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オリジナルとしては前作『グッド・バイ』以来、約1年ぶり通算8枚目となるアルバム『あなたが寝てる間に』をリリースした安藤裕子。NHKドラマ10「全力離婚相談」の主題歌として書き下ろしたフォークナンバー「人魚姫」や、自分が自分らしくいられる存在に出会えた幸せを歌った「レガート」。人生賛歌からラブソングへと変化した「世界を変えるつもりはない」のバンドバージョンなどなど。軽快なファンクやスカ、クリスマスソングもあり、前作以上にバラエティさが増した全11曲の中から、現在の彼女のリアリティーがもっとも反映したという2曲に絞って話を聞いた。

——前作『グッド・バイ』を作り終えたあと、どんなことを考えてました？

「安藤裕子に疲れたなと思ってました（苦笑）。もちろん、曲を作るのはずっと楽しいんですけど、震災以降、どうしても死生観が色濃く出た曲が多くなってしまって。どこか重苦しかったので、今回はまず、明るい曲を作ろうっていうところから作業を始めて。ただ、最後の『都会の空を烏が舞う』は『グッド・バイ』を作ってた頃にできていた曲なんですけど」

——死に憧れる主人公の曲ですよね。

「終焉の歌ですね。映像的には、陰陽師の芦屋道満が安倍晴明との戦いに破れて、首を落とされる絵面をイメージしてて。いわば、自分が力尽きて終えるための曲だったんだけど、『グッド・バイ』に入れちゃうと、死の匂いが強くなりすぎるなって思って。大好きな曲だったけど、外してたんです。だから、今回は絶対に入れたいと思ってて。で、いちばんの挑戦は1曲目の『森のくまさん』なんです」

——矢野顕子さんの作品や映画「そして父になる」のサントラで知られる松本淳一さんによるアレンジになってます。

「そう、童話や絵本、悪い夢のようなデザインの曲になったんだけど、松本さんと『森のくまさん』の作業をしたときに、新しい息吹をもらえた感じがあって。この曲は、おとぎ話のようでいて、割と野生のくまをイメージしてるんです。夏を謳歌していたくまが、冬眠しそびれてしまって。気が付いたら、餌もないし、食べ物の蓄えもないのに、急に体温を奪われるような寒さに見舞われて。やばいやばいって、食べ物を探して暗い森を彷徨ってるんですけど、一方で、人間の話も投影してて。若い頃は調子よくやっていても、人はみな、人生のなかで、なにかにつまずいたり、道が見えなくなる瞬間が訪れると思うんですね。たとえ、壁にぶつかっても進むしかない。前向きな言葉ばかりがうるさく聞こえるときもあるんだけど、自分が否定されているような声を振り払う力や苛立ちをパワーにしてでも、最終的には、自分が立ち上がって、傷つきながらも進んでいかなければいけないっていう。だから、『烏』は終わりの曲なんだけど、『森のくまさん』で再生してる気持ちなんです」

——死と再生がループしていくようなアルバムに『あなたが寝てる間に』というタイトルをつけたのは？

「私はシンガーソングライターなので、アルバムはただの私小説であり、日記なんです。だから、毎回、タイトルに意味なんてたいしてないんですけど（笑）、私の心のうちが語られるのは、あなたが寝静まったあとであるっていうことですね。女というのは、ひとりに立ち返ったときにやっと本音が出てくるものだし、物事を判断するのは、男が寝てる間ですよっていうような意味です（笑）。ま、今回は全体的にファニーで明るい音像になったと思うので、楽しく聴いてもらえたら嬉しいなと思います」

LIVE 2015 「あなたが寝てる間に」

2015年4月24日（金）	中野サンプラザホール	18:45 開場 ／ 19:30 開演	全席指定 ¥5,800(税込)

一般発売：3月15日（日） SALE

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（PC・携帯・スマートフォン共通） 【先行抽選受付期間】 受付中～3月1日（日）23：59