ストーンズ、エアロスミス、アデルも「No!」トランプ氏にミュージシャンたちが曲の使用禁止を要請

ニュース | 2016.05.06 18:30

米大統領選で共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプ氏。すでに対抗する与党の民主党だけでなく、共和党内でも様々なトランプ氏への批判や拒否反応が起きているが、音楽界でも多くのミュージシャンが、「集会で自分たちの曲を使用しないように」と要請し続けている。4日にはザ・ローリング・ストーンズが自分たちの曲「スタート・ミー・アップ」の使用を拒否すると発表した。今回はトランプ氏に「No」を叩きつけた曲を紹介してみたいと思う。

ザ・ローリング・ストーンズ「Start Me Up」

ライブのオープニングに使用されることも多く、かつてマイクロソフトのCMに使用されたこともある。大統領指名候補を確実にし「ここからがスタート地点」という事を集会でアピールしたかったのだろうが、バンド的には「どうぞ使用して下さい」とはとても言えないようだ。

エアロスミス「Dream On」

エアロスミスのデビュー作に収録されたクラシック。「夢を実現する」という響きの良さから使用したようだが、2015年10月の集会で使用したところボーカルのスティーヴン・タイラーの代理人からトランプ陣営に「使用しないように」と書面で要請。8月にも同様のクレームを入れていたが無視して使用していたため、メディアでも大きく取り上げられることとなった。以前ミスコンの審査員にスティーヴンが招かれて「ロシアに一緒に行く」など交流もあった2人だが、現在の悪評に「トランプ支持者と思われたくない」とスポークスマンを通して書面で拒否を示した。

アデル「Rolling In The Deep」

「私の心に火がつき始めている。もうすぐ火は頂点に達して、暗闇から連れ出す」という冒頭の歌詞など、立候補者的には鼓舞するような歌詞から始まるアデルのヒット曲。アデルとしては「反トランプ」というより、「いかなる政治キャンペーンに楽曲を使用することを認めません」というスタンスであることを表明している。

R.E.M.「It’s The End Of The World」

政治的なスタンスや思想から考えても100%「No」と思われる曲を、平気で使用してダメ出しされている印象だが、最も怒りを見せたのがR.E.M.のマイケル・スタイプだ。自身のツイートで「恥を知れ。哀れな目立ちたがりで権力を誇示する小心者」と名指しで批判。バンドが解散しているにも関わらず、「政治活動に使用することは許可していない。メディアや有権者はスタンドプレーする政治家が、大統領選キャンペーンの本質から目をそらそうとすることを見逃してはならない」と異例の声明を発表した。

彼らのインディー時代の名曲の1つで「知ってのとおり これが世界の終わり とてもいい気分だ」という皮肉たっぷりの歌詞をぶち込んでくるあたりは、かなり確信犯。同じような手法で、同じくトランプを支持しそうもないニール・ヤングの「Rockin’In The Free World」を使用し、これもNGに。ここまで来ると声明通り、話題性のための炎上を狙った選曲というのは明らかだ。

 

その一方で、曲の使用を「どうぞどうぞ」とトランプ支持に回っているバンドが

・Twisted Sistar「We’re Not Gonna Take It」

80年代のハードロックバンドの名曲だが「自分たちの権利を取り戻してるか?人には上も下も無いから自由に生きようぜ 俺たちには選ぶ権利がある」と、何気に選挙キャンペーンにピッタリな歌詞だったりするのが驚きだ。「俺たちは正しい。俺たちは自由だ。俺たちは戦う。」というフレーズなどもトランプ氏支持層との相性が良い印象を受ける。

今回のトランプ氏に限らず選挙キャンペーンに曲を使用されることをミュージシャンが拒否する例は、選挙の恒例行事というか、もはや風物詩といえるもの。特に保守派候補が使用した時に、ロックミュージシャンが使用自粛を求めるケースは多い。一方でミュージシャンが政治家の応援を積極的に行なうことも多く、選挙時期になると政治と音楽が密接に絡み合うのもアメリカの特徴といえるだろう。

記事提供:AOL News