サンフジンズ対バン企画『問診過注射』、Creepy Nutsとオワリカラを迎えて2016年を締めくくる!

ライブレポート | 2016.12.21 19:00

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サンフジンズ対バン企画 “問診過注射2016” vol.9
2016年12月13日(火) 恵比寿LIQUIDROOM
TEXT:兵庫慎司
ライブ写真:ヒロ西澤、集合写真:勝永裕介

「2016年はサンのつく日にライブをやります」という趣旨で行われてきた、サンフジンズ対バン企画“問診過注射2016”のしめくくりとなる12月13日リキッドルーム。ふりかえれば、3月1・2・33daysの代官山UNIT(ゲスト関取花・Rei・本日休演)、4月3日リキッドルーム(ゲストROTH BART BARON)、5月3日下北沢GARDEN(ゲスト柴田聡子)、6月3日梅田クラブクアトロ(ゲストシャムキャッツ)、10月6日札幌サンプラザホール(ゲストUCARY&THE VALENTINE。)、11月3日大分DRUM Be-0(ゲスト王舟)、そしてこの日、の計9本。
他、1月13日に広島クラブクトロで「新春オペ」と題したワンマン、8月13日にROCK IN JAPAN FESTIVAL出演、11月16日には広島文化学園HBGホールのカープ優勝記念イベント『VIVA! 真赤激!』もあったので、全部で12本のライブを行ったことになる。各自本業も忙しかった年として考えると、リリースのない年にしてはかなり意欲的だったと言えましょう。あ、ケン・シューイ改めシシド・ヒフカに関しては、本業がどれかわからないようなものすごいスケジュールになっていますが。

今回のゲストはCreepy Nuts(R-指定&DJ松永)、そしてオープニング・アクトにオワリカラが出演。
「楽屋に置いてあった」という白衣を着て登場、「新人研修医のオワリカラです」とあいさつ、「へんげの時間」でスタート。続いてライブのキラー・チューン「踊るロールシャッハ」へつなげ、さらに普段フェスやイベントでは最後にやることが多い、後半に4人ともスパークしてすさまじいテンションのインプロ合戦と化す「ガイガンガール・ガイガンボーイ」になだれ込み、演奏の熱につられてフロアの歓声がどんどん大きくなる。でも今日、3曲で終わりなの? と思ったら、ラストにメロウな歌もの、「Q&A」をもってくるという、意表をついたステージだった。「いつかちゃんとした正医者になれるよう応援してください」という言葉で、全4曲のステージがしめくくられた。

次、Creepy Nuts。アウェイと踏んで執拗に自己紹介したり、白衣が楽屋にあったけど着ていない理由をまくし立てたり、「カイ・ギョーイ、すごい人やぞ。押したら干されるから!」などと吐いたりして笑いをかっさらってからフリースタイルで1曲やったあと、『たりないふたり』のタイトル・チューン、「爆ぜろ!! Feat. MOP of HEAD」、今の日本のラッパーのパターンを網羅した「みんなちがって、みんないい。」とたたみかけていく……というほど一気にやるわけではなく、曲前にていねいに内容を説明し、曲が終わるたびに「どうでした?」と訊くという大変に親切な進行の仕方。あとでカイ・ギョーイも「曲が終わると『どうでした?』って確認するの、新しい」と感心しておられましたが、そんなふうにしゃべりで徹底的にお客さんをほぐしたところで、フロアからお題を募ってそれをつなげてフリースタイルをやる「聖徳太子フリースタイル」へ。

「パン屋さん」「ディスペクト優勝」「広島カープ世界一」「クリスマス」「ミクシィ」の5つのお題をもらい、それをすべてつなげてフリースタイルでラップしていくさまをみんな息を呑んで見守り、きれいにすべてのワードを入れて曲が終わったところで大きな拍手が起きる。この段階で、アウェイの空気は完全に消えていた。
DJ松永の超絶スクラッチ・プレイでさらに歓声が大きくなり、「DJルーティン」「Dr.strangelab」からの「合法的トビ方ノススメ」でフロアがジャンプで埋まって終了。確かに最初はアウェイだっただろうが、きっと本人たちの期待よりもはるかに多くの人が、ぐっと掴まれたのではないかと思う。

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そしてサンフジンズ。何か、これまで自分が観てきたこのバンドのライブでベストかも、そう思うほど、ちょっとびっくりするくらいいいステージだった。それぞれのプレイ、出音、アンサンブル、グルーヴ、どこをとっても文句なしの大充実。カイ・ギョーイとジューイ・ラモーンのふたりとも、ベース・プレイがうまくなっている感もあり。

アルバム『スリーシンフサンズ』から「スリーシンフサンズ」を除く12曲、あとアルバム後に作った新曲「過注射」と「問診してください」を足した、アンコール含めて全14曲のライブ。カイ・ギョーイ(奥田民生)がギターでジューイ・ラモーン(岸田繁)がベースでインスト「サーフジーンズ」からスタート、4曲目「富士夫人」までそのフォーメーションのまま突っ走る。
「サンフジンズ好きのみなさんにとっての大忘年会にしたいと思います」「きみらクランケの底力を見したってくれ!」と、以前は後半の盛り上げ部分でやっていた「ハリがないと」を3曲目に持ってきて、フロアいっぱいにカンチョーダンスが広がるが、曲が終わったところでカイ・ギョーイ、「っていうか、この人たち、疲れてる。そんな体力のある人たちじゃないもん」とよけいなひとこと。フロアが笑いに包まれる。
叙情的な「パン屋さん」、淡々と深い「ふりまいて」、しみじみとギョーイとジューイのハモリを聴かせる「右から左」の3曲で、フロアをドープな空気で満たす中盤を経て、「サンフジンズ、来年はどうする感じなんですか?」「知らん」「来年は3のつかない日に……やらない」「じゃあ一緒やん」などというやりとりでちょっと場をグダッとさせるフロントのふたり。
軽快な「じょじょ」でまさに場をじょじょにあったかくし、フリーキーな「奇数したい」へ。ここでギョーイの「1曲やって『どうでした、今の』って聞くの新しい」話や、「月イチくらいでライブやってると、忘れる!」「サンフジンズが中心で、その隙間でユニコーンやってますから!」などという話が入り、続いてジューイが「ブーブーどうですかみなさん? ブーブーの免許持ってます?」と次曲のフリを始める。「免許なし、空手6級、英検5級、履歴書の右側真っ白。40にもなりまして、来年は絶対免許とります!」と言い切る。ちなみに彼がくるりの「ハイウェイ」で「みっつめは車の免許とってもいいかななんて思ってること」と歌ってから、すでに13年の月日が経過している。
ともあれ、そのようなフリから超アッパー&ファニーな「ちゅーきんキング」で、ステージの上も下も一気に温度が上がる。勢いあまってジューイ、「土手に佇む童貞、自分のこと全肯定──」などとフリースタイルまでぶちかまし、喝采を浴びる。ここで「童貞」というワードを出したのは、さっきCreepy Nutsの時のMCでDJ松永が26歳童貞であることをネタにしていたためだと思われます。
そして去年のアルバム後に作った「過注射」と、今年新しく作った「問診してください」の2連発で本編が終了した。

そしてアンコール。MCのたびにギョーイに「今日、改名を発表するんじゃないの?」と問われるも、そのたびに「まだ!」と答えていたジューイ、新しく買ったと思しきクイーンのブライアン・メイ・モデルのギターを提げて登場し、新しい名前を発表。ブライアン・メイイだそうです。名医とかけてるわけですね。という解説ほど空しいものはないですね。
「そのかわり」のブギーなギターと口笛でフロアを左右に揺らせ、3人で歌う壮大な「サンフジンズのテーマ」で、アンコールをしめた。最後にギョーイが「ありがとうございました、来年もよろしくお願いします。メリークリスマス、よいお年を」とあいさつした。

サンフジンズ、12月15日現在、公式サイトの「LIVE&EVENT」のページには「現在、公演の予定はありません。」としか記されていないが、中盤のMCでギョーイ、「まあ、来年もやりますから。そんなドカンとやらないことだけは覚えといてください」と言っていた。ドカンじゃなくてもいいです、継続的な活動だったらうれしいです。楽しみにしております。

サンフジンズ セットリスト

01. サーフジーンズ
02. さっさっサンフジンズ
03. ハリがないと
04. 富士夫人
05. パン屋さん
06. ふりまいて
07. 右から左
08. じょじょ
09. 奇数したい
10. ちゅーきんキング
11. 過注射
12. 問診してください

Encore
01. そのかわり
02. サンフジンズのテーマ

MUSIC VIDEO

■サンフジンズ 「さっさっサンフジンズ」MUSIC VIDEO

■サンフジンズ 「サーフジーンズ」MUSIC VIDEO

RELEASE

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