【fox capture plan】観客の身体を揺らし、想像力を刺激し続けた “CAPTURISM TOUR”-FINAL-をレポート!

ライブレポート | 2018.11.14 15:00

fox capture plan"CAPTURISM TOUR"-FINAL-
2018年11月4月(日) EX THEATER ROPPONGI

現代版ジャズロックをコンセプトとした新感覚ピアノトリオ、fox capture plan(以下fcp)が11月4日(日)に東京・EX THEATER ROPPONGIにて全国ツアーのファイナルを迎えた。ドラマ『カルテット』や『コンフィデンスマンJP』、『健康で文化的な最低限度の生活』など、多数の人気ドラマの劇判も手がける彼らは、今年9月5日に通算7枚目となるアルバム『CAPTURISM(キャプチャリズム)』をリリースし、京都と東京でレコ発記念ライブ『CAPTURISM TOUR -KICK OFF LIVE-』を開催。その後、10月5日の北海道公演を皮切りに、全国8カ所に及ぶツアー『CAPTURISM TOUR』をスタートさせ、名古屋、仙台、山形、岡山、福岡、大阪を経て、最終公演となるこの日の客席は満員となっていた。

開演の予定時間が10分ほど過ぎた頃に、突如BGMがブツッと切られ、場内が暗転。真っ暗闇となる中で、ステージ後方に設置された巨大スクリーンに三角形が3つ重なるfcpのロゴが映し出された。やがて、クラゲがたゆたう映像に切り替わり、ツアータイトルが投射されると同時にお揃いのスーツで揃えた井上司(Drums)、カワイヒデヒロ(Double Bass)、岸本亮(Piano)のメンバー3人と共にストリングスの4人が登壇。タイトルがブルーノートの偉人たちを想起させる「Greatest Blue」でライブをスタートさせた。根本にはモダンジャズ的アプローチがある楽曲だが、ドラムはロックのダイナミズを湛えており、エレクトリック・アップライト・ベースを抱えたベースは、弓を使って音像を揺らしたかと思えば、足元のエフェクターを使ってシンベやウッドベースの音色にも変化。ピアノは速いパッセージを力強いタッチで弾きまくり、最後は立ち上がって曲を締めると場内からは大きな拍手が湧き上がった。

Ryo Kishimoto(Piano)

Hidehiro Kawai(Double Bass)

Tsukasa Inoue(Drums)

40〜60年代のモダンジャズから70年代のエレクトリックジャズやフュージョン、80年代のヒップホップやテクノ、90年代のレアグルーヴやクラブジャズに00年代以降のエレクトロニカやニュージャズまで。さまざまな音楽から独自の感性に沿って取捨選択し、現代のテクノロジーやオントレンドなサウンドを加えて再構築した先に、この三人でしか鳴らせない“キャプチャリズム”という、オリジナルのリズムと主義が浮かび上がらせていく。

移りゆく景色や形を変えていく水の映像と共に音を出すたびに異なる風景を引き連れてきた「Cross View」「行雲流水」に続き、ドラマ『コンフィデンスマンJP』のメインテーマ「We Are Confidence Man」のセルフカバーでは、それぞれが長めのソロを展開。岸本は自身のソロを終えた後に喝采と口笛を浴びると両手を上げてガッツポーズをしてみせた。

 熱量が高いライブパフォーマンスを繰り広げる彼らだが、MCとなると一変。岸本が「ありがとう東京! ありがとう六本木!!」と不器用に手を上げて(ピアノはあんなに器用なのに!)挨拶すると、観客は拍手半分、苦笑半分というムード。AMラジオのようなゆるめのトークにカワイが「早くしろよ!」と急かし、岸本が「一部だけ笑ってて、全体的には笑ってないのがfcpの名物MCです」と自己紹介すると、カワイが「自分で名物って言うなよ!」とつっこむという絶妙なやりとりが、彼らのライブの楽しみの一つでもある。さらに、合計10本のツアーに加え、毎週末にどこかでライブをやっていたことにも触れ、「体調を崩したりとか、大変なこともあったんですけど、こうして健康で文化的にライブができるのが本当に素晴らしい」と、自身が劇伴を手がけたドラマのタイトルにかけて拍手をもらうと、突然、岸本が「俺たちの音楽を聴いてくれ!」と叫び、カワイに「キャラ変わりましたよ。急な車線変更やめてください」と苦笑いされながら、トリオによる演奏パートへと突入した。

乱調やノイズの中に美を見つけるアシッドジャズ「衝動の粒子」、逆光に映えるシルエットの中でプレイされたエレクトロニカ「Mad Sympathy」、テンポを自由自在に変えながら、ピアノとドラムのソロバトルが繰り広げられた「Liberation」、点滅する光と扇動的なアンサンブルによるダンスロック「疾走する閃光」、目と音の両方で聴き手の心をかき乱した「Brianstorm」と、生楽器と電子音、和と洋、破壊と再生を融合したようなサウンドと、岸本曰く「なかなか鬼気迫る感じがあってよかった」と言うセッションのような演奏でトライバルな祭りに参加したような高揚感を与え、満員の観客を熱狂させた。

ライブの後半では岸本が「色っぽくて美しい。よく行くカレー屋さんのBGMとして聴いてた時からいい曲だと思っていた」という、R&BシンガーNe-Yoの「Because Of You」をカバー。そして、流麗なピアノソロから3人の会話のような音のやりとり(イントロ)を経て、アルバムのタイトル曲にして、オープニングナンバーである高速の変拍子「Capturism」ではバンドが1つの大きな塊になったような一体感をみせ、この日、最大の大きな拍手と歓声を浴びた。

再びストリングスを呼び込み、アルバムのラストナンバーである「Paradigm Shift」からファン人気の高い「Butterfly Effect」と、端正ながらもドラマチックな楽曲を続け、スケールがどんどんと広がっていく演奏に自然とクラップが湧き上がった「RISING」で、興奮の渦の中で本編は終了。鳴り止まない拍手に応えて再登壇した岸本は「ステージの上の自分が一番素の自分なのかな?」と独りごち、ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』のメインテーマである「LIFE」のセルフカバーから、歌ものかと思うほどキャッチーなメロディにバスドラの四つ打ちによるクラブミュージック「エイジアン・ダンサー」の2曲を披露。最後まで観客の身体を揺らし、想像力を刺激し続けてくれたステージだった。

なお、fcpは現在、オンエア中のアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の劇判を担当している。

公演情報

ディスクガレージ公演

fox capture plan 次回公演情報

■富山市民プラザpresents THE MUSIC FLaSH Vol.10
2018年12月4月(火) 富山市民プラザ 4Fアンサンブルホール

■テスラは泣かない。 “High noble MATCH !” 10th Anniversary Year -クライマックスシリーズ-
2018年12月14月(金) eggman[渋谷]

■“bud music 10th anniversary”
2019年1月19月(土)20月(日) 磔 & KYOTO MUSE

RELEASE

「CAPTURISM」

7th Full Album

「CAPTURISM」

(Playwright)
​2018年9月5日(水)SALE
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 」

オリジナルサウンドトラック

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 」

(アニプレックス)
2018年11月14日(水)SALE
  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

  • PHOTO

    Takahiro Takinami

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