人が山に登るのは、登ってみないと見えない、あるいは見られない景色があるからだ。しかも、そういう景色があることは、実際に登った者しか知ることができない。だからこそ、重要なのはどれだけ高い山に登るかではなくて、挑んだ山の頂上をちゃんと極めるということだ。
昨年5月、初めて赤坂BLITZでワンマン・ライブを行った半崎美子は、自分のキャリアで最大規模の会場のステージに立ち、それまで経験したことのない数の聴衆を前にして、それ以前には気づかなかった自分を知ることになった。
「初めてのBLITZはいろんな意味で想像を超えていて、しかも本当にその日のことだけを考えてずっと過ごしてきたから、それでなくてもわたしは感動屋さんなので(笑)、幕が上がったところでワーッとなって泣いてもおかしくなかったんですよ。それなのに、けっこう冷静でいられたことに、自分でも驚いたんですよね。実際にBLITZに立つまでは、すごく遠いところにたどり着く、本当に“挑戦”のような感覚だったし、当日BLITZに入ってリハをやるときも“わっ、こんな大きなところで…”みたいな感じだったのに、本番のステージに立ったときには、そこに立つことと自分の身の丈がマッチできたような感じがして、そこから気負いもなくすごく楽しんでライブがやれたんです」
その日のライブで彼女が手に入れたのは、BLITZでのワンマン・ライブという単なる経験だけではなく、“自分はもっとやれる”という手応えだった。そして、その手応えの理由を探れば、歌う自分とそれを受け取る聴き手の両方を客観的に見渡すことができるようになっている自分の意識に思い当たった。
「ステージとかお客さんというものを俯瞰して見られるようになってきたというか、自分が楽しむことよりもお客さんを楽しませたいという気持ちが大きくなっていて、それがライブや曲作りにも影響しているし、どうやったら楽しんでもらえるかなということばかり考えるようになったんだけど、それも含めて自分も楽しいっていう」
3月にリリースした最新作『明日へ向かう人』は、彼女としては初めての9曲入りフルアルバム・サイズ。自分のなかにあるボーカリストとしてのいろいろな表情を伝えるために、様々なタイプの楽曲を意識して収めた。 そのアルバムをフィーチャーしたライブを7月に大阪、8月に名古屋で行い、そのファイナルとして2回目のBLITZ公演に臨む。
「去年のBLITZは、その前がPLEASURE PLEASUREだったので、どれだけ違うかというのはすごくわかりやすかったと思うんですけど、そこから1年半経って、また同じ会場でやるわけですから、そこでどういう違いを見せられるのか、さらなる成長を感じてもらえるか、ということをすごく考えました。とは言っても、全然違うことをやるわけではないから、わたしのライブの定番と新しいこととのバランスもちゃんと考えてやろうと思っています」
そのライブの先に、彼女はまたきっと新しい景色を見ることになるはずだ。
2015年10月23日(金) | 赤坂BLITZ | 18:30 開場 / 19:00 開演 | 指定席 ¥4,500(税込) |
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NEW ALBUM「明日へ向かう人」
(Hanzaki Music)
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半崎美子 (2015.10月号掲載 DI:GA interview)