——7月にデビュー10周年を迎えましたが、どんな心境でした?
「デビューに起点を置いてなかったので、全然実感がないんですけど、もともとが飽きやすくて、何も継続しないタイプなので、そう考えると、よく走っていたなぁと思います」
——6年目に発表したベスト盤で、ご自身のなかでひと区切りをつけてましたね。
「当時は、ただ生まれるものを楽しんでいた時期が過ぎて、少し息切れしたんですよね。いろんな意味で疲れ始めてたところもあって。そこからはひと段階、違うステージでやってるかな」
——その後の2作、『JAPANESE POP』と『勘違い』は、死や別れ、終焉を匂わせる作品になってました。
「本当にただただ疲れちゃってたんですよね。正直、“これは無理だ、死ぬ!もう辞めよう!”って思ってたんです(笑)。肉体的にも体調が悪かったし、体調が悪いと精神的にも落ち込んでしまうし…。だから、とにかくもう、進みたくないと思ってた。特に、『永すぎた日向で』なんかは、“これを歌えばもう終われるかな”という安堵感を抱いてた曲なんですけど、歌ったことで道の続きが見えた曲でもあって。それに、子供ができたことも1つの救いでしたね。全くもって辞めようと思っていたところから、自分の人生に、無理矢理にでも続きができた。だからといって、すごく意欲が湧いてきたわけではなく、今は自分の人生の道のりを、わりとぼんやり眺めてるような状況です」
——そんな中、7枚目となるアルバム『グッド・バイ』が完成しました。「さよなら」というタイトルですが、アルバムを通して聴くと、後ろ向きでダークなトーンでは決してないですよね。
「そうですね。最初はもう少し鬱々として沈んだ曲や悲しくて寂しい曲も多かったんですけど、もうちょっとポップな曲や、一緒に上に持ち上がる曲、現在を大事にできるような曲をやりたいなと思って、3曲ほど入れ替えたんですね。アルバムのタイトルも、最後の曲も『グッド・バイ』だけど、それも、どちらかというと、終りではなく、始まりの曲というか。ここから生き返す、ここからまた生きていくっていう曲なんですね。未来のあるお別れと言えばいいかな?ここでしぼんで死んでいくということではなく、明日に進んでいくという意味でのグッド・バイだと思ってて」
——1曲目の「ようこそここへ」も恋のはじまりの曲になってますし。
「そうですね。ちょっと大人の恋というか。年を重ねると、誰しも過去があるじゃないですか。だから、新しく恋をしたとしても、自分のなかでうまくまとめられない気持ちとか、消せない思いというのがあるから、なかなか口にできないっていう曲になってて。映画『四十九日のレシピ』の主題歌として日本語歌詞をつけた『Aloha 'Oe アロハオエ』も会えなくて悲しいっていう気持ちの先を、その続きを歌っているし、アルバム全体としても、すっきりと何かを始めようっていうことじゃなくて、歩んできた道のりがあって、その先に進んでみようという感じなのかなと思います」
——10月末からはバンドツアーも決定しました。
「この夏のフェスを一緒にまわったメンバーとやるんですけど、すごく楽しかったし、とっても広がる音をくれる仲間たちなんです。アルバムは10曲と少なめにしたので、半分くらいは旧曲を混ぜつつ、バンドらしいツアーになるんじゃないかなって思います」
2013年11月24日(日) | 渋谷公会堂 | 16:15 開場 / 17:00 開演 | 全席指定:5,500円(税込) |
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7th ALBUM「グッド・バイ」
(cutting edge)
●10月2日(水) ON SALE
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安藤裕子 (2013.9月号掲載 DI:GA interview)