眩しい白さ、というのは言うまでもなくCMの中だけのファンタジーだ。どんなに鮮やかな白も現実の世界においては刻々とその鮮やかさを失うことになる。それによって味わいを増すこともあれば滋味が深まることもあるけれど、やはり汚れてしまうということはなんとなく切ない。ダーティーでなければ生きていけない、クリーンでなければ生きている資格がないことは明らかだとしても、程良くダーティーでクリーンであるのはとても難しいことなのだ。
それでも、とkainatsuは思う。
「わたしの音楽を聴いてくれる人は“なんで汚れちゃうんだろう?”と考える人なんじゃないかなって勝手に思ってるんですよね。というか、汚れちゃったら“それでもいいや”と思えればいいんだけど、それができないっていう人に向けて歌ってるんだと思うんです。特に今回のアルバムは。そういう面倒臭い自分でいいじゃんっていうことを。なんとか自分と付き合っていこうよ、自分を否定するのはもったいないよって」
そう語る彼女自身、「面倒臭い自分」をずっと抱えている人なんだけれど、『LiFEWORK』と題した新しいアルバムで、11編のショートストーリーの中に11人のヒロインを描き出すことを通して「面倒臭い自分」との葛藤を抱える人たちと気持ちをシェアし、そうすることでともに新しい一歩を踏み出そうとする。
「今回のアルバムは曲ごとにいろんな女の子が出てくるんですけど、それはここまで生きてきたわたしの、例えば20代前半の頃に感じていた葛藤だったり壁だったり悩みだったりを投影しながら、いまがんばっているそういう世代の女の子たちといっしょに、“肩の力を抜きつつ、がんばっていこうよ”というメッセージを込めた曲が多いんです。わたし自身、肩の力が入っている感じで音楽を作ってた時期もあったけど、それもわたしが歩いてきた道のりであって、わたしはわたしというものから逃げられないんですよね。それは、みなさんもそれぞれにそうだから、だからこそわたしが先頭で引っぱっていくというような感じじゃなくて、隣に並んで肩をポンと叩き合ったりしながらいっしょに人生というものを走り抜けていくっていう感じで、わたしはわたしを生きていく、ということが自分のライフワークなんだなと思ったんです」
ここで聴くことができる彼女の歌声が聴き手の気持ちにすっと寄り添うのは、彼女が自分の存在を押し出すのではなく、自分の音楽を聴き手の気持ちと共振させたいと願っているからだ。
七夕の日曜日に行われるニュー・アルバムのリリース記念ライブは、彼女の歌とキーボードにギターとバイオリンというトリオ編成で臨む。
「そのシンプルな編成で、言葉とメロディを抽出してお送りするので、ニュー・アルバムの世界をより濃厚に感じてもらえると思います」
そこで彼女が伝えるのは、聴く人をハッとさせるような眩しさなどではなく、その人の気持ちを包み込むような優しさであるはずだ。
2013年7月7日(日) | Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE | 17:00 開場 / 17:30 開演 | 全席指定:3,500円 (税込) |
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受付期間:5/1(水)19:00〜5/10(金) 23:00 ※規定枚数になり次第終了いたします |
NEW ALBUM 「LiFEWORK」
(Delicious Deli Records)
●5/29NOW SALE
※初回限定盤
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