真実はゆっくり現れる。あるいは、真実にたどり着くには時間がかかる。もちろん、3段飛ばしで階段を駆け上がるようにして真実をつかみ取る人もいるだろうが、少なくとも半崎美子はそういうタイプではない。それは言い方を換えれば、副作用があるかもしれないし対処療法的でしかないかもしれないことはわかっていても、とにかく効き目の早い薬を選ぶということではではなく、体の深いところに馴染んでいって、体自体が元気になることを促す漢方薬を選ぶようなことかもしれない。
「“選んできた”と言えば聞こえはいいですけど、そうなってしまっているというほうが近いかもしれません」と、彼女は言う。歌いたいという思いだけを抱えて北海道から上京した彼女に、おおよそ世間は優しくはなかった。だから、“自分だけを頼りにやっていこう”と彼女が考え、音楽を作って歌うということ以外のすべても自分でやっていく形に落ち着いたことは自然な成り行きだったのだろう。が、その形になったおかげで、自分の音楽が進むべき先、そして自分自身が求めているものに気づくことができたのだ。
「作り手と売り手が同じ、という形になっているから、やっていくなかで矛盾がいっぱい生じてくるんですけど、でも自分でいろんな事務作業をやることでわかることが、その矛盾を凌駕するくらいいっぱいあって、音楽にもいい影響をおよぼしているように思うんです。それに、お客さんと直接やりとりしていて感じるのは、今わたしの音楽を聴いてくださったりコンサートに来てくださったりしている人たちというのは、音楽だけを求めているというわけではなくて、もうちょっと広いコミュニケーションというか…そういうものを求めてるような気がして。その求めているものに寄っていきたい気持ちがあるから、また歌が変わってきていると思うんです」
考えてみれば、そもそもの最初から音楽のスタイルや活動の仕方にこだわっていたわけではないのだ。そうした“形”よりも、伝わること、そしてつながることが彼女にはいちばん大事だった。2月19日にリリースされる5曲入りのニュー・シングル「ただいまの約束」にも、そうした素直な情感を真っすぐに伝えようとする歌が並んでいる。彼女は、そのニュー・シングルを携えて全国をまわり、5月18日には彼女のキャリアではこれまででいちばん大きな規模になるワンマン・ライブを赤坂BLITZで行う。
「いままでの蓄積に加えて、新しいシングルを持って全国をまわる先々で燃料を補給して、そのたどり着く先が赤坂BLITZという感じなんですけど、BLITZではそういうふうにため込んだものを思いきり使いたいなと思ってるんです。いままでずっと貯金してきた、その貯金箱を割る日にしたい感じというか(笑)」
彼女がBLITZで割ってみせる“貯金箱”の中には、きっと彼女にとっての真実が収まっているだろう。そこにたどり着くのに、彼女は十分な時間を過ごしたのだから。
2014年5月18日(日) | 赤坂BLITZ | 15:30 開場 / 16:00 開演 | 指定席 ¥4,500(税込) | ※就学児童以上要チケット ※小学生の方は、入場時に1,000円をキャッシュバック! 年齢の判る書類や生年月日が記載された証明書をお持ちください。 ※学生(中学生~大学生)の方は、入場時に500円をキャッシュバック! |
---|
受付期間:受付中~2月7日(金)23:00 ※規定枚数になり次第終了 |
NEW SINGLE「ただいまの約束」
(BounDEE by SSNW)
●2月19日(水) ON SALE
半崎美子オフィシャルサイト
DISK GARAGE.com 半崎美子 アーティストページ
半崎美子(2014.2月号掲載 DI:GA interview)