tricot『MUNASAWAGI 2018』ラストは吉田雄介(Dr)プロデュース! カバー、レア曲、新曲ありの愛にあふれた特別な対バン

ライブレポート | 2018.05.26 15:00

tricot主催の4ヵ月連続イベント最終回『MUNASAWAGI 2018 ~やさしさに包まれたなら~』が5月17日(木)に渋谷WWW Xで行なわれた。
tricotのメンバーそれぞれがプロデュースしてきた『MUNASAWAGI 2018』もついにラスト!
第1回は中嶋イッキュウ(Vo&G)、第2回はヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)、第3回はキダ モティフォ(G&Cho)が企画し、毎回カラーの異なる好敵手たちとの対バンを繰り広げる中で、いかにtricotが型にはまらない自由な活動をしているか。そして、ライヴハウスシーンにおいてどれほどリスペクトされているかを、自然に証明してきたイベントだったように思う。昨年11月にバンドに加入した吉田雄介(Dr)が空きっ腹に酒、POLYSICSを迎えた第4回も、実に刺激的で大盛況の一夜となった。

空きっ腹に酒

House Of Painの「Back From The Dead」をSEに登場した空きっ腹に酒。のっけからシンディ(Ba)のスラップ奏法+いのまた(Dr)のタイトなリズムをド派手に轟かせ、西田竜大(G)のリフで「BOOOOM」に着火すると、田中幸輝(Vo)がポエトリーリーディング的な歌唱を重ね、あっという間にプチャヘンザ状態へ。“『MUNASAWAGI』へようこそ! ライヴを楽しむ準備はできてますか?”と煽りながら、間髪入れず「御乱心」に繋ぎ、よりいっそうガレージロック熱が吹き出せば、オーディエンスも踊り狂うしかない。

“今日は呼んでいただいてありがトイス!ありがトリコ!僕含めてここにお集まりの吉田ガチ恋勢のみなさまとね、楽しい夜になるんじゃないかと思っております。かかってきなさいよ!!”という田中のMCに続いて、今年立ち上げた自主レーベル・酔犬レーベルから3月にリリースしたニューシングル「酔.ep 」収録曲の「血が走るのがわかった」を披露。赤紫色の照明の下、キーボードの音色を同期させつつ、孤独と切なさで踊れるディスコ感は間違いなく新機軸だった。「キョとムー」にしても、ささくれ立ったテンションやタフな気概、淡い歌心がいい塩梅で混ざり合っていて、滲み出る哀愁がたまらない。

「17歳の気怠い1日」の途中で突如tricotの「よそいき」をカバーしたり(練習するためにわざわざオフィシャルの教則動画を買ったとのこと!)、高校生のときにPOLYSICSが大好きになってなんばHatchにライヴを観に行ったというエピソードを語ったりと、初見のお客さんも巻き込んで楽しませた。「夜のベイビー」ではミラーボールが回るレイドバックムードの中、《インザハウス!》のコール&レスポンスを起こし、田中が果敢にフリースタイルも。“《パッパッパッパラ》の部分を歌ってほしい!”と訴えた「正常な脳」を最後に爆速で叩きつけ、空きっ腹に酒は喝采を浴びてステージを降りたのだった。

POLYSICS

続いてはPOLYSICS。登場するなりハヤシ ヒロユキ(G&Vo&Syn&Prog)が観客をアジテートし、いきなりの「カジャカジャグー」でナカムラ リョウ(G&Vo&Syn)の轟音ギターも冴えわたる。「That's Fantastic!」になれば、ヤノマサシ(Dr&Vo)のリズムに乗ってフロント3人はジャンプジャンプ! 最新アルバムの表題曲が今なお抜群にかっこよくて、シンプルなワードを叫び合うだけでフロアーを揺らすことができるのがすごい。ハヤシが何かとやりやすそうなのを見るにつけ、昨年10月から新メンバーとなったナカムラの存在感の大きさ(シンセ使いも絶品!)が伝わってくる。

“tricot、呼んでくれてありがトーーーイス!!!! 前に対バンしたときは俺ギックリ腰だったのよ。今日は完全体だから! いつもどおりのヒロヒロが見せられて嬉しいね(笑)”とハヤシ。レアなセットリストだったのはtricot吉田のリクエストに応えてのことだそうで、“ひさびさに演奏する”というハヤシ×フミ(Ba&Syn&Vo)のクロスヴォーカル猛進ナンバー「機械食べちゃいました」なども飛び出す。

「シーラカンス イズ アンドロイド」の間奏は4人になったPOLYSICSの爆発力をビシバシ感じたし、フミがメインヴォーカルで引っぱるヘドバン曲「How are you?」でのハヤシ&ナカムラのギターソロバトル(ハヤシは歯弾き!)、「MEGA OVER DRIVE」でヤノがブレイク明けするタイミング…何から何まで最高で、さすがの20年選手ぶりに歓喜するばかり! 激烈にアゲまくったのち、ラストはナカムラのやわらかなシンセメロとヤノのパキッとしたドラムに乗るハヤシのヴォーカル、フミのヴォコーダーが心地よい「You-You-You」で、興奮冷めやらぬステージをポップに締めた。

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