前作『新呼吸』から3年。Base Ball Bearが誰も手をつけてなかったテーマと徹底的に“真顔”で向き合い、その比類なき音楽力を浮かび上がらせる大傑作『二十九歳』を完成させた。個人的に本作が2014年上半期のベストディスクであると確信している。小出祐介の聞き逃せない声をモノローグでお届けしよう。
前作『新呼吸』は精神的な部分からすべてを引き出すみたいな制作だったのでめちゃくちゃ消耗したんです。でも、今作は自分の作中におけるスタンスが一歩引いてるんですよね。僕はずっと自分の音楽表現におけるテーマは“表裏一体”だと思ってたんです。1stアルバム『C』は“DEATHとLOVE”。2nd『十七歳』は青春そのものをテーマにしているように見えて、過去にフォーカスを絞りすぎているがゆえに現実が希薄になっている部分が浮かび上がってる。3rd『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』は自分の心の壁についての作品で、光がどこにあるかわかっていながらも暗闇がフィーチャーされていて。3.5thの『CYPRESS GIRLS』と『DETECTIVE BOYS』はロックの尖った部分とポップの温かい部分を振り分けて作った。で、自分はずっと“表裏一体”をテーマにしてきたんだなという気づきが『新呼吸』を作ったときにあって。
でも、そこからさらに深く考えてみたら、僕は“表裏一体”という構造そのものを歌いたいわけじゃなくて、“世の中って常に両極なことが同時にあるよね”という大前提を歌いたいんだなということに気づいたんです。つまり、曲ごとにすごくハイとか、すごくローに振り切りながら作品全体でその両極を表現するのではなくて、超フラットな状態を描きたいんだと。その結果、たどり着いたのが“普通”というすごく曖昧な世界だったんですよ。実は“普通”という感覚って、人によってあまりに違う多面的なもので、こんなに厄介な概念ってないんですよね。なのに誰もが「普通がいちばん幸せ」みたいなことを言う(笑)。そうやって、僕たちがあたりまえに捉えてきた“普通”というよくわからない感覚がいちばんヤバいと思ったんです。でも、そこには答えなんてなくて。だから、誰も“普通”を描写しないんですよね。大好きか大嫌いかのほうが歌いやすいから。そういう意味でもすごく厄介なテーマに手をつけてしまったなとは思ったんですけど、僕はこのアルバムで“普通”というテーマと徹底的に向き合わないと先に進めない気がしたから。
サウンド的には1曲1曲にオマージュを込めていて。ツアーもアルバムの全16曲をやったらそれだけで本編が終わっちゃうくらいの幅とボリュームがあるからすごく大変だけど、すごく内容の濃いものになると思います。オマージュ部分をライブアレンジで引き出すのも面白いと思うし、音響的にかなりこだわることができるから、音のすごみもぜひ感じてほしいですね。あとは演奏とセットリストの繋ぎも含めた流れ、照明などで1曲1曲のストーリーとそれが集合したときの大きなストーリーをしっかり体現したいと思ってます。
2014年9月6日(土) | 高崎club FLEEZ | 17:30 開場 / 18:00 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) | 予定枚数終了 |
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2014年9月7日(日) | 水戸LIGHT HOUSE | 17:00 開場 / 17:30 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) | 予定枚数終了 |
2014年10月16日(木) | HEAVEN'S ROCK Utsunomiya | 18:30 開場 / 19:00 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) | 販売中 |
2014年11月7日(金) | Zepp DiverCity Tokyo | 18:00 開場 / 19:00 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) | 予定枚数終了 |
2014年11月11日(火) | 下北沢GARAGE | 18:30 開場 / 19:00 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) | 予定枚数終了 |
2014年11月29日(土) | Zepp DiverCity Tokyo | 17:00 開場 / 18:00 開演 | スタンディング ¥4,500(税込) |
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【先行抽選受付期間】 8月13日(水) 12:00 ~ 8月20日(水) 13:00 |
NEW ALBUM「二十九歳」
(EMI RECORDS)
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DISK GARAGE.com Base Ball Bear アーティストページ
Base Ball Bearオフィシャルサイト
Base Ball Bear(2014.6月号掲載 DI:GA interview)