好調・人間椅子が、25周年記念ベスト・アルバムを携え、約20年ぶりに渋谷公会堂に“生還”だ。 2枚のディスクに全28曲を収めた今回のベスト・アルバム『現世は夢』は、キャッチーな華々しさとは無縁の、しかし確かな質感を持った試行錯誤の軌跡を辿ることができるが、注目すべきはディスク2の最後に収められた新曲4曲。25年目にしてさらに表現の奥行きを深める、彼らの現在を見て取れるからだ。
和嶋慎治「ただ暗い曲を書いても、自分の気持ちも暗くなるし、何がやりたいんだって、ちょっと悩んだりした時期がありました。それで、何作か前からわりとポジティブなことを書くようにしたんです。目の前の現実をちゃんと見て、それに対してちゃんと向き合っていかなきゃいけない、みたいなことをね。今もそう思っているし、これからも書いていくと思うんですけど、そういうものを暗いシチュエーションで書くとより面白くなるなということに気がついたんです。舞台は地獄であったり世紀末の混沌とした世の中であったりするんだけど、そのひどい状況のなかで現実を認めつつ、常識にとらわれずにやっていこうっていうようなことを言いたくて。そういう表現に向かうスタートがこの新曲できれたかなっていう感じなんですよね」
禍々しい印象を与える展開の曲でさえもすっきりと聴き通せてしまうのは、表現するテーマとそれを描く手法の両方が彼らのなかでいっそうクリアになったからだし、だからこそ作為のない“自然な変さ”が曲の個性としていっそう際立って感じられる。
和嶋「前は、とにかく変にしようという気持ちが先にあって、それで別のものを無理矢理くっ付けたりしたこともあったんですけど、今回はやりたいことをやっていったら自然に変になっていったっていう」
そんなふうに進化することを怠らない彼らは、今回の“渋公生還”も、むしろ新人バンドのような初々しさとひたむきさを持って臨むことになりそうだ。
和嶋「還ってきたというのはちょっと大げさで(笑)、多分1回か2回やったくらいなんですよ。記憶があやふやなんですけど。1回目はあまり何も考えずにトントンと物事が進んでうまいことやったなという感じだったし、2回目は確か無理矢理な感じでやったと思うんです。ところが、今回はお客さんが着実に増えていって、その結果としての渋谷公会堂なので、本当に階段を上ってたどり着いた感じがします。だからこそ、渋谷公会堂はゴールじゃないんですよね。それは、もっともっと大きな会場でやるぞということではないんですけど、こういった形で今後もずっとやっていきたいし、それがいいんだろうなと思うんです。そういう地点に、ようやく来たということですね。今回は、現時点での最高の演奏とパフォーマンスを見ていただけると思っていますし、それと同時に、次につながる人間椅子というものを見せられれば、とも思っています」
2015年1月24日(土) | 渋谷公会堂 | 16:30 開場 / 17:30 開演 | 全席指定 ¥4,000(税込) |
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人間椅子 (2014.12月号掲載 DI:GA interview)