カフカは死んだ。そして生まれ変わった。カネココウタ(Vo&G)が“精神的な自殺”と表現する困難な時期を超え、甦ったカフカはこれまでとは何かが違う。ニューアルバム『Tokyo 9 Stories』を聴いてみよう。
「前回のアルバムを作ってツアーをやったあと、線が切れたようになっちゃって。音楽をやめようと思って、1か月ぐらい音信不通で放浪してました。今思うと自分を追い込んで、強迫観念にとらわれてたのかもしれない。その時に事務所の社長が、“もう曲は作らなくていいから、今は生活をしてください”って言ってくださったんですよ。それで“生活って何だろう?”と思いながら日々を生きていたら、見えてくるものが違ってきて、それを歌ったのがこのアルバムです」
タイトル通り、曲の舞台はすべて東京。主人公はこの街で暮らしながら、悩み、怒り、諦め、挫折し、そしてほんの少しの希望を信じて生きている。1曲目「She's like Sofia Coppola」からラスト曲「東京」まで、短編フィルムのように連作ドラマが展開してゆく。
「自分にとっての憧れと挫折は、東京が象徴しているので。全然華やかじゃない生活を経験して、でもそこでずっと生きる俺というものを、そのままアルバムにした感じです。自分はあの時一回自殺したようなものだと思ってて、そこでまた生まれ変わった時に、何も着るものがない裸のままだから、歌詞もこうなったのかな?と。生活する中で思ったことだけを書いてるから、今読むとすごい暗いですけどね。ただ『生きたい』という気持ちは常にあって、暗いけど明るいというか、根本的な生命力をこのアルバムは持ってると思うので。あきらめや挫折を持ったまま生きる覚悟を聴いてほしいなと思います」
ただ……と彼は付け加える。このアルバムは決して重いものじゃない。たぶん誰の身の上にも起きている物語を、前作から取り入れているエレクトロニックでダンサブルなサウンドに乗せて、音楽的にはポップに仕上げている。
「生活はダサくても、その中で何かに憧れたり、挫折したり、それでも生きていれば輝いていて、みんなそうやって生きてると思うんですけど。そういう人たちに、スッと聴いてほしいなと思ってます。普通に“それでいいんだよ”と言いたいです。歌詞にフォーカスすると暗いものが多いけど、全体としてはポップだと思うし、バランスがすごくいいなと思います」
全国9か所を巡るアルバム・ツアー『LIVE 9 CITIES』は、10月1日から。対バンありの地方公演を経て、ファイナルの東京ワンマン、11月22日の代官山UNITではツアーの集大成を見せてくれるはずだ。「今はライブが楽しい」というカネコの表情は、吹っ切れたように穏やかに見える。
「自分にとっては東京だけど、聴いた人が自分の場所に置き換えてもらっていいんで。ライブを見終わって、自分の街の駅に降りて家が近づいた時に、出る前と何か気持ちが変わっていたらいいなと思います。それが何かの原動力になって、明日も生きれるなと思ってくれればいいなと思います」
2015年11月22日(日) | DAIKANYAMA UNIT | 17:00 開場 / 18:00 開演 | オールスタンディング ¥3,240(税込) |
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UK.PROJECT移籍第1弾
NEW ALBUM「Tokyo 9 Stories」
(UK.PROJECT)
9月9日(水) SALE
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カフカ (2015.9月号掲載 DI:GA interview)