本当に素晴らしいアルバムが完成した。近年のKREVAは、本作を生み出すために自らの音楽性を研ぎ澄ませていたのではないか。そう思わせるほどの最高傑作だ。EDM=エレクトリック・ダンス・ミュージックをヒップホップの力学をもって昇華したサウンド・デザインの独自性においても、ラップのスキルと精度においても、メッセージの説得力においても、そしてポピュラー・ミュージックとしての求心力においても——つまりどの切り口から捉えても、絶対にKREVAにしか創造できないと断言できるエレメンツで本作は形作られている。最高傑作の誕生を、心から祝福したい。
── 素晴らしいアルバムが完成しましたね。
「リスナーはもちろんですけど、いままで作ってきたアルバムのなかでいちばん他のミュージシャンたちに聴いてもらいたい。でも、そんなに思いつめた作品ではないんです。だから自分では“何気に傑作”って言っているんですけど(笑)。真摯に音楽と向き合って、新しい曲作りのアプローチにチャレンジしながら、明るいアルバムを作りたいと思った。それがよかったんだと思います。逆に言えば、真摯に音楽と向き合ったからこそ、ただ明るいだけのアルバムにもならかった。そういう意味でもすごく俺らしい作品になったと思いますね。客演もないし、“これが俺のアートだ”っていう気持ちがある。新しいことをやったんだけど、結果的に過去にリリースしたすべてのアルバムの要素が入っている作品にもなったなと思います」
── まず、今回は明るいアルバムを作りたいというところからスタートしたんですよね。
「はい。いままで明るい方向に振り切ったアルバムって実はなかったから。そういうものを作ってみようかと。いまはライヴをするためにアルバムを作るみたいな流れがあるじゃないですか。それも考えてメロウな曲とかはあんまり作らなかったですね」
── でも、結果的にこのアルバムは、ただ明るいだけの作品にはならなかった。KREVA節とも言えるメロディアスな部分とかメロウな部分がところどころににじんでいて。それがこのアルバムを音楽的に豊かにさせていると思うんですよ。
「そうだと思います。俺がやればどうしたってそうなるというかね。だから、何も考えずに作ったらメロディアスだったり、メロウな曲ばかりができるから、あえて切ないコード感とかを意識的に抑えようとしたんです」
── 明るい方向に寄せることで、新しい扉を開こうとしたっていう。
「そうそう。切ない感じがにじむのは音楽家としての根本的な性質みたいなところがあるから。明るいものを作ろうとすることで、まさに新しい扉を開きたいという気持ちがあったんですよね」
── あとは客演が一切ないのもポイントですよね。
「そうですね。ホントは、明るく楽しいムードを出したいなら、ゲストは必要だと思っていたんだけどね。でも、最終的にはこのアルバムはひとりでしっかり音楽と向き合ったほうがいいなと思って。トラックは提供してもらっているものもあるし、完全にはひとりではないんだけど、客演なしというのはデカいですね。間違いなくそれがこのアルバムをよくしていると思う」
── サウンド面では、EDMをいかにKREVA流に昇華するかが肝だったんですよね。
「一昔前はヒップホップが音楽の流れを変えていた時代があったんだけど、いまはEDMがそれに代わる存在になっていて。EDMと向き合いながら、でも4つ打ちでラップするのはサッカーとフットサルくらい違う感覚があるから、それはやりたくないなという思いがずっとあったんですよね。それを踏まえて、EDMで使われるようなシンセ・サウンドを取り入れつつも、ビートはヒップホップらしいブレイクビーツ的な音が鳴っているトラックのイメージを追求したんです。曲を作りながらその方法論の精度がどんどん上がっていくのを実感しました。あと、こだわったのは、ミニマムなサウンドの趣のまま曲を進行させながら、自然とコード感を変えて広がりのあるフックへ繋げるという。それも今回ひとつのパターンとして追求しました。それができたことで音楽的な豊かさが増したと思うし、ちょっと他にない音楽性を具現化できたと思います」
── リリックはウイットに富んだものから情感に訴えるものまで、音楽と真摯に対峙しているKREVAの姿が浮かび上がるものが多いですね。
「俺にしか言えないことをラップして唄おうと思うと、やっぱりどうしても音楽と向き合っている自分を描くことになるんですよね。自分のことを唄っているから入口はミクロなんだけど、ミクロを突き詰めると、その先には多くの人に通じるようなマクロな広がりが生まれると思うんです。M2“SPACE”のリリックに〈入口は ミクロ その先は マクロ〉というフレーズがありますけど、それはアルバム全体のテーマでもあります。わりと早い段階で『SPACE』というアルバム・タイトルにしようと決めていました。それは、今回の制作で運動したあとに曲ができたり、歌詞が書けたりすることが多かったからで。この1年くらい水泳を一生懸命やっているんですけど、曲作り以外の何かを集中してやる時間を作ると、曲作りに戻ったときに頭のなかにスペースが生まれて、アイデアもシュリンクすることができる。その好循環をすごく実感したんです。タイトルとテーマを『SPACE』にしようと決めてから、同じワードをいくつかの楽曲に散りばめたり、歌詞にも統一感を出すことができました」
── ツアーも楽しみですね。
「このアルバムを軸にライヴをやるのがホントに楽しみで。ライヴを観ているときは音楽に浸ってもらって、終わったらお客さん一人ひとりのなかにスペースが生まれたらいいなと“夢中になるってこういうことか”って思ってもらえたら」
2013年3月29日(金) | 三郷市文化会館 大ホール | 18:30 開場 / 19:00 開演 | 全席指定 :6,000円 (税込) |
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2013年3月30日(土) | 栃木県総合文化センター | 18:00 開場 / 18:30 開演 | 全席指定 :6,000円(税込) |
2013年4月23日(火) | 神奈川県民ホール 大ホール | 18:00 開場 / 18:30 開演 | 全席指定 :6,000円(税込) 着席指定席:6,000円(税込) |
2013年5月25日(土) | 東京国際フォーラム ホールA | 17:00 開場 / 18:00 開演 | 全席指定 :6,000円(税込) |
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2013年5月26日(日) | 東京国際フォーラム ホールA | 14:00 開場 / 15:00 開演 | 全席指定 :6,000円(税込) |
受付期間:受付中〜 3/12(火) 23:59 ※規定枚数になり次第終了いたします |
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