女王蜂主催対バンライヴ「蜜蜂ナイト3 ~フジヤマ・デスコ!~」ライヴレポート

ライブレポート | 2017.09.28 12:00

女王蜂主催対バンライヴ「蜜蜂ナイト3 ~フジヤマ・デスコ!~」
2017年9月14日(木)LIQUIDROOM
ゲスト:SILENT SIREN
TEXT:兵庫慎司
PHOTO:中野修也

女王蜂恒例の対バンシリーズ企画『蜜蜂ナイト』の3回目、今回は福岡・東京・大阪・東京でツアー形式で行われるのだが、その二発目、9月14日リキッドルーム、共演するのはSILENT SIREN。

SILENT SIREN

まずSILENT SIREN。6月から7月は各地のホール、夏フェスシーズンをはさんで9月から11月まで大都市の大会場を回る全国ツアー中の彼女たち。
出てきた瞬間に4人とも顔つきが何か違う。つねに笑顔だし楽しそうでもあるけど、なんかピッとはりつめたものがある。その顔つきも、10月11日リリースのニュー・シングル「ジャストミート」を含む全8曲のセットリストも、ライヴハウス・モードというかスタンディング・モードというか、攻撃的というかアグレッシヴな空気を放っている。
前述の、今行っているツアーのファイナルは日本武道館2デイズだし(11月13・14日)、横浜アリーナワンマンも成功させているし、海外ツアーも行っているし、言ってしまえばとうにでっかいバンドになっているわけで、その経験に伴ってキモも据わっているもんだと思っていたが、そうか、そういう人たちでも女王蜂が相手だと気合い入るんだなあ、と観ていて実感する。
演奏そのもの、歌そのものも然り。1曲目の「milk boy」から一貫して攻めのスタンスで、女王蜂のファンもじわじわと巻き込んでいく。4曲目に女王蜂の「デスコ」のカバーを披露してから「フジヤマディスコ」に入った時は、フロアが女王蜂ファンのジュリ扇とサイサイファンの扇子(グッズ)で埋め尽くされた。これぞ対バン!という光景で、かなり壮観でした。

なお、PAさんが同じ人なのがそもそもの縁だったこと、呼んでもらえて本当にうれしいこと、女王蜂のことは映画『モテキ』に出ていた頃から注目していて大好きであることをすぅ(Vo&Gt)がMCで告げていた。

すぅ(Vo&Gt)

あいにゃん(Ba)

ひなんちゅ(Dr)

ゆかるん(Key)

ああそうだ、その映画『モテキ』で女王蜂がライヴやってたのもここリキッドルームだったよなあ、とか思い出していたら、女王蜂がいつものようにひとりずつ出てきてお立ち台に上がってご挨拶、1曲目はお返しとばかりに「フジヤマディスコ」のカバーで始まったのだが、なんて言うんでしょう、その段階で、なんて言うんでしょう、家に帰ったら『モテキ』のブルーレイをひっぱり出して、そのシーンを見直そうと思いました。

アヴちゃん

アヴちゃん(Vo)

もう別のバンド。いや、ギターが替わってるしサポート・キーボードが加わっているので、具体的に違うとも言えるんだけど、そういう話ではない。4人が音を出した瞬間に空気がパッと変わる、そしてアヴちゃんが歌い出した瞬間にまた変わる。
たとえば奥田民生のMTR&Yみたいに、バケモノレベルのプレーヤーが集まっているのかというとそんなことはないと思うが、4人の音がガシッとまとまった瞬間の威力が、ハンパないのだ。
なんじゃこりゃ。音を浴びていて、そう言いたくなる瞬間だらけ。1ヵ月前にもこのバンドのライヴを観たばかりなのに、毎回毎回そうやって驚いている気がする。
四つ打ち主体のダンス・ミュージックで、こんな音圧で、こんなど迫力で、でもパンクやヘヴィ・ロック方面には転ばない軽やかさ・華やかさを併せ持ったライブをやれるバンド、今の日本にほかに存在しないと思う。いや、海外にもいないか。
さらにアヴちゃんのカリスマ性、そう、これはもう「カリスマ性」と言っていいと思うのだが、ライヴ一本ごとに上がっていきっぱなし。
曲中でパッとスーツを脱いで赤い衣装になるやつとか、もう何度も観ているのにそのたびに「キャー!」とか言いたくなる。おっさんにキャーとか言われてもアヴちゃんも困るだろうが、このかっこよさ、それこそ70年代の洋楽とかまでさかのぼらないと、比較すべき存在がいないのではないか。
ファルセットと地声で実質ツインボーカルみたいなことになる歌ももちろんすばらしいが、それ以前にステージに立っているだけで、間奏でフロアをじっと目線を注いでいるだけで、もう絵になること甚だしいというか。存在そのものがスターというか。
もとからそういうキャラクターなんだけど、何があったのか知らないが、よりいっそう加速してそうなり続けている。というか、『Q』というすばらしいアルバムを作れたことが、とても大きいのだろうが。あのアルバム以降ライヴの動員も目に見えて増えたし、フェスとかでのウケ方もはっきりと変わったし。

やしちゃん

やしちゃん(Ba)

ルリちゃん

ルリちゃん(Dr)

ひばりくん

ひばりくん(Gt)

ただ、こんなもんではないこと、これからもっともっと女王蜂はでかくなるであろうことが伝わってくるライヴでもあった。
個々が個々のままで、同調圧力に屈せずに生きていけること、それぞれの違いを認めることができる、自由で平等な世界になること。女王蜂が音楽で目指しているのはそのようなことだと僕は解釈している。で、ライヴに集まるファンの空気を観ていると、その目標が雑に扱われたり曲解されたりせず、ちゃんと理解されている、ちゃんと届いている感じがある。
ただ、そういうものを求めている人の数、たとえばZeppダイバーシティ満員(最新ツアーのファイナル公演)、くらいのわけがないと思う。もっともっといっぱいいると思う、この音楽が届けば間違いなく刺さる人が。

なお、アンコールでは、本編でもやった「売旬」を再びプレイ。すぅが加わってアヴちゃんとデュエット、というレアなものも見せてくれました。

 

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女王蜂

■女王蜂主催対バンライヴ
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(ユニバーサルミュージック)
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