言するように歌ったように。楽曲制作時とアルバムをリリースしてツアーを回った現在では、楽曲に込めた想いがまた大きく変わっていることが分かったし、聴き手である僕たちのマインドも変わり、楽曲の印象や響き方、捉え方が大きく変わってきてることに気付かされる。
“all for smile=全ては笑顔のために”と願うように歌う「ALL FOR SMILE」を気持ちいっぱいに届けると、ツアーファイナルを迎えての想い、『HAZE』の制作中にも変化していった自身のマインドについて語った茂木。「G-FREAK FACTORY、活動28年。見ての通り、いまが一番最高です!」と力強く断言して、コロナの頃に作った「Dandy Lion」を披露。「あの頃、疑うことが正解で、信じることが悪とされてました」とコロナ禍で風評と戦い続けた経験を話し、「たんぽぽの綿毛みたいに風が吹けば飛んでっちまうけど、その先で種になって花を咲かせて、また会えたらいいなって」と楽曲に込めた熱い想いを語る。
さらに、「あそこで一回死んでます、このバンドは。だからなにも怖くねぇ。こっから先、また咲いていこうって。だから得た、そんな収穫」と始まった曲は「HERVEST」。全てが奪われた感覚にも陥ったし、先の見えない真っ暗な時代に絶望もしたけど、無くした分だけ手に入れたものもある。希望溢れた美しく壮大な歌とサウンドは優しく温かく心に響き、最新型のG-FREAK FACTORYを見せるリリースツアーを締めくくるに相応しい、最高の魅せ場を作った。
吉橋“yossy”伸之(Ba)の奏でるベースイントロから、「声出していこうか、ライブハウス!」と茂木が煽り、会場中が吠え声と拳を上げて応えて始まった「Too oLD To KNoW」から「らしくあれと」とライブ定番曲が続くと、再びヒートアップする会場。MCでは時代を憂い、生きることや人間の矛盾を問いかけながら、「疲れたら俺たちのライブに来ればいい。きっとなんとかなる」と力強い言葉をかける茂木。「一緒に歌おう」と始まった「ダディ・ダーリン」の大合唱はあまりに美しく、音楽やライブハウスの力を心から信じる茂木の「きっとなんとかなる」の言葉が決して嘘や大げさじゃないことを証明した。
「SOMATO」、「乞え -KOE-」、「BREAK ADDICTION」と激しい曲が続き、会場に強い一体感が生まれると、ライブはクライマックスへ。「Unscramble」ではTシャツを脱ぎ捨てた茂木が、岩本“leo”怜王(Dr)の重厚なビートに野性味溢れるパフォーマンスを見せ、それに応えるようにフロアから掛け声が上がる。
ツアーを振り返り、2年後に控えた30周年への展望を語ったラストのMCでは、「自分が燃えていれば、必ず周りも燃えていく。自分が腐ったら周りも必ず腐る。全部経験してきました。この寂しい時代、暗い時代。いびつでもいい、不格好、不細工、関係ねぇ。どうか燃えてて下さい!」と熱いメッセージを届けて、願いや祈りを込めるように本編ラストとなる「Fire」を披露。ここからも互いに燃え続けていくことを誓い合うように会場中で歌声を重ね、全員が完全燃焼してZepp DiverCity(Tokyo)ワンマンを締めくくった。
メンバーが観客への感謝の言葉を告げたアンコールでは、茂木の地元・群馬の仲間であるサッカー元日本代表、細貝萌とのエピソードを語ると、本人から借りたユニフォームを着用して、『HAZE』収録のバラード曲「Parallel Number」を披露。さらに旅路の終わりと新しい始まりを歌う「EVEN」と続き温かい空気で包むと、会場にいる子どもたちをステージに上げて大合唱した「日はまた高く」で多幸感溢れるエンディングを迎える。
一度死んで生まれ変わったくらいの気持ちで生み出した渾身作『HAZE』を掲げての長い旅を終え、30周年に向けた新たな旅が始まるG-FREAK FACTORY。9月20日(土)、21日(日)には彼らの地元・群馬の日本トーターグリーンドーム前橋にて、今年で10周年を迎える自身主宰の音楽フェス『山人音楽祭』も開催。ローカルバンドの最高傑作がまっさらな未来に描く、希望溢れる風景に引き続き期待したい。
G-FREAK FACTORY
"HAZE TOUR 2024-2025"
全35箇所36公演完
photo by @kazuyakohsakaa #GFREAKFACTORY pic.twitter.com/OLh96F0YyF
— G-FREAK FACTORY (@G_FREAK_FACTORY) May 17, 2025
SET LIST
01. アメイロ
02. YAMA
03. FOUNDATION
04. WHO UNCONTROL
05. REAL SIGN
06. ある日の夕べ
07. voice
08. RED EYE BLUES
09. STAY ON YOU
10. ALL FOR SMILE
11. Dandy Lion
12. HARVEST
13. Too oLD To KNoW
14. らしくあれと
15. ダディ・ダーリン
16. SOMATO
17. 乞え -KOE-
18. BREAK ADDICTION
19. Unscramble
20. Fire
ENCORE
21. Parallel Number
22. EVEN
23. 日はまだ高く