KANのライブは楽しい。2005年から、ピアノと歌だけのシンプルな弾き語りライブを展開するようになってから、バンド編成ライブの楽しさがいっそう際立つようになった。が、そうは言っても、ただ面白いおかしいことをやっているわけではないし、そういう短絡はむしろ忌むべきものと彼は考えている。
「あくまでも、音楽的に面白くないと駄目ですから。だから、アレンジして演奏することと、面白く楽しくすることが別のところにあったら駄目だと思うんです。音楽をちゃんとやってるからこそ、いろんなふざけ方もできるわけで。それに、それが必ずウケるとも限らないし(笑)。それでも、やってるほうがどれだけ音楽的に“これは面白い!”と思ってやれるかということが大事で、そういう気持ちでやってるほうがじつはその面白さもより伝わると思うんですよね」
というわけで、バンド編成でのツアーとなる今回も、KANとバンドの面々はさらなる音楽的高みを目指す。もっとも、キャリアを積み重ねるなかで、KANがライブで求める音像も少し変わってきた。その変化の方向性は、ひと言で言えば「必要最小限」ということになる。
「ZEPPくらいの空間でやると、音の数もそれほど要らないというか、CDの音を再現しようとしてシークエンスを鳴らすと単純に音数は増えて、5人以上の音になるわけですよね。だけど、音数が増えるとグシャッとなりやすいということもあるし。だから、シークエンスを使わずにどうやってCDの感じを作り出すかということを、バンドのメンバーみんなで考えるわけです。その結果、キーボードの人の負担が増えるということが多いんですけど(笑)。でも、キーボードの矢代(恒彦)さんはデビューのときからずっとやってもらってて、無理だと思えることをなんとかやりくりしてやってみせるかということについては、意地でもやり遂げるというタイプの人ですから。ステージ上のキーボードの位置は奥まってますし動きがないのでお客さんにはわからないと思いますが、曲によっては相当曲芸めいたこともやってるんですよ」
今回はコーラスとして菅原龍平が加わり、ステージ上のメンバーは一人増えることになるが、方向性は変わらない。
「コーラスに関してはいままでドラムの清水(淳)さんとベースの西嶋(正巳)さんががんばってやってくれてたんですけど、専門ではないので、“コーラスが一人いるとすごく助かるよね”という気はしてたんです。それに、コーラスが入るとやれる曲のレパートリーもすごく増えるなと思って。それでも、アレンジは必要最低限の音数で考えます。だから、菅原くんも、“これはどうしてもギターがもう1本要るな”というとき以外ギターは弾きません」
楽しいステージ・パフォーマンスの陰に、アクロバティックなプロの技と、ストイックなアレンジメントの妙あり。今回も、KANのライブがあくまで楽しく、そして見どころ、聴きどころがいっぱいだ。
2014年3月29日(土) | 東京国際フォーラム ホールC | 17:00 開場 / 18:00 開演 | 全席指定 ¥7,000(税込) | KAN(ピアノ・ボーカル) / 清水淳(ドラム) / 西嶋正己(ベース) / 矢代恒彦(キーボード) / 佐藤大剛(ギター) / 菅原龍平(コーラス) |
---|
2014年2月16日(日) | Zepp Tokyo | 17:00 開場 / 18:00 開演 | 全席指定 ¥7,000(税込) | KAN(ピアノ・ボーカル) / 清水淳(ドラム) / 西嶋正己(ベース) / 矢代恒彦(キーボード) / 佐藤大剛(ギター) / 菅原龍平(コーラス) |
---|---|---|---|---|
2014年2月17日(月) | Zepp Tokyo | 18:00 開場 / 19:00 開演 | 全席指定 ¥7,000(税込) | KAN(ピアノ・ボーカル) / 清水淳(ドラム) / 西嶋正己(ベース) / 矢代恒彦(キーボード) / 佐藤大剛(ギター) / 菅原龍平(コーラス) |
KAN(2014.1月号掲載 DI:GA interview)